【長編】メランコリック・エンジェル
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◆緑谷視点
敵 によるUSJ襲撃事件から1日休校を挟み今日からまた授業が再開される。
今までと同じ日常が戻ってくる.....と思いきや、今日は朝から一味違った。
「緑谷くん、おはよう!」
教室へ入るなりまばゆく輝く天使の微笑みを向けられ、その眩しさに思わずギュッと目を瞑る。
雄英に入学してから数週間目にして初めて正面から見る甦世風さんの満面の笑顔はあまりにもキラキラしていて目にも心臓にも悪かった。
「あ、うん、おおおおはよう」
かなりドモりながらも何とか挨拶を返すと甦世風さんは満足気に一度頷き自分の席へと向かった。
「百ちゃんおはよう〜!」
「治烏さん!おはようございます。もう体調の方は大丈夫なんですの?」
「うん!もうバッチリ元気だよ」
「それは良かったですわ。それにしてもとてもご機嫌のようですが何か良いことでもありました?」
「えへへ、わかる?昨日ちょっと嬉しいことがあったんだ〜」
ただの人見知りとは聞いていたけど改めて見るとすごい変わり様だ。とても一昨日まで轟くん以外誰とも話さず無表情で俯いていたとは思えない。
甦世風さんは一度心を開いた相手には普通に接することが出来る様になるみたいで、もうすっかりクラスに馴染んでいた。
八百万さんもとても嬉しそうで、彼女たちの周りだけお花畑にでもなったかのような暖かい雰囲気に包まれている。
しかし、一味違うのはこれだけではなかった。
「それでね、...あ!轟くんおはよう!」
「....あぁ」
ガラリと教室のドアが開き、現れた轟くんに気付くと甦世風さんはいつも以上に嬉しそうに挨拶をした。
通常ならばここで轟くんも挨拶を返し、HRが始まるまで二人で和やかに会話をしていたのだが...今日の轟くんは素っ気なく返事だけ返して自席で突っ伏し眠る態勢になった。
轟くんの素っ気ない態度にキョトンとする甦世風さん。
「轟くん何かあった...?私で良ければお話聞くよ」
「...何でもねェ」
「そっか......あれ、轟くんなんだか傷だらけだよ?今治癒するからお手手貸しt」
「これくらいしたことない。...悪ぃがしばらく放っておいてくれ」
入学当初から2人は周りから付き合っているのか疑われるほど仲が良かった。
轟くんは元々クールな印象だけど、甦世風さんのことだけは何かと気にかけていたので甦世風さんに対してこんなに冷たい態度を取るところなんて見たことがない。周りのクラスメイト達もいつもと違う2人のやりとりに驚いたようで「なに?修羅場?」と心配そうに様子を伺っている。
当事者の甦世風さんは轟くんの素っ気ない態度にどうしていいのか分からない様子でオロオロしていたので、すかさず八百万さんが「今日の轟さんはお疲れなのかもしれません。そっとしてさしあげましょう」とフォローをし「それより嬉しいことって何があったんですの?」と明るく話題を切り替えた。
八百万さんの気遣いに応じるように甦世風さんは自らの頬をペチペチと叩き気持ちを切り替え「えっとね、私幼稚園の時にすごく仲が良かった子がいたんだけど...」とぎこちない笑顔で話し始めた。
HRが始まる頃にはそのぎこちなさもだいぶ薄れていったので僕を含めた周りで成り行きを見守っていたクラスメイト達はホッと胸を撫で下ろした。
***
「皆!!私!!頑張る!」
「「「おぉーーー!」」」
「お前どうした、キャラがフワフワしてんぞ?!」
お昼休み。
HRで相澤先生から「雄英体育祭が迫ってる」と告げられ、クラスは朝から活気づいていた。
中でも麗日さんは特に気合十分で、その鬼気迫る表情に若干引き気味の切島くんたち。
そんな中、甦世風さんだけはノリノリで麗日さんに同調していた。
「お茶子ちゃんやる気だねー!私もがんばるよ、絶対優勝するっ!」
「あれ?甦世風もこういうの燃えるタイプだったん?全然そんなイメージ無かったわ」
「うーん、たしかに人と競ったりするのってあんまり得意じゃないんだけどね...今回は頑張らなきゃいけない理由が出来たので絶対優勝するの...!」
「頑張らなきゃいけない理由...?」
「ちょっと親友と約束して...詳しくはまだナイショっ」
