【長編】メランコリック・エンジェル
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USJ敵襲撃事件はオールマイトの活躍と、駆けつけた教師達によって収束した。
大怪我を負った相澤と13号は病院へ搬送され、オールマイトは保健室でリカバリーガールの治癒を受けることとなった。
自身の個性の影響で負傷した緑谷、個性の許容超えで昏睡状態になった治烏も保健室へ運ばれたものの、残りの生徒達は大きな怪我もなく無事だった為、警察による事情聴取が執り行われた。
直接USJ襲撃の主犯格と相対した爆豪はその中でも特に事情聴取に時間がかかり、クラスに戻るのが一番最後となった。
長時間拘束されたことで戦闘とは違う疲れを感じつつ教室へ戻ると先に事情聴取を終えたクラスメイト達は治烏の噂話をしていた。
「毎回大怪我してる緑谷だけじゃなく天使ちゃんまで倒れたのは心配だよなぁ。」
「メディアに出てた頃結構病弱だったよね?
雄英入ってからそんな素振りなかったから忘れてたけどやっぱりまだ身体弱いのかな?」
『憂いを帯びた天使 』が生まれつき病弱というのは有名な話だった。
10数年前、とある病院にテロの被害者が運び込まれた。同病院に入院中だった幼い彼女はまだ個性が発現して間もないにも関わらず、その強力な力で被害者達を一瞬で治癒してみせ、一躍その名を世間に轟かせたのだ。
その後全国を回りながら最新鋭の治療を受けていた甲斐もあり、年齢が上がるにつれて少しずつ身体が丈夫になっていたはずだが、まだ少し身体が弱いのかもしれない。
しかし個性の使いすぎで倒れたという話は聞いたことがなかった為、一同は治烏の事をとても心配していた。治烏と一番仲が良い轟は特に心配そうに俯いている。
「でもさ...甦世風さんって個性の反動で倒れたんだよね?それだけ力使ったはずなのに相澤先生が病院に搬送されるくらい重症のままなのっておかしくない...?」
尾白の鋭い指摘に一同は「たしかに」と思った。
自分たちの知っている『憂いを帯びた天使 』はリカバリーガールと同じかそれ以上に強力な治癒能力があったはずだ。
実際テレビで放送されていた『憂いを帯びた天使 』は今回の相澤と同じくらいの重傷人も顔色一つ変えずに治していたように記憶している。
....しかし実際治烏に治癒を施された相澤は出血などは止まったものの依然として気を失い重傷のままだった。
おかしいのはそれだけではない。
初めての実技演習の際、治烏は負傷した緑谷の治癒を手伝うと言って授業を抜けたにも関わらず、その日のうちに緑谷の傷が治っていなかった。
緑谷の話によると、リカバリーガールは対象の治癒力を活性化させる個性の為、立て続けに治癒を施すと逆に死ぬから日を跨いで治癒することになったらしい。治烏もリカバリーガールと同一の個性の可能性はある。
しかし、緑谷が保健室で眠っている間、治烏による治癒はたしかに施されていたらしい。
自分たちが記憶している『憂いを帯びた天使 』と実際の治烏とのギャップに一同が頭を傾げていると八百万が小さく呟いた。
「もしかして...甦世風さんがメディアから姿を消したことと何か関係があるのではないでしょうか...?」
八百万の呟きにハッとして飯田も声を上げる。
「....そうか!3年前、以前のように個性を使えなくなってしまう何かがあって今までのような活動が出来なくなってしまいメディアから姿を消したと考えると辻褄が合うな...!」
「そういうことですわ。そして治癒の力が弱体化してしまったにも関わらず甦世風さんの『人々を助けたい』という気持ちは変わらず、もう一つの風の個性を駆使して今度はヒーローを志そうと思ったのではないでしょうか?!」
「ブラボー!!甦世風くんはなんて立派なんだ!!!その心意気こそまさにヒーローと呼ぶに相応しい!!!!」
飯田と八百万、クラス委員長と副委員長でもある1-A屈指の秀才コンビの名推理に周りのクラスメイト達も「そういうことだったのか...!」と納得した。
自分の推理に感極まって涙する飯田につられて切島も「甦世風さん....漢らしいぜ...」と涙を噛み締めている。
「ということは、デクくんが『憂いを帯びた天使 』のファンだって言ったら暗い顔になっちゃったいうんは、『今の自分にはファンの期待に応えられるような治癒能力がない』って思わせちゃったからやね...」
「そうなりますわね。以前私が声をかけた時も「有名人」と言ってしまったので同様のことを思わせてしまったのかもしれません。
おそらく甦世風さん自身、強力な治癒能力が失われてとてもショックなはず...過去を思い出す話は禁句なのでしょう。
だからこそリカバリーガールは緑谷さんに「『憂いを帯びた天使 』としてではなく『普通の女の子』として接してあげてほしい」と仰ったのではないでしょうか?」
今まで彼女という存在についてなかなか理解が及ばず、接し方に迷っていたクラスメイト達はようやく解決の糸口を見つけられたような気がした。今なら甦世風治烏とも仲良くなれるかもしれない。
敵の襲撃を受け、暗い雰囲気だったクラスに少しずつ活気が戻ってきた。
そんなクラスメイト達を爆豪はなんとも言えない表情で眺めていた。
するとタイミングよく教室のドアが開きまだ少し眠そうな顔をした治烏が姿を現した。
大怪我を負った相澤と13号は病院へ搬送され、オールマイトは保健室でリカバリーガールの治癒を受けることとなった。
自身の個性の影響で負傷した緑谷、個性の許容超えで昏睡状態になった治烏も保健室へ運ばれたものの、残りの生徒達は大きな怪我もなく無事だった為、警察による事情聴取が執り行われた。
直接USJ襲撃の主犯格と相対した爆豪はその中でも特に事情聴取に時間がかかり、クラスに戻るのが一番最後となった。
長時間拘束されたことで戦闘とは違う疲れを感じつつ教室へ戻ると先に事情聴取を終えたクラスメイト達は治烏の噂話をしていた。
「毎回大怪我してる緑谷だけじゃなく天使ちゃんまで倒れたのは心配だよなぁ。」
「メディアに出てた頃結構病弱だったよね?
