他プリ春+わちゃわちゃ短編詰め合わせ

オレが街で彼女を見つけたのは、偶然と言えば偶然だ。まぁ、もともと彼女がここに買い物に来ているのを知っていたので必然と言えなくもないけれど。

ストーカーではないので勘違いしないで欲しい。偶々時間が空いて、自然と足が向いてしまっただけのことだ。

どんな時も、居ないと分かっていながら探し求めてしまう彼女の姿。居ると分かっていて探さない訳がない。

日程からして、オレのためのプレゼントを用意してくれているのだろうし、声をかける事はしない。いや、これは自惚れじゃない。彼女の様子を見れば瞭然なのだから。

彼女をもてなすのも最高の喜びだけれど、彼女から与えられる全ては至上の喜びだ。誕生日がこんなに楽しみになるなんて、過去のオレには考えられない事だった。

友達と買い物をしている彼女はとても楽しそうだ。
さりげなく、会話が聞き取れる距離まで詰めてみる。

「それ買うの?」
「あ、つい……」
「うん、オレンジだもんねー。あんたの持ち物、どんどんオレンジが増えてくわね」
「自重しようとは思ってるんだけど、気付くと買ってしまっていて……」

自重なんてする必要ないよね。そのままオレ色で持ち物を埋め尽くしてしまおうよ。

「あ、こっちのも色可愛いよ春歌」
「本当だね」

そう言って、彼女が手に取ったのは青とオレンジのコントラストが美しい腕時計。

青!?
何故! 何故青!!
その横に、文字盤がオレンジだけのがあるのに、何故そっちにしたんだい!?

「へ? そっちなの?」
「う、うん。だって……この空色、か、彼の目の色と同じだなって……」
「あーなるほど。もー、ごちそうさま!」

空色、か。良いな、その響き……

……じゃなくて!

「~~~~っ」

声をあげそうになって、オレは急いでその場を離れる。彼女たちから見えないところまで走り、壁に寄りかかってずるずるとしゃがみこむ。
ついでにしっかり頭を抱えて顔を伏せた。

可愛い。オレの彼女が可愛すぎる。
オレの目の色まで身に纏う色に取り入れるって、なんかもう嬉しすぎる。

「はあ~……」

幸せすぎて胸がいっぱい。
もう帰ろう。それで、とびきりのご馳走を用意して彼女に「おかえり」を言うんだ。それから、その後はどろどろに甘やかしてあげるから、覚悟しててね?





20200214
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おや?
レン春初めて書いたかもしれない??
深夜のテンションで書き上げて寝落ちしてました。
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