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氷の棺にはまだ遠い

雪の降る朝。冬の凪いだ頃。
一通の手紙がこの教会に届いたのは、季節外れの降雪が記録された日だった。
拙い字だったので、最初は、教会で面倒を見ていた子どもたちの誰かが便りをくれたのだと思ったが、どうやら違うみたいだ。
文面があまりにもそっけないというか、他人との交流に慣れていない。どこか引っ込み思案で天邪鬼な内容に、つい微笑みが溢れてしまう。
アドレスの一切書かれていないその、他愛のない近況報告のような手紙を、そっと大事に仕舞い込む。
──彼は今、いったいどこでどのように過ごしているのだろう。
見上げた陽は、麗らかな光を分け隔てなく降らせていた。
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