【長編】メランコリック・エンジェル
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次に私が目を覚ましたのは病院のベットの上だった。
今は使われていないはずの廃倉庫から突然竜巻が発生したのを目撃した近隣住民がヒーローと警察に通報し、駆けつけたヒーローによって私達は保護されたらしい。
友璃愛ちゃんは全身打撲だらけで出血量も多く、かなり危ない状態ではあったけど、私が気を失う直前に施した治癒で傷口はほとんど塞げていたらしく、ギリギリ一命は取り留めたみたいだ。
私達を誘拐した男も同じく全身打撲だらけだったが命に別状は無く、そのまま警察に捕まった。
子供を中心とした連続誘拐事件の容疑者として指名手配されていた人だったらしい。
私自身は個性の使いすぎによる疲労で数日間眠り続けていたらしい。
男に蹴り飛ばされた時の打撲と腕を刺された傷は体内の治癒力が活性化しているお陰で眠っているうちに綺麗に治っていた為、目が覚めたら軽く検査を受けただけですぐに退院することが出来た。
私のせいでボロボロになってしまった友璃愛ちゃんの姿が脳裏に焼きついていて、離れない。
外傷はすぐに治っても、心の傷は癒えないままだった。
目が覚めてすぐ、看護婦さんに友璃愛ちゃんの容態を聞いたら治療は順調に進み、今は回復に向かっていると教えてもらいホッとしたけれど、私のせいで事件に巻き込み、大怪我まで負わせてしまったと思うと友璃愛ちゃんに合わせる顔なんてなくて...
私は友璃愛ちゃんのお見舞いにも謝罪にも行けず現実から逃げるように実家に引きこもるようになってしまった。
危険な個性を持っていることがわかった私はお母さんから更に疎ましく思われてしまったようで、ヒーローでもあるおばあちゃんの元に押し付けられる形で引き取られた。
ーーーーーーーーーーーー
『自分は危険な個性を持っている』ということを忘れていたわけではない。
でも、改めて人から『一歩間違えれば容易に人を殺せる』と言われたことであの時のことを鮮明に思い出してしまった。
バクバクと動悸が激しくなり、嫌な汗が流れる。
「甦世風...?」
私の様子がおかしいのに気付いたのか隣にいた轟くんが心配そうに名前を呼んでくれたことでハッと我に返った。
いつの間にか13号先生のお小言(?)は終わっていた。
麗日さんや飯田くんが大絶賛している。
途中から全く耳に入っていなかったけど何か良い話だったみたいだ。
い、いかん。授業に集中せねば...!
嫌なことを思い出してしまい心が騒ついてしまった。こんな状態で戦闘なんて出来る気がしない。今日が救助訓練で良かった...
そんなことを考えていたら広場の方に突然黒いモヤのようなものが現れた。
「一かたまりになって動くな!13号、生徒を守れ!」
相澤先生からの突然の指示に私達が唖然としているとモヤの中からガラの悪そうな人達が大勢出てきた。
「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」
私も最初エキストラも参加するなんて本格的だなぁ。なんて思ったけれど、モヤから出てきた人たちの目を見てすぐに勘違いだと悟った。
この殺気。アレは本物の...
「動くな!あれは...敵 だ!!!!」
敵 集団の中に相澤先生が単身で飛び込み応戦する。
その隙に私達は13号先生の指示で演習場の外へと避難しようとしていたら相澤先生の防衛を掻い潜ったモヤの敵 が私達の前に現れた。
『散らして殺す』
そう言ってモヤの敵 は私達を飲み込んだ。
***
モヤの敵 に飲み込まれたかと思ったら次の瞬間には土砂災害を模したエリアに飛ばされていた。
とりあえず知らない場所ではなく演習場の建物内のようで安心したのも束の間、私の周りにはチンピラみたいな敵 達が取り囲んでいた。
「来た来た。女の子1人か。」
「ちょっとお兄さん達と遊んでくれる?」
ニヤニヤしながら近づいてくるチンピラ敵 達。
人数は10人ほど。もはや戦闘なんて出来る気がしないとか思っている場合ではなかった。やらなきゃ、やられる。
私が無言で構えるとチンピラ敵 達は一斉にこちらに襲いかかってきた。
虎さん直伝の身体の柔らかさを活かした動きで攻撃を躱す。
そして相手に隙が出来たところで風を纏った拳を叩き込もうとしたのだが...
