【長編】メランコリック・エンジェル
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あの時のように数日寝込むことを覚悟して相澤先生に治癒を施したけど意外にも数時間で目覚めることが出来た。
何年もおばあちゃんのお手伝いをしていた成果か、許容上限や回復速度はあの頃と比べて向上していたみたい。
でもまだ身体が怠い状態なので事情聴取は日を改めることとなり、とりあえず動けるならすぐ家に帰って休むようにと保健室を追い出されてしまった。
***
眠くてしょぼしょぼしている瞳を擦りながら教室のドアを開けると誰もいないと思っていた教室にはまだクラスメイト達が残っていたらしい。ドアを開けるなり一斉に20人弱の視線に貫かれた。
(で、デジャブ.....!!)
クラス中の注目を浴びるという拷問イベントの発生に表情筋が固まるのを感じる。
前にもこんな風に放課後教室のドアを開けたらクラスメイト達がまだ残っていたことがあった。そう、たしか初めての実技演習があった日だ。
あの時は一緒にいた緑谷くんを盾にしてなんとかやりすごせたけど今回は私1人に注目が注がれているので逃げることが出来ない。
(どどどどどうしよう、完全に油断してた...!
何か言った方がいいの...かな?挨拶??こんにちは...は変だし....はっ、こんな時こそ万能挨拶『お疲れ様』だ!!)
この間おそらく0.数秒。
パニックながら何とかいい感じの結論を導き出し、口を開こうとした瞬間、ガタンッと大きな音が教室の奥から聞こえたのでそちらに視線を向けると轟くんが凄まじい形相でこちらへ向かって来ていた。
「轟くんどうしt「もう大丈夫なのか?!」
そのあまりの勢いにクラスメイト達への挨拶を慌ててキャンセルして「どうしたの?」と聞こうとした言葉は轟くんの言葉によって遮られ、凄まじい形相のまま肩を強く掴まれ前後に勢いよく揺すられた。
ただでさえ頭痛が残っている頭にこの震度はなかなか酷である。嵐の日に航海をしているような脳みその揺れに頭痛を通り越して気持ち悪さまで感じてきた。
「ぅおい轟、心配だったのはわかるけどその辺にしとけ!甦世風さん目ぇ回してるぞ!?」
「お。........悪ぃ」
切島くんのストップによって轟くんに掴まれていた肩は解放され、なんとか生命の危機を脱することが出来た。
いまだぐわんぐわんと脳の揺れを感じながらも「ありがとう切島くん...助かりました...。」とお礼を言うと、切島くんは「え、甦世風さん俺の名前覚えててくれたんだな?!」と驚きの声をあげた。
その言葉に私も驚いた。
ま、まさかクラスメイトの名前も覚えていないアホだと思われていたのだろうか...?
「えっと...クラスの皆さんのお名前はちゃんと覚えてますよ...?」
人の顔と名前を覚えるのは苦手だけど、これでも入学初日の個性把握テスト中クラスの人達の顔と名前を必死に頭に叩き込んだのだ。.....お友達が欲しい一心で。
入学して1週間以上経った今ではクラスメイトの顔と名前を憶えていることなど私にとっては当たり前のことだったのだけど、クラスメイト達にとってはかなり意外だったようで、俺は?私は?と次々に声をかけられた。
もちろん皆の名前はちゃんと答えられる。けどいっぺんに聞かれると誰から答えればいいのかわからない。
いつの間にか固まっていた表情筋が動きを取り戻し、オロオロしていると頬っぺたを何者かにムギュッと掴まれ、強制的に横を向かされた。
「...で、身体は大丈夫なのか?」
そこにはちょっとムスッとした轟くんのお顔があった。
そうだった。轟くんに「もう大丈夫なのか?!」って聞かれていたのにちゃんと答えられていなかったじゃないか。
慌てて身体も轟くんの方へと向けながら「全然大丈夫なんだけど今日は早くお家帰って休めって言われちゃった」と苦笑いを返す。
本当はつい先程轟くんの手によって命が脅かされていたけれども...今感じている具合の悪さももう少し眠ればすぐ治るだろうから大丈夫という言葉はまぁ嘘ではない。
私の言葉に安心したのか、轟くんの眉間に寄っていた皺が和らいだ。
「...心配した。」
