他プリ春+わちゃわちゃ短編詰め合わせ
◎もしもな話
~藍がカルナイメンバーに自分の正体をカミングアウトしたら~
《カミュの場合》
ロボットであると話してから、カミュは少しの間無言で考え込んでいた。
さすがの彼でも、やはり知らなかったようだ。
「…なぜ、そのような事を話した」
「そろそろ話しておいても良い頃合いだと判断したからだよ」
「……」
「今後もカルテットナイトとして活動していくにあたって、カミュのフォローが一番期待できそうだからね」
その返答はカミュのお気に召したらしく、口角が上がった。
「当然だ。俺があの二人に劣るわけがなかろう。しかし、お前のそれは一番の弱点ではないか。俺に知られて良かったのか」
「カミュの性格からして、今更ボクを利用して何か企むなんて事しないでしょ」
最近の彼はカルテットナイトの活動にも熱が入ってきた。シルクパレスで何があったのかは知らないが、早乙女の元でアイドル活動を続けるつもりなのは瞭然。その活動に支障が出るような事はしない。
「フン……面倒な取り引きだな。だが、良いだろう。乗ってやる」
「うん、よろしくね」
話が早くて助かる。
藍は軽く微笑んでその場を離れた。
《蘭丸の場合》
「あ? 何言ってんだ…ロボット? お前が?」
「うん。そうなんだ」
頷く藍。蘭丸は暫くそんな藍を見つめていたが、結局不機嫌に目を細めた。
「……お前な、真顔で何言い出すんだよ。いくらなんでもそりゃ騙されねぇぞ」
「だから本当だって。何なら証拠見る?」
淡々と返して藍は空に向けて腕を伸ばした。
カチッ、と音がしたと思えば藍の手がものすごいスピードで飛んでいき、そしてUターンしてまた彼の腕としてそこに収まる。
いわゆる、ロケットパンチというやつだ。
「どう? これで信じられるでしょ?」
「……! ……!」
蘭丸はよほど衝撃を受けたのか目と口を開けたままにしている。
滅多にないのでよく記録しておこうとその間抜けな顔を観察していると、そのうち彼の目が輝き始めたのに気付いた。
「す…すげぇ…お前すげぇな!!」
「…うん、そうだね」
一応国家機密レベルの技術で作られているので、すごいという表現は間違いではない。
受け入れてもらえるか不安はあったが、嫌悪されている訳ではないようなので、正直ほっとした。
そんな藍の腕をがしっとつかんで、蘭丸が興奮気味に続ける。
「他には!?」
「え、他って?」
「なんかこう…変型して車になったりとかしねえのか!?」
「するわけないでしょ!」
《嶺二の場合》
嶺二も蘭丸同様、間抜けな顔を曝して暫く動かずにいた。
が、突然何か思い付いたように身を乗り出したので、そのおでこを指でおさえ、再びソファに座らせる。
「言っておくけど、変型したりとかしないからね」
「ああっ! 今聞こうと思ったのに!」
ロケットパンチは出せるが、きっとうるさいので言わないでおく。
嶺二はソファにもたれて足をバタバタさせ始めた。
「でも…それでか~、そっかそっか~、なんかアイアイの謎な部分が今のでスッキリした~!」
「…信じてくれるの?」
「アイアイのとっておきの秘密だもん、モチのロンで信じるよ~!」
動きを止めると、嶺二は急に大人びた微笑みを浮かべた。
「さっき、アイアイすごく不安そうにしてたからさ…こんなに大事なこと、話してくれてありがとう」
「……うん」
本当は、彼にだけは話しておかなければならないことがまだある。
言い出せなくて、藍はそっと俯く。
その頭に、温かい手が乗せられた。
「いいよ、ちょっとずつで。話せるようになったら話して? 僕とアイアイの仲なんだから」
「レイジ…」
大きな目が優しい光を灯して、藍に向いている。
「ね。僕は、これからも今まで通りアイアイに接していく。それで良いでしょ?」
「うん…今まで通り、ボクもレイジの行動の数々を記録していくから」
「え゛」
「レイジが言ったこと、一言一句忘れてないからね」
青い顔で何やらブツブツ言い始める嶺二。失言の数々を思い出しているのだろう。
「ありがとう、レイジ」
きっと今の彼には聞こえていないだろうが。
百面相を眺めながら、藍は微笑んだ。