「....っ」
脳裏に先ほど鮮明に思い出してしまった『あの事件』のことがチラつき風の力が出せなかった。
風を纏えなかった私の拳は非力で、敵 になんのダメージも与えられない。
「おいおい、そんなか弱いパンチじゃ俺は倒せない...ぜ!」
「ぐっ」
敵 に打ち込んだ拳を逆に掴まれそのまま地面に叩きつけられ息が詰まる。
馬乗りになられそうになったけどすんでのところで避け態勢を立て直した。
あ、危なかった....。
風の力を使えないとなると私にはパワーが無いので迎撃は不可能。
この人数を近接格闘術だけで逃げ回れるか...?
無理だ。1人、2人ならまだしも10人も相手にするには風を使わなきゃ勝てないだろう。
風の力を........
ドクンッ
集中してもう一度風を使おうとしたがやはりあの光景が脳裏にチラついてしまう。
また個性の制御が出来なくてあんなことになってしまったら...
『一歩間違えれば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っていることを忘れないで下さい』
相手は敵 といえど、もし殺してしまったら...?
嫌な想像ばかりが頭の中をぐるぐると回る。
マイナス思考に頭が占拠されていたところ突然何者かに足を掴まれた。
「!?」
「足元がお留守だよお嬢ちゃん」
土の中から現れた敵 に態勢を崩され、その隙に他の敵 が身体からロープのようなものを出し私の身体に巻きつけた。
腕と足が拘束されてしまい地面に転がされてしまう。
動けなくなった私の周りに敵 達はワラワラと集まってきた。
「最近の女子高生はいい身体してるねぇ?ちょっとお顔も見せてほしいなぁ」
チンピラ敵 の1人が下品に笑い舌舐めずりをしながら私のヘルメットに手を伸ばす。
どうしよう、怖い。怖い。怖い。
防衛本能によって風が発動しかけたその時、吹き始めた風に乗って冷気が流れてきた。
今は使われていないはずの廃倉庫から突然竜巻が発生したのを目撃した近隣住民がヒーローと警察に通報し、駆けつけたヒーローによって私達は保護されたらしい。
友璃愛ちゃんは全身打撲だらけで出血量も多く、かなり危ない状態ではあったけど、私が気を失う直前に施した治癒で傷口はほとんど塞げていたらしく、ギリギリ一命は取り留めたみたいだ。
私達を誘拐した男も同じく全身打撲だらけだったが命に別状は無く、そのまま警察に捕まった。
子供を中心とした連続誘拐事件の容疑者として指名手配されていた人だったらしい。
私自身は個性の使いすぎによる疲労で数日間眠り続けていたらしい。
男に蹴り飛ばされた時の打撲と腕を刺された傷は体内の治癒力が活性化しているお陰で眠っているうちに綺麗に治っていた為、目が覚めたら軽く検査を受けただけですぐに退院することが出来た。
私のせいでボロボロになってしまった友璃愛ちゃんの姿が脳裏に焼きついていて、離れない。
外傷はすぐに治っても、心の傷は癒えないままだった。
目が覚めてすぐ、看護婦さんに友璃愛ちゃんの容態を聞いたら治療は順調に進み、今は回復に向かっていると教えてもらいホッとしたけれど、私のせいで事件に巻き込み、大怪我まで負わせてしまったと思うと友璃愛ちゃんに合わせる顔なんてなくて...