「....あぅ、その、ごめんね、ご心配をおかけしました...。」
あまりにもストレートな言葉に一瞬面食らってしまった。
心配をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいのはずが、何故だかちょっとだけ、ほんのちょっとだけ....嬉しかった。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、クラスメイト達からも「俺も心配した!」とか「大丈夫そうで良かった」と口々に告げられる。
「本当にあなたが無事で良かったわ。」
そんな中声をかけてくれた蛙吹さんの存在に気付き、私が倒れてしまった後フォローをしてくれたであろうあの場にいた2人にお礼がまだだったことを思い出した。
「あの、蛙吹さん。それと峰田くんも。相澤先生だけじゃなく私のことまで保護していただきありがとうございました。」
2人に向かってぺこりとお辞儀をすると峰田くんが「いいってことよ!」と元気に返してくれた。
「ケロケロ。甦世風ちゃんも私が敵 に襲われていた時に助けに来てくれたんだからお互い様よ。こちらこそありがとう。」
「そういえばあの時の甦世風、すっげぇスピードで走ってきたし身のこなしとかもカッコ良かったよなぁ!お前があんなに戦えるやつだなんて知らなかったぜ!」
「あ、ありがとうございます...!近接格闘術は学校に入る前から護身用としてプロヒーローの方々に叩き込まれていたので...その...少しでもお役に立てたのなら嬉しいです。」
まさか戦闘を褒めてもらえるなんて...!
こんな私でも人の役に立てたことが嬉しくて頬が緩んでしまう。
轟くんが言ってくれた通り私の力は人を助ける為にあったんだと、ヒーローを目指して良かったと心から思わせてくれた。
「蛙吹さんと峰田くんに怪我が無くて本当によかったぁ。」
気の緩みから、思わず心の声が口から溢れてしまった。
あっ...と思った頃にはもう遅い。蛙吹さんと峰田くんは目を見開いた状態で固まってしまった。いや、2人だけじゃなく他のクラスメイト達も同じように固まっていた。
口に出すつもりのない言葉だったので敬語が抜けていた。いきなりタメ口は馴れ馴れしかったかもしれない。
しまった...と自分の口を塞ぐように口元を手で覆う。
いち早く硬直からとけた蛙吹さんは「...甦世風ちゃん、私、お友達になりたい子には名前で呼んでもらいたいの。」と呟いた。
そうだよね、蛙吹さんにもお友達を選ぶ権利はあるもんね。私なんかが調子に乗っていきなり馴れ馴れしくしちゃってごめんね。
「だからね、『梅雨ちゃん』と呼んでくれないかしら?」
「へ?」
ポカンと固まった。
それは私とお友達になりたいと言ってくれているという認識でよろしいのだろうか...?
思わず隣に居る轟くんの顔を見上げると、私の戸惑いが伝わったのか、背中を押すように僅かに微笑みながら無言で頷いてくれた。
周りの景色がキラキラと輝きだした気がした。
「えっと、と、とても光栄です!私のこともその...『治烏ちゃん』って呼んでください。...梅雨ちゃん」
私が名前を呼ぶと梅雨ちゃんはとても嬉しそうに頬を染め「えぇもちろんよ、治烏ちゃん」と笑ってくれたので私もつられて笑顔になった。
「梅雨ちゃんだけずるいー!私も治烏ちゃんとお友達になりたいー!!」
「私も私もー!」
「わ、私たちもお名前でお呼びしてもよろしいでしょうか?」
梅雨ちゃんと笑い合っているとクラスの女子たちがわらわらと集まって来て一瞬にして取り囲まれた。
いつもちょっと羨ましく思っていた皆の輪の中に今日は自分も自然と溶け込めていることに驚く。
ドキドキと心拍数が上がり、私とお友達になりたいと言ってくれる優しいクラスメイト達にも笑顔を向け「ぜひ!」と答えた。
--------------
◆オマケ
「っていうか治烏ちゃん轟に対してはタメ口なのになんで私たちには敬語なのさー。同い年なんだからさっきみたくタメ口で良いんだよ?」
「そ、そっか、じゃあタメ口にするね」
よかった、さっき皆の時が止まったのは私が馴れ馴れしかったのに引いたからじゃなかったんだ...!
