『六界見聞録』
【登場キャラクター】

●ユノ(文章の書き手)

●グレナダ(疫病神)

●予言者
各キャラクター詳細→キャラクター
***
あたたかな不変(疫病神について)
六界を回遊する予言者は、天界にはほとんど姿を現さない。そのため、天界から出られないグレナダは、かつての恩人を見かけると大層機嫌を良くする。
「予言者よ、お目にかかれて嬉しいよ。その後お変わりないか……というのは、変化の権能を司り、変化を好むあなたに向かって訊ねる挨拶ではなかったか」
「森の王、いいや、悪くないとも。君のそういう、ごく自然に人を思いやるところが、友や弟子たちを惹きつけるのだろうね。だが確かにその挨拶は、どちらかと言えば私の台詞ではないかな」
予言者に話しかけるときのグレナダは、普段の気さくで活発な「兄貴分」の様相はなりを潜め、優美で穏やかな本性が表に出る。
森の王だった頃のグレナダを知る者は、本人を含めて数えるほどしかいない。住処も役割も、姿さえも変えた今のグレナダから、かつての面影を想像することは難しい。それでも予言者が彼のことを昔の肩書きで呼び続けるのは、人間の同定に名は不要であるという、天界言語の独特の特性のためだろう。
グレナダの肉体は若く作り替えられているが、彼の言葉の端からは老成した気質が滲み出る。その様は、予言者にとって好ましいものであるらしい。
「私は……変わりないよ。良くはなっていないが、悪くもなっていない。なに、心配しないでくれ。私にとっては、それが一番あたたかい」
「君を心配なんてしていないし、これからもしないよ」
「光栄なことだ。あなたにそう言われるのが、何よりもの希望だ」
遥か昔、予言者から森の王に示された最悪の予言が、寸分違わずその通りになったのは、天界の誰もが知るところである。森の王の抵抗もまるでなかったかのように、災害が無慈悲に森を食い尽くしたという。
しかし、グレナダは予言者に感謝している。二人の言外の盟約によって曲げられた魔界の運命は、初めから彼ら自身のためのものではなかったからだ。

●ユノ(文章の書き手)

●グレナダ(疫病神)

●予言者
各キャラクター詳細→キャラクター
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あたたかな不変(疫病神について)
六界を回遊する予言者は、天界にはほとんど姿を現さない。そのため、天界から出られないグレナダは、かつての恩人を見かけると大層機嫌を良くする。
「予言者よ、お目にかかれて嬉しいよ。その後お変わりないか……というのは、変化の権能を司り、変化を好むあなたに向かって訊ねる挨拶ではなかったか」
「森の王、いいや、悪くないとも。君のそういう、ごく自然に人を思いやるところが、友や弟子たちを惹きつけるのだろうね。だが確かにその挨拶は、どちらかと言えば私の台詞ではないかな」
予言者に話しかけるときのグレナダは、普段の気さくで活発な「兄貴分」の様相はなりを潜め、優美で穏やかな本性が表に出る。
森の王だった頃のグレナダを知る者は、本人を含めて数えるほどしかいない。住処も役割も、姿さえも変えた今のグレナダから、かつての面影を想像することは難しい。それでも予言者が彼のことを昔の肩書きで呼び続けるのは、人間の同定に名は不要であるという、天界言語の独特の特性のためだろう。
グレナダの肉体は若く作り替えられているが、彼の言葉の端からは老成した気質が滲み出る。その様は、予言者にとって好ましいものであるらしい。
「私は……変わりないよ。良くはなっていないが、悪くもなっていない。なに、心配しないでくれ。私にとっては、それが一番あたたかい」
「君を心配なんてしていないし、これからもしないよ」
「光栄なことだ。あなたにそう言われるのが、何よりもの希望だ」
遥か昔、予言者から森の王に示された最悪の予言が、寸分違わずその通りになったのは、天界の誰もが知るところである。森の王の抵抗もまるでなかったかのように、災害が無慈悲に森を食い尽くしたという。
しかし、グレナダは予言者に感謝している。二人の言外の盟約によって曲げられた魔界の運命は、初めから彼ら自身のためのものではなかったからだ。