嬉しそうにはにかむ甦世風さんに「ナイショかぁ〜」とクラスは和やかな雰囲気に包まれた。
しかしその空気は上鳴くんの発言により一変してしまう。
「親友って言えばさ、今日轟のやつどうしたん?朝からめっちゃおこじゃね?」
上鳴くんは今日HR開始ギリギリに登校してきたので朝の轟くんと甦世風さんのやりとりは知らなかったのだろう。悪気のない、純粋な疑問を口にしただけのようだったが、先程まで元気だった甦世風さんがシュンと縮こまってしまったのを見て「え、俺なんかまずいこと言っちゃった?」と焦って隣にいる瀬呂くんに目線を送る。
瀬呂くんは口パクだけで「バカ」と上鳴くんを罵った。
「えっと、ごめんね私にもわからないんだ...。なんかしばらく放っておいてくれって言われちゃって......」
朝のやりとりを掻い摘んで説明する甦世風さんに切島くんが「喧嘩したとかじゃねぇんだよな?」と確認する。
甦世風さんは「轟くんとは学校以外でやりとりをしていない」と話した。
「まぁ俺らにもなんか当たりが強くなってるし甦世風が原因とは限らないんじゃないか?」
「虫の居所が悪い日は誰にだってあるさ」
「そうだな、あんま気にすんなよ!」
「うん、そうだよね。みんなありがとう」
クラスメイトに励まされ、甦世風さんは寂しそうに笑った。
「あ、じゃあ今日は治烏ちゃんお昼一人なん?良かったら私たちと一緒に食べへん?」
麗日さんから「良いよね?デクくん、飯田くん!」と急に話を振られドキッとする。
もちろん甦世風さんとお昼を共にすることが嫌なはずもなく「ぜ、ぜひ!」と返すと飯田くんも「もちろん!」とにこやかに返した。
それを聞いた甦世風さんは感動に打ち震え、少し頬を染めながら「いいの!?3人ともありがとう....!」とまたキラキラ輝く笑顔になってくれた。
***
食堂へ僕と飯田くん、麗日さん、そして甦世風さんの4人で移動している途中「どうしてヒーローを目指したのか」という話になった。
僕はオールマイトに、飯田くんはお兄さん に憧れたからと話した。
甦世風さんはかっちゃんに助けられたことがキッカケと話し、とても驚かされた。
そして最後の麗日さんはというと...
「お金が欲しいからヒーローに?!」
「究極的に言えば...なんかゴメンね不純で...!皆立派な動機なのに私恥ずかしい...」
「何故!?生活の為に目標を掲げる事の何が立派じゃないんだ?」
「うんうん」
飯田くんの言った通り生活の為にヒーローを目指すというのも立派な理由だ。かっちゃんだって前に「高額納税者ランキングに名を刻む!」と話していたし、実際トップヒーローともなればかなりの額を稼げる。そういう理由でヒーローを目指している人も多いだろう。
しかし麗日さんからそのような理由が挙げられたのは少し意外に思っていると麗日さんは「ウチ建設会社やってるんだけど...」と詳しい理由を語り始めた。
「私は絶対ヒーローになってお金稼いで、父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ」
瞳の奥に決意を秘めた様子で麗日さんはハッキリと言い切った。
同い年のはずなのに、麗日さんは憧れだけじゃなくて現実を加味した上でヒーローを志しているんだ...。
「麗日くん...!ブラボー!!」
「お茶子ちゃん、私感動したよ...」
飯田くんと甦世風さんから拍手と共に大絶賛され、麗日さんが照れ臭そうにしていると、突然笑い声と共にオールマイトが現れた。
「おお!緑谷少年がいた!!」
突然の大声に僕たちが揃ってビクッと身体を揺らすとオールマイトは可愛らしいランチョンマットに包まれたお弁当箱を掲げ「ごはん...一緒にたべよう?」と誘ってきた。麗日さんが「乙女や...!」と吹き出す。
オールマイトからの呼び出しなんてどうしたんだろう。3人に断りを入れようとした時オールマイトは更に何か思い出したように甦世風さんに声をかけた。
「あぁそういえば甦世風少女のことも塚内くんが探していたよ。これから先日のUSJ襲撃事件の事情聴取があるんだろう?」
「...はっ忘れてた!」
意外と抜けているところがあるらしい甦世風さんも結局お昼は一緒に食べられなくなってしまい、僕たちは揃って麗日さんと飯田くんに詫びた。