同い年の人って距離感がわからなくてつい敬語になってしまうけどタメ口のが喋りやすいので素直にお言葉に甘えさせてもらう。
「タメ口といえばさ、治烏って轟だけじゃなくて爆豪にもタメ口で話してなかった?行きのバスの中で話してるの聞こえたんだけどあんた達って仲良かったの??」
「うん!爆豪くんは私のヒーローなので!」
にっこりと響香ちゃんからの質問に答えるとクラスメイト達は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。あれ、また私何かおかしなこと言っちゃった...?
「な、なんで爆豪?入試の時に爆破されて大怪我したんじゃないの...?そんなやつがどうしてヒーロー認定に?!」
「あ、あれは私の不注意で...でもその後帰り道で敵 に襲われてピンチだったところを爆豪くんが助けてくれたんだよ!」
みんな爆豪くんのことを勘違いしている節がある。本当はとっても良い人なんだから...!
必死に誤解を解こうと爆豪くんの格好良さを力説するとなぜか峰田くんがすごい形相で唇を噛み締めていた。
「うぉおおおいどういうことだよ爆豪!轟だけじゃなくお前まで抜け駆けして仲良くなってただとぉおお!?」
「あ“ぁ?別に仲良くなってねーわ!そいつが勝手に言ってるだけだわ!」
「そ、そんな...私達仲良しじゃないの...?うちで一緒にカップ麺を啜った仲なのに....」
「『う ち で ???』甦世風の家行ったんかお前!?めちゃくちゃ仲良しじゃねぇか!!!」
「だぁああああうぜぇえええええ」
上鳴くんまで加わり収集がつかなくなってきた頃、騒ぎを聞きつけて来たおばあちゃんから「早く帰って休めって言っただろ!」とお叱りを受け強制的に解散となるのだった。
何年もおばあちゃんのお手伝いをしていた成果か、許容上限や回復速度はあの頃と比べて向上していたみたい。
でもまだ身体が怠い状態なので事情聴取は日を改めることとなり、とりあえず動けるならすぐ家に帰って休むようにと保健室を追い出されてしまった。
***
眠くてしょぼしょぼしている瞳を擦りながら教室のドアを開けると誰もいないと思っていた教室にはまだクラスメイト達が残っていたらしい。ドアを開けるなり一斉に20人弱の視線に貫かれた。
(で、デジャブ.....!!)
クラス中の注目を浴びるという拷問イベントの発生に表情筋が固まるのを感じる。
前にもこんな風に放課後教室のドアを開けたらクラスメイト達がまだ残っていたことがあった。そう、たしか初めての実技演習があった日だ。
あの時は一緒にいた緑谷くんを盾にしてなんとかやりすごせたけど今回は私1人に注目が注がれているので逃げることが出来ない。
(どどどどどうしよう、完全に油断してた...!
何か言った方がいいの...かな?挨拶??こんにちは...は変だし....はっ、こんな時こそ万能挨拶『お疲れ様』だ!!)