私は友璃愛ちゃんのお見舞いにも謝罪にも行けず現実から逃げるように実家に引きこもるようになってしまった。
危険な個性を持っていることがわかった私はお母さんから更に疎ましく思われてしまったようで、ヒーローでもあるおばあちゃんの元に押し付けられる形で引き取られた。
ーーーーーーーーーーーー
『自分は危険な個性を持っている』ということを忘れていたわけではない。
でも、改めて人から『一歩間違えれば容易に人を殺せる』と言われたことであの時のことを鮮明に思い出してしまった。
バクバクと動悸が激しくなり、嫌な汗が流れる。
「甦世風...?」
私の様子がおかしいのに気付いたのか隣にいた轟くんが心配そうに名前を呼んでくれたことでハッと我に返った。
いつの間にか13号先生のお小言(?)は終わっていた。
麗日さんや飯田くんが大絶賛している。
途中から全く耳に入っていなかったけど何か良い話だったみたいだ。
い、いかん。授業に集中せねば...!
嫌なことを思い出してしまい心が騒ついてしまった。こんな状態で戦闘なんて出来る気がしない。今日が救助訓練で良かった...
そんなことを考えていたら広場の方に突然黒いモヤのようなものが現れた。
「一かたまりになって動くな!13号、生徒を守れ!」
相澤先生からの突然の指示に私達が唖然としているとモヤの中からガラの悪そうな人達が大勢出てきた。
「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」
私も最初エキストラも参加するなんて本格的だなぁ。なんて思ったけれど、モヤから出てきた人たちの目を見てすぐに勘違いだと悟った。
この殺気。アレは本物の...
「動くな!あれは...
その隙に私達は13号先生の指示で演習場の外へと避難しようとしていたら相澤先生の防衛を掻い潜ったモヤの
『散らして殺す』
そう言ってモヤの
***
モヤの
とりあえず知らない場所ではなく演習場の建物内のようで安心したのも束の間、私の周りにはチンピラみたいな
「来た来た。女の子1人か。」
「ちょっとお兄さん達と遊んでくれる?」
ニヤニヤしながら近づいてくるチンピラ
人数は10人ほど。もはや戦闘なんて出来る気がしないとか思っている場合ではなかった。やらなきゃ、やられる。
私が無言で構えるとチンピラ
虎さん直伝の身体の柔らかさを活かした動きで攻撃を躱す。
そして相手に隙が出来たところで風を纏った拳を叩き込もうとしたのだが...
「....っ」
脳裏に先ほど鮮明に思い出してしまった『あの事件』のことがチラつき風の力が出せなかった。
風を纏えなかった私の拳は非力で、
「おいおい、そんなか弱いパンチじゃ俺は倒せない...ぜ!」
「ぐっ」
馬乗りになられそうになったけどすんでのところで避け態勢を立て直した。
あ、危なかった....。
風の力を使えないとなると私にはパワーが無いので迎撃は不可能。
この人数を近接格闘術だけで逃げ回れるか...?
無理だ。1人、2人ならまだしも10人も相手にするには風を使わなきゃ勝てないだろう。
風の力を........
ドクンッ
集中してもう一度風を使おうとしたがやはりあの光景が脳裏にチラついてしまう。
また個性の制御が出来なくてあんなことになってしまったら...
『一歩間違えれば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っていることを忘れないで下さい』
相手は
嫌な想像ばかりが頭の中をぐるぐると回る。
マイナス思考に頭が占拠されていたところ突然何者かに足を掴まれた。
「!?」
「足元がお留守だよお嬢ちゃん」
土の中から現れた
腕と足が拘束されてしまい地面に転がされてしまう。
動けなくなった私の周りに
「最近の女子高生はいい身体してるねぇ?ちょっとお顔も見せてほしいなぁ」
チンピラ
どうしよう、怖い。怖い。怖い。
防衛本能によって風が発動しかけたその時、吹き始めた風に乗って冷気が流れてきた。