20150705
~藍がカルナイメンバーに自分の正体をカミングアウトしたら~
《カミュの場合》
ロボットであると話してから、カミュは少しの間無言で考え込んでいた。
さすがの彼でも、やはり知らなかったようだ。
「…なぜ、そのような事を話した」
「そろそろ話しておいても良い頃合いだと判断したからだよ」
「……」
「今後もカルテットナイトとして活動していくにあたって、カミュのフォローが一番期待できそうだからね」
その返答はカミュのお気に召したらしく、口角が上がった。
「当然だ。俺があの二人に劣るわけがなかろう。しかし、お前のそれは一番の弱点ではないか。俺に知られて良かったのか」
「カミュの性格からして、今更ボクを利用して何か企むなんて事しないでしょ」
最近の彼はカルテットナイトの活動にも熱が入ってきた。シルクパレスで何があったのかは知らないが、早乙女の元でアイドル活動を続けるつもりなのは瞭然。その活動に支障が出るような事はしない。
「フン……面倒な取り引きだな。だが、良いだろう。乗ってやる」
「うん、よろしくね」
話が早くて助かる。
藍は軽く微笑んでその場を離れた。
《蘭丸の場合》
「あ? 何言ってんだ…ロボット? お前が?」
「うん。そうなんだ」
頷く藍。蘭丸は暫くそんな藍を見つめていたが、結局不機嫌に目を細めた。
「……お前な、真顔で何言い出すんだよ。いくらなんでもそりゃ騙されねぇぞ」
「だから本当だって。何なら証拠見る?」
淡々と返して藍は空に向けて腕を伸ばした。
カチッ、と音がしたと思えば藍の手がものすごいスピードで飛んでいき、そしてUターンしてまた彼の腕としてそこに収まる。
いわゆる、ロケットパンチというやつだ。
「どう? これで信じられるでしょ?」
「……! ……!」
蘭丸はよほど衝撃を受けたのか目と口を開けたままにしている。
滅多にないのでよく記録しておこうとその間抜けな顔を観察していると、そのうち彼の目が輝き始めたのに気付いた。
「す…すげぇ…お前すげぇな!!」
「…うん、そうだね」
一応国家機密レベルの技術で作られているので、すごいという表現は間違いではない。
受け入れてもらえるか不安はあったが、嫌悪されている訳ではないようなので、正直ほっとした。
そんな藍の腕をがしっとつかんで、蘭丸が興奮気味に続ける。
「他には!?」
「え、他って?」
「なんかこう…変型して車になったりとかしねえのか!?」
「するわけないでしょ!」
《嶺二の場合》
嶺二も蘭丸同様、間抜けな顔を曝して暫く動かずにいた。
が、突然何か思い付いたように身を乗り出したので、そのおでこを指でおさえ、再びソファに座らせる。
「言っておくけど、変型したりとかしないからね」
「ああっ! 今聞こうと思ったのに!」
ロケットパンチは出せるが、きっとうるさいので言わないでおく。
嶺二はソファにもたれて足をバタバタさせ始めた。
「でも…それでか~、そっかそっか~、なんかアイアイの謎な部分が今のでスッキリした~!」
「…信じてくれるの?」
「アイアイのとっておきの秘密だもん、モチのロンで信じるよ~!」
動きを止めると、嶺二は急に大人びた微笑みを浮かべた。
「さっき、アイアイすごく不安そうにしてたからさ…こんなに大事なこと、話してくれてありがとう」
「……うん」
本当は、彼にだけは話しておかなければならないことがまだある。
言い出せなくて、藍はそっと俯く。
その頭に、温かい手が乗せられた。
「いいよ、ちょっとずつで。話せるようになったら話して? 僕とアイアイの仲なんだから」
「レイジ…」
大きな目が優しい光を灯して、藍に向いている。
「ね。僕は、これからも今まで通りアイアイに接していく。それで良いでしょ?」
「うん…今まで通り、ボクもレイジの行動の数々を記録していくから」
「え゛」
「レイジが言ったこと、一言一句忘れてないからね」
青い顔で何やらブツブツ言い始める嶺二。失言の数々を思い出しているのだろう。
「ありがとう、レイジ」
きっと今の彼には聞こえていないだろうが。
百面相を眺めながら、藍は微笑んだ。
20150705