この間おそらく0.数秒。
パニックながら何とかいい感じの結論を導き出し、口を開こうとした瞬間、ガタンッと大きな音が教室の奥から聞こえたのでそちらに視線を向けると轟くんが凄まじい形相でこちらへ向かって来ていた。
「轟くんどうしt「もう大丈夫なのか?!」
そのあまりの勢いにクラスメイト達への挨拶を慌ててキャンセルして「どうしたの?」と聞こうとした言葉は轟くんの言葉によって遮られ、凄まじい形相のまま肩を強く掴まれ前後に勢いよく揺すられた。
ただでさえ頭痛が残っている頭にこの震度はなかなか酷である。嵐の日に航海をしているような脳みその揺れに頭痛を通り越して気持ち悪さまで感じてきた。
「ぅおい轟、心配だったのはわかるけどその辺にしとけ!甦世風さん目ぇ回してるぞ!?」
「お。........悪ぃ」
切島くんのストップによって轟くんに掴まれていた肩は解放され、なんとか生命の危機を脱することが出来た。
いまだぐわんぐわんと脳の揺れを感じながらも「ありがとう切島くん...助かりました...。」とお礼を言うと、切島くんは「え、甦世風さん俺の名前覚えててくれたんだな?!」と驚きの声をあげた。
その言葉に私も驚いた。
ま、まさかクラスメイトの名前も覚えていないアホだと思われていたのだろうか...?
「えっと...クラスの皆さんのお名前はちゃんと覚えてますよ...?」
人の顔と名前を覚えるのは苦手だけど、これでも入学初日の個性把握テスト中クラスの人達の顔と名前を必死に頭に叩き込んだのだ。.....お友達が欲しい一心で。
入学して1週間以上経った今ではクラスメイトの顔と名前を憶えていることなど私にとっては当たり前のことだったのだけど、クラスメイト達にとってはかなり意外だったようで、俺は?私は?と次々に声をかけられた。
もちろん皆の名前はちゃんと答えられる。けどいっぺんに聞かれると誰から答えればいいのかわからない。
いつの間にか固まっていた表情筋が動きを取り戻し、オロオロしていると頬っぺたを何者かにムギュッと掴まれ、強制的に横を向かされた。
「...で、身体は大丈夫なのか?」
そこにはちょっとムスッとした轟くんのお顔があった。
そうだった。轟くんに「もう大丈夫なのか?!」って聞かれていたのにちゃんと答えられていなかったじゃないか。
慌てて身体も轟くんの方へと向けながら「全然大丈夫なんだけど今日は早くお家帰って休めって言われちゃった」と苦笑いを返す。
本当はつい先程轟くんの手によって命が脅かされていたけれども...今感じている具合の悪さももう少し眠ればすぐ治るだろうから大丈夫という言葉はまぁ嘘ではない。
私の言葉に安心したのか、轟くんの眉間に寄っていた皺が和らいだ。
「...心配した。」
「....あぅ、その、ごめんね、ご心配をおかけしました...。」
あまりにもストレートな言葉に一瞬面食らってしまった。
心配をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいのはずが、何故だかちょっとだけ、ほんのちょっとだけ....嬉しかった。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、クラスメイト達からも「俺も心配した!」とか「大丈夫そうで良かった」と口々に告げられる。
「本当にあなたが無事で良かったわ。」
そんな中声をかけてくれた蛙吹さんの存在に気付き、私が倒れてしまった後フォローをしてくれたであろうあの場にいた2人にお礼がまだだったことを思い出した。
「あの、蛙吹さん。それと峰田くんも。相澤先生だけじゃなく私のことまで保護していただきありがとうございました。」
2人に向かってぺこりとお辞儀をすると峰田くんが「いいってことよ!」と元気に返してくれた。
「ケロケロ。甦世風ちゃんも私が
「そういえばあの時の甦世風、すっげぇスピードで走ってきたし身のこなしとかもカッコ良かったよなぁ!お前があんなに戦えるやつだなんて知らなかったぜ!」
「あ、ありがとうございます...!近接格闘術は学校に入る前から護身用としてプロヒーローの方々に叩き込まれていたので...その...少しでもお役に立てたのなら嬉しいです。」
まさか戦闘を褒めてもらえるなんて...!