雄英入ってからそんな素振りなかったから忘れてたけどやっぱりまだ身体弱いのかな?」
『
10数年前、とある病院にテロの被害者が運び込まれた。同病院に入院中だった幼い彼女はまだ個性が発現して間もないにも関わらず、その強力な力で被害者達を一瞬で治癒してみせ、一躍その名を世間に轟かせたのだ。
その後全国を回りながら最新鋭の治療を受けていた甲斐もあり、年齢が上がるにつれて少しずつ身体が丈夫になっていたはずだが、まだ少し身体が弱いのかもしれない。
しかし個性の使いすぎで倒れたという話は聞いたことがなかった為、一同は治烏の事をとても心配していた。治烏と一番仲が良い轟は特に心配そうに俯いている。
「でもさ...甦世風さんって個性の反動で倒れたんだよね?それだけ力使ったはずなのに相澤先生が病院に搬送されるくらい重症のままなのっておかしくない...?」
尾白の鋭い指摘に一同は「たしかに」と思った。
自分たちの知っている『
実際テレビで放送されていた『
....しかし実際治烏に治癒を施された相澤は出血などは止まったものの依然として気を失い重傷のままだった。
おかしいのはそれだけではない。
初めての実技演習の際、治烏は負傷した緑谷の治癒を手伝うと言って授業を抜けたにも関わらず、その日のうちに緑谷の傷が治っていなかった。
緑谷の話によると、リカバリーガールは対象の治癒力を活性化させる個性の為、立て続けに治癒を施すと逆に死ぬから日を跨いで治癒することになったらしい。治烏もリカバリーガールと同一の個性の可能性はある。
しかし、緑谷が保健室で眠っている間、治烏による治癒はたしかに施されていたらしい。
自分たちが記憶している『
「もしかして...甦世風さんがメディアから姿を消したことと何か関係があるのではないでしょうか...?」
八百万の呟きにハッとして飯田も声を上げる。
「....そうか!3年前、以前のように個性を使えなくなってしまう何かがあって今までのような活動が出来なくなってしまいメディアから姿を消したと考えると辻褄が合うな...!」
「そういうことですわ。そして治癒の力が弱体化してしまったにも関わらず甦世風さんの『人々を助けたい』という気持ちは変わらず、もう一つの風の個性を駆使して今度はヒーローを志そうと思ったのではないでしょうか?!」
「ブラボー!!甦世風くんはなんて立派なんだ!!!その心意気こそまさにヒーローと呼ぶに相応しい!!!!」
飯田と八百万、クラス委員長と副委員長でもある1-A屈指の秀才コンビの名推理に周りのクラスメイト達も「そういうことだったのか...!」と納得した。
自分の推理に感極まって涙する飯田につられて切島も「甦世風さん....漢らしいぜ...」と涙を噛み締めている。
「ということは、デクくんが『
「そうなりますわね。以前私が声をかけた時も「有名人」と言ってしまったので同様のことを思わせてしまったのかもしれません。
おそらく甦世風さん自身、強力な治癒能力が失われてとてもショックなはず...過去を思い出す話は禁句なのでしょう。
だからこそリカバリーガールは緑谷さんに「『
今まで彼女という存在についてなかなか理解が及ばず、接し方に迷っていたクラスメイト達はようやく解決の糸口を見つけられたような気がした。今なら甦世風治烏とも仲良くなれるかもしれない。
敵の襲撃を受け、暗い雰囲気だったクラスに少しずつ活気が戻ってきた。
そんなクラスメイト達を爆豪はなんとも言えない表情で眺めていた。
するとタイミングよく教室のドアが開きまだ少し眠そうな顔をした治烏が姿を現した。