他プリ春+わちゃわちゃ短編詰め合わせ
◎ポスター
寮のラウンジに仲間たちが数人いるのが見えて、トキヤは立ち止まった。
彼に気付いた仲間たちも、手招きして彼を迎え入れる。
「ずいぶん盛り上がっていましたが、何を話していたんです?」
「えへへー、これ、今度、俺とセシルが出るドラマで使うポスターだよ!」
そういって、音也がばさり、とポスターを広げてトキヤに見せてくる。
いかにもアイドル、といった体でキラキラした笑みを浮かべた二人が写っている。見慣れぬサインと見知らぬユニット名は役名なのだろう。
「ドラマのポスターではなく、ということですよね」
「イエス。ワタシとオトヤはアイドルユニットの設定で、そのポスターはヒロインの部屋に貼られているものです」
なるほど、と頷くトキヤ。この辺りは横にいた真斗とレンも聞いていたのだろう、したり顔で見られている。
「でね! このポスター、本番では動くんだよ」
音也の足りない説明では分からなかったので詳しく聞くと、なんでも、ヒロインの部屋にあるこのポスターは、なぜか本物の二人と繋がって話が出来るようになってしまうらしい。
そこからドタバタコメディー展開となり、少しだけ恋愛要素が加わっていくストーリーのようだ。
最後はCGで仕上げるが、実際の撮影はポスターの位置に穴が空いていて、そこに入って行うらしい。
なかなかシュールな光景だ。
「面白いよね、この設定」
「誰かの部屋とポスターで繋がる、ですか…万が一実際に起きたら困った事になりそうですけどね」
「へえ? 例えば」
レンに促され、トキヤは一瞬渋ったものの思い浮かんだ状況を白状した。
「…思わぬタイミングで繋がってしまったら…(七海さんが)着替えていたり、眠っていたりするかもしれないとう事でしょう」
「ふむ…そうか、相手の望まぬタイミングで繋がってしまうことも考えられるのだな」
「……」
「…ん、どうした一十木?」
黙ってしまった音也へ、真斗が呼び掛ける。音也は重要事項を思い出したと言わんばかりの顔で手の中のポスターを見た後、とても良い笑顔になった。
「俺、ちょっとこのポスターあげたい人がいるんだ、渡してくる!」
「待ちなさい音也」
「ちょっと待って、イッキ」
呼び止めるタイミングが同じであった為、トキヤとレンは一瞬目を合わせ、結局レンが先に話を続けた。
「抜け駆けは許さないよ」
「えーと、なんのこと?」
あからさまに動揺を見せる音也。そこへ、トキヤも畳み掛けることにした。
「音也。実はちょうどここに、私たち7人全員揃っているポスターがあるのですが」
先ほど、新曲の宣伝用のポスターが出来たので貰ってきたところだったのだ。
手にしていたそれを、音也の手にあるものにそっと追加する。
「これで手を打ちましょう」
音也は再び良い笑顔になり、羽のような身軽さで駆けていった。
「イッチー、ナイスアシスト」
「…ふ、なんのことです?」
「二人とも、なんの話ですか?」
「一十木はあんなに楽しそうにどこに行ったのだ?」
セシルと真斗はきょとんとしている。その二人に、トキヤとレンは極上の微笑みを返して答えた。
「ドラマの放送が楽しみだ、という話ですよ」
「撮影頑張ってね、セッシー」
本当に、きっと自身に置き換えてドラマを見てしまうであろう彼女がどのような反応をするのか楽しみである。
20190818
寮のラウンジに仲間たちが数人いるのが見えて、トキヤは立ち止まった。
彼に気付いた仲間たちも、手招きして彼を迎え入れる。
「ずいぶん盛り上がっていましたが、何を話していたんです?」
「えへへー、これ、今度、俺とセシルが出るドラマで使うポスターだよ!」
そういって、音也がばさり、とポスターを広げてトキヤに見せてくる。
いかにもアイドル、といった体でキラキラした笑みを浮かべた二人が写っている。見慣れぬサインと見知らぬユニット名は役名なのだろう。
「ドラマのポスターではなく、ということですよね」
「イエス。ワタシとオトヤはアイドルユニットの設定で、そのポスターはヒロインの部屋に貼られているものです」
なるほど、と頷くトキヤ。この辺りは横にいた真斗とレンも聞いていたのだろう、したり顔で見られている。
「でね! このポスター、本番では動くんだよ」
音也の足りない説明では分からなかったので詳しく聞くと、なんでも、ヒロインの部屋にあるこのポスターは、なぜか本物の二人と繋がって話が出来るようになってしまうらしい。
そこからドタバタコメディー展開となり、少しだけ恋愛要素が加わっていくストーリーのようだ。
最後はCGで仕上げるが、実際の撮影はポスターの位置に穴が空いていて、そこに入って行うらしい。
なかなかシュールな光景だ。
「面白いよね、この設定」
「誰かの部屋とポスターで繋がる、ですか…万が一実際に起きたら困った事になりそうですけどね」
「へえ? 例えば」
レンに促され、トキヤは一瞬渋ったものの思い浮かんだ状況を白状した。
「…思わぬタイミングで繋がってしまったら…(七海さんが)着替えていたり、眠っていたりするかもしれないとう事でしょう」
「ふむ…そうか、相手の望まぬタイミングで繋がってしまうことも考えられるのだな」
「……」
「…ん、どうした一十木?」
黙ってしまった音也へ、真斗が呼び掛ける。音也は重要事項を思い出したと言わんばかりの顔で手の中のポスターを見た後、とても良い笑顔になった。
「俺、ちょっとこのポスターあげたい人がいるんだ、渡してくる!」
「待ちなさい音也」
「ちょっと待って、イッキ」
呼び止めるタイミングが同じであった為、トキヤとレンは一瞬目を合わせ、結局レンが先に話を続けた。
「抜け駆けは許さないよ」
「えーと、なんのこと?」
あからさまに動揺を見せる音也。そこへ、トキヤも畳み掛けることにした。
「音也。実はちょうどここに、私たち7人全員揃っているポスターがあるのですが」
先ほど、新曲の宣伝用のポスターが出来たので貰ってきたところだったのだ。
手にしていたそれを、音也の手にあるものにそっと追加する。
「これで手を打ちましょう」
音也は再び良い笑顔になり、羽のような身軽さで駆けていった。
「イッチー、ナイスアシスト」
「…ふ、なんのことです?」
「二人とも、なんの話ですか?」
「一十木はあんなに楽しそうにどこに行ったのだ?」
セシルと真斗はきょとんとしている。その二人に、トキヤとレンは極上の微笑みを返して答えた。
「ドラマの放送が楽しみだ、という話ですよ」
「撮影頑張ってね、セッシー」
本当に、きっと自身に置き換えてドラマを見てしまうであろう彼女がどのような反応をするのか楽しみである。
20190818