「呼び出しじゃ仕方ないさ!」
「治烏ちゃんもまた今度一緒にお昼食べようね!」
「うん...!ありがとう!」
今までと同じ日常が戻ってくる.....と思いきや、今日は朝から一味違った。
「緑谷くん、おはよう!」
教室へ入るなりまばゆく輝く天使の微笑みを向けられ、その眩しさに思わずギュッと目を瞑る。
雄英に入学してから数週間目にして初めて正面から見る甦世風さんの満面の笑顔はあまりにもキラキラしていて目にも心臓にも悪かった。
「あ、うん、おおおおはよう」
かなりドモりながらも何とか挨拶を返すと甦世風さんは満足気に一度頷き自分の席へと向かった。
「百ちゃんおはよう〜!」
「治烏さん!おはようございます。もう体調の方は大丈夫なんですの?」
「うん!もうバッチリ元気だよ」
「それは良かったですわ。それにしてもとてもご機嫌のようですが何か良いことでもありました?」
「えへへ、わかる?昨日ちょっと嬉しいことがあったんだ〜」
ただの人見知りとは聞いていたけど改めて見るとすごい変わり様だ。とても一昨日まで轟くん以外誰とも話さず無表情で俯いていたとは思えない。
甦世風さんは一度心を開いた相手には普通に接することが出来る様になるみたいで、もうすっかりクラスに馴染んでいた。
八百万さんもとても嬉しそうで、彼女たちの周りだけお花畑にでもなったかのような暖かい雰囲気に包まれている。
しかし、一味違うのはこれだけではなかった。
「それでね、...あ!轟くんおはよう!」
「....あぁ」
ガラリと教室のドアが開き、現れた轟くんに気付くと甦世風さんはいつも以上に嬉しそうに挨拶をした。
通常ならばここで轟くんも挨拶を返し、HRが始まるまで二人で和やかに会話をしていたのだが...今日の轟くんは素っ気なく返事だけ返して自席で突っ伏し眠る態勢になった。
轟くんの素っ気ない態度にキョトンとする甦世風さん。
「轟くん何かあった...?私で良ければお話聞くよ」
「...何でもねェ」
「そっか......あれ、轟くんなんだか傷だらけだよ?今治癒するからお手手貸しt」
「これくらいしたことない。...悪ぃがしばらく放っておいてくれ」
入学当初から2人は周りから付き合っているのか疑われるほど仲が良かった。
轟くんは元々クールな印象だけど、甦世風さんのことだけは何かと気にかけていたので甦世風さんに対してこんなに冷たい態度を取るところなんて見たことがない。周りのクラスメイト達もいつもと違う2人のやりとりに驚いたようで「なに?修羅場?」と心配そうに様子を伺っている。
当事者の甦世風さんは轟くんの素っ気ない態度にどうしていいのか分からない様子でオロオロしていたので、すかさず八百万さんが「今日の轟さんはお疲れなのかもしれません。そっとしてさしあげましょう」とフォローをし「それより嬉しいことって何があったんですの?」と明るく話題を切り替えた。
八百万さんの気遣いに応じるように甦世風さんは自らの頬をペチペチと叩き気持ちを切り替え「えっとね、私幼稚園の時にすごく仲が良かった子がいたんだけど...」とぎこちない笑顔で話し始めた。
HRが始まる頃にはそのぎこちなさもだいぶ薄れていったので僕を含めた周りで成り行きを見守っていたクラスメイト達はホッと胸を撫で下ろした。
***
「皆!!私!!頑張る!」
「「「おぉーーー!」」」
「お前どうした、キャラがフワフワしてんぞ?!」
お昼休み。
HRで相澤先生から「雄英体育祭が迫ってる」と告げられ、クラスは朝から活気づいていた。
中でも麗日さんは特に気合十分で、その鬼気迫る表情に若干引き気味の切島くんたち。
そんな中、甦世風さんだけはノリノリで麗日さんに同調していた。
「お茶子ちゃんやる気だねー!私もがんばるよ、絶対優勝するっ!」
「あれ?甦世風もこういうの燃えるタイプだったん?全然そんなイメージ無かったわ」
「うーん、たしかに人と競ったりするのってあんまり得意じゃないんだけどね...今回は頑張らなきゃいけない理由が出来たので絶対優勝するの...!」
「頑張らなきゃいけない理由...?」
「ちょっと親友と約束して...詳しくはまだナイショっ」
嬉しそうにはにかむ甦世風さんに「ナイショかぁ〜」とクラスは和やかな雰囲気に包まれた。
