ALKAQUEST

 村を取り囲むように迫ってくる魔物の群れ。次々と現れるそれらに、経験の浅い冒険者たちだけではここまで保たなかっただろう。たまたま通りがかったSランクパーティが加勢して、ようやく戦線らしい戦線を維持できていた。
 対処し始めてはや数時間、終わりが見え始めたそこに新たな脅威が差し迫る。

「クソっ! あらかた片付いてきたと思ったら、まだあんなのが残っていたのか!」
「どうするんだ北斗、ここで大技やるわけにはいかねぇぞ!」

 周囲には未だ戦意を衰えさせず踏みとどまる冒険者が多く残っている。この状況下でフルパワーでの氷魔法など、以ての外であった。一瞬の思案をする暇などなく襲いくる魔物を片っ端から斬って撃ってしていると、魔物の解析をしていた真からの悲鳴があがる。

「アレがきたらさすがに保たないよ! 物理耐性強いみたいで明星くんとの相性最悪! 暴れられたら手が付けられない!」
「わかった。遊木! 俺をあのデカブツと一緒にあっちの森に転送してくれ!」
「待った! それなら俺も一緒に頼む! あとは数匹強力なのとザコっぽいから、スバルと真が残ればBランク以下の連中でも十分だろ!?」
「了解! こっちはいつでもいいよ! 標的を誘導して!」
「OK! じゃあ道を作るよ、っと!」
 明星の振り下ろした大剣の余波でできた道を駆け、真の作った転送用魔法陣に巨体の魔物を誘い込む。そのままその魔物とともに二人を転送した真は謎の光が4つ空に奔ったのを視界の端に捉え、手薄となった戦線に雷の銃弾を放つのであった。
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