こんな私でも人の役に立てたことが嬉しくて頬が緩んでしまう。
轟くんが言ってくれた通り私の力は人を助ける為にあったんだと、ヒーローを目指して良かったと心から思わせてくれた。
「蛙吹さんと峰田くんに怪我が無くて本当によかったぁ。」
気の緩みから、思わず心の声が口から溢れてしまった。
あっ...と思った頃にはもう遅い。蛙吹さんと峰田くんは目を見開いた状態で固まってしまった。いや、2人だけじゃなく他のクラスメイト達も同じように固まっていた。
口に出すつもりのない言葉だったので敬語が抜けていた。いきなりタメ口は馴れ馴れしかったかもしれない。
しまった...と自分の口を塞ぐように口元を手で覆う。
いち早く硬直からとけた蛙吹さんは「...甦世風ちゃん、私、お友達になりたい子には名前で呼んでもらいたいの。」と呟いた。
そうだよね、蛙吹さんにもお友達を選ぶ権利はあるもんね。私なんかが調子に乗っていきなり馴れ馴れしくしちゃってごめんね。
「だからね、『梅雨ちゃん』と呼んでくれないかしら?」
「へ?」
ポカンと固まった。
それは私とお友達になりたいと言ってくれているという認識でよろしいのだろうか...?
思わず隣に居る轟くんの顔を見上げると、私の戸惑いが伝わったのか、背中を押すように僅かに微笑みながら無言で頷いてくれた。
周りの景色がキラキラと輝きだした気がした。
「えっと、と、とても光栄です!私のこともその...『治烏ちゃん』って呼んでください。...梅雨ちゃん」
私が名前を呼ぶと梅雨ちゃんはとても嬉しそうに頬を染め「えぇもちろんよ、治烏ちゃん」と笑ってくれたので私もつられて笑顔になった。
「梅雨ちゃんだけずるいー!私も治烏ちゃんとお友達になりたいー!!」
「私も私もー!」
「わ、私たちもお名前でお呼びしてもよろしいでしょうか?」
梅雨ちゃんと笑い合っているとクラスの女子たちがわらわらと集まって来て一瞬にして取り囲まれた。
いつもちょっと羨ましく思っていた皆の輪の中に今日は自分も自然と溶け込めていることに驚く。
ドキドキと心拍数が上がり、私とお友達になりたいと言ってくれる優しいクラスメイト達にも笑顔を向け「ぜひ!」と答えた。
--------------
◆オマケ
「っていうか治烏ちゃん轟に対してはタメ口なのになんで私たちには敬語なのさー。同い年なんだからさっきみたくタメ口で良いんだよ?」
「そ、そっか、じゃあタメ口にするね」
よかった、さっき皆の時が止まったのは私が馴れ馴れしかったのに引いたからじゃなかったんだ...!
同い年の人って距離感がわからなくてつい敬語になってしまうけどタメ口のが喋りやすいので素直にお言葉に甘えさせてもらう。
「タメ口といえばさ、治烏って轟だけじゃなくて爆豪にもタメ口で話してなかった?行きのバスの中で話してるの聞こえたんだけどあんた達って仲良かったの??」
「うん!爆豪くんは私のヒーローなので!」
にっこりと響香ちゃんからの質問に答えるとクラスメイト達は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。あれ、また私何かおかしなこと言っちゃった...?
「な、なんで爆豪?入試の時に爆破されて大怪我したんじゃないの...?そんなやつがどうしてヒーロー認定に?!」
「あ、あれは私の不注意で...でもその後帰り道で
みんな爆豪くんのことを勘違いしている節がある。本当はとっても良い人なんだから...!
必死に誤解を解こうと爆豪くんの格好良さを力説するとなぜか峰田くんがすごい形相で唇を噛み締めていた。
「うぉおおおいどういうことだよ爆豪!轟だけじゃなくお前まで抜け駆けして仲良くなってただとぉおお!?」
「あ“ぁ?別に仲良くなってねーわ!そいつが勝手に言ってるだけだわ!」
「そ、そんな...私達仲良しじゃないの...?うちで一緒にカップ麺を啜った仲なのに....」
「『う ち で ???』甦世風の家行ったんかお前!?めちゃくちゃ仲良しじゃねぇか!!!」
「だぁああああうぜぇえええええ」
上鳴くんまで加わり収集がつかなくなってきた頃、騒ぎを聞きつけて来たおばあちゃんから「早く帰って休めって言っただろ!」とお叱りを受け強制的に解散となるのだった。