しかしその空気は上鳴くんの発言により一変してしまう。
「親友って言えばさ、今日轟のやつどうしたん?朝からめっちゃおこじゃね?」
上鳴くんは今日HR開始ギリギリに登校してきたので朝の轟くんと甦世風さんのやりとりは知らなかったのだろう。悪気のない、純粋な疑問を口にしただけのようだったが、先程まで元気だった甦世風さんがシュンと縮こまってしまったのを見て「え、俺なんかまずいこと言っちゃった?」と焦って隣にいる瀬呂くんに目線を送る。
瀬呂くんは口パクだけで「バカ」と上鳴くんを罵った。
「えっと、ごめんね私にもわからないんだ...。なんかしばらく放っておいてくれって言われちゃって......」
朝のやりとりを掻い摘んで説明する甦世風さんに切島くんが「喧嘩したとかじゃねぇんだよな?」と確認する。
甦世風さんは「轟くんとは学校以外でやりとりをしていない」と話した。
「まぁ俺らにもなんか当たりが強くなってるし甦世風が原因とは限らないんじゃないか?」
「虫の居所が悪い日は誰にだってあるさ」
「そうだな、あんま気にすんなよ!」
「うん、そうだよね。みんなありがとう」
クラスメイトに励まされ、甦世風さんは寂しそうに笑った。
「あ、じゃあ今日は治烏ちゃんお昼一人なん?良かったら私たちと一緒に食べへん?」
麗日さんから「良いよね?デクくん、飯田くん!」と急に話を振られドキッとする。
もちろん甦世風さんとお昼を共にすることが嫌なはずもなく「ぜ、ぜひ!」と返すと飯田くんも「もちろん!」とにこやかに返した。
それを聞いた甦世風さんは感動に打ち震え、少し頬を染めながら「いいの!?3人ともありがとう....!」とまたキラキラ輝く笑顔になってくれた。
***
食堂へ僕と飯田くん、麗日さん、そして甦世風さんの4人で移動している途中「どうしてヒーローを目指したのか」という話になった。
僕はオールマイトに、飯田くんは
甦世風さんはかっちゃんに助けられたことがキッカケと話し、とても驚かされた。
そして最後の麗日さんはというと...
「お金が欲しいからヒーローに?!」
「究極的に言えば...なんかゴメンね不純で...!皆立派な動機なのに私恥ずかしい...」
「何故!?生活の為に目標を掲げる事の何が立派じゃないんだ?」
「うんうん」
飯田くんの言った通り生活の為にヒーローを目指すというのも立派な理由だ。かっちゃんだって前に「高額納税者ランキングに名を刻む!」と話していたし、実際トップヒーローともなればかなりの額を稼げる。そういう理由でヒーローを目指している人も多いだろう。
しかし麗日さんからそのような理由が挙げられたのは少し意外に思っていると麗日さんは「ウチ建設会社やってるんだけど...」と詳しい理由を語り始めた。
「私は絶対ヒーローになってお金稼いで、父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ」
瞳の奥に決意を秘めた様子で麗日さんはハッキリと言い切った。
同い年のはずなのに、麗日さんは憧れだけじゃなくて現実を加味した上でヒーローを志しているんだ...。
「麗日くん...!ブラボー!!」
「お茶子ちゃん、私感動したよ...」
飯田くんと甦世風さんから拍手と共に大絶賛され、麗日さんが照れ臭そうにしていると、突然笑い声と共にオールマイトが現れた。
「おお!緑谷少年がいた!!」
突然の大声に僕たちが揃ってビクッと身体を揺らすとオールマイトは可愛らしいランチョンマットに包まれたお弁当箱を掲げ「ごはん...一緒にたべよう?」と誘ってきた。麗日さんが「乙女や...!」と吹き出す。
オールマイトからの呼び出しなんてどうしたんだろう。3人に断りを入れようとした時オールマイトは更に何か思い出したように甦世風さんに声をかけた。
「あぁそういえば甦世風少女のことも塚内くんが探していたよ。これから先日のUSJ襲撃事件の事情聴取があるんだろう?」
「...はっ忘れてた!」
意外と抜けているところがあるらしい甦世風さんも結局お昼は一緒に食べられなくなってしまい、僕たちは揃って麗日さんと飯田くんに詫びた。
「呼び出しじゃ仕方ないさ!」
「治烏ちゃんもまた今度一緒にお昼食べようね!」
「うん...!ありがとう!」