short story
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カフェで働く私のバイト先に来る金髪の男性はいつもミルクティーとモンブランを頼む。注文の時と会計でしか言葉を交わしたことは無いけど、とても端正な顔立ちで切れ長の目はいつ見てもセクシーだな、と思う。
そして良い家の育ちなのだろうか、いつものセットを食事する姿は優雅でさながら王子様だ。私含め、バイトの女子はその容姿をそのまま取って「プリンス」と呼んでいる。
週に一度、何をする訳でもなくただその2つを頼み30分ほどのティータイムを楽しむと黙ってレジにやってくる。
「お会計が和栗のモンブランとアールグレイミルクティーのおふたつで1370円です」
プリンスが財布の中身からクレジットカードを取り出す。そしてそれもプリンスらしく、何度観ても飽きないかの有名なブラックカードだ。そんなに歳も行っていないだろうに、どこからその財力が、と神を恨むばかりである。
これがプリンスと私が行ういつものやり取りだ。しかし、このやり取りがいつもの事ではなくなったのはクレジットカードの決済待ちの時間のせいであった。
「…髪色、変えたのだな。よく似合っている」
いつもは注文と会計でしか聞かなかったはずの声が今、私の個人的な内容で発されたのだ。確かに先日までグレージュのような色をしていたが、今回は思い切ってピンクにしてみた。学校の友達やバイト先の先輩に褒められることはあってもまさかプリンスに褒めてもらえるとは夢にも思っていなかったから、内心すごくドキドキしている。
「…ありがとうございます。私のこと、覚えててくれたんですね」
そう答えればプリンスはフッと鼻で笑った。
「怜央の事で分からないことなどない。いつか我が妻になるのだから」
得意げにそう言うプリンスは思っていたよりずっとユーモアのある人なのかもしれない。
「初めて話したけど、凄い面白い人なんですね」
面白いも何も本当の事だ、と真剣な目で言うものだから私も気を良くしてまた機会があれば、と前向きに聞こえるような返しをした。
「こちらお返しします」
クレジットカードを返すとプリンスは財布にしまい、美味かったと目を合わせてきた。顔がかっこよく優雅なたまけに、こういうスマートなことを当たり前かのようにやってくる様は流石はプリンス、とその異名に磨きをかける。
「そうだ、お名前聞いてもいいですか?次来られた時も、少しはお話したいですから」
「…ふむ、そうだな。会話から愛を深めていくのもまた一興か。俺は風間千景だ、覚えておけ」
プリンスこと風間さんは相変わらずの口調で名前を教えてくれた。風間さんが来るのは毎週水曜日の16時頃、閑散とした時間に優雅に来店してくる。
今日のこの会話がユーモアのある冗談ではなく、本気だったと知るのは、来週の16時頃になってからの話だ。
そして良い家の育ちなのだろうか、いつものセットを食事する姿は優雅でさながら王子様だ。私含め、バイトの女子はその容姿をそのまま取って「プリンス」と呼んでいる。
週に一度、何をする訳でもなくただその2つを頼み30分ほどのティータイムを楽しむと黙ってレジにやってくる。
「お会計が和栗のモンブランとアールグレイミルクティーのおふたつで1370円です」
プリンスが財布の中身からクレジットカードを取り出す。そしてそれもプリンスらしく、何度観ても飽きないかの有名なブラックカードだ。そんなに歳も行っていないだろうに、どこからその財力が、と神を恨むばかりである。
これがプリンスと私が行ういつものやり取りだ。しかし、このやり取りがいつもの事ではなくなったのはクレジットカードの決済待ちの時間のせいであった。
「…髪色、変えたのだな。よく似合っている」
いつもは注文と会計でしか聞かなかったはずの声が今、私の個人的な内容で発されたのだ。確かに先日までグレージュのような色をしていたが、今回は思い切ってピンクにしてみた。学校の友達やバイト先の先輩に褒められることはあってもまさかプリンスに褒めてもらえるとは夢にも思っていなかったから、内心すごくドキドキしている。
「…ありがとうございます。私のこと、覚えててくれたんですね」
そう答えればプリンスはフッと鼻で笑った。
「怜央の事で分からないことなどない。いつか我が妻になるのだから」
得意げにそう言うプリンスは思っていたよりずっとユーモアのある人なのかもしれない。
「初めて話したけど、凄い面白い人なんですね」
面白いも何も本当の事だ、と真剣な目で言うものだから私も気を良くしてまた機会があれば、と前向きに聞こえるような返しをした。
「こちらお返しします」
クレジットカードを返すとプリンスは財布にしまい、美味かったと目を合わせてきた。顔がかっこよく優雅なたまけに、こういうスマートなことを当たり前かのようにやってくる様は流石はプリンス、とその異名に磨きをかける。
「そうだ、お名前聞いてもいいですか?次来られた時も、少しはお話したいですから」
「…ふむ、そうだな。会話から愛を深めていくのもまた一興か。俺は風間千景だ、覚えておけ」
プリンスこと風間さんは相変わらずの口調で名前を教えてくれた。風間さんが来るのは毎週水曜日の16時頃、閑散とした時間に優雅に来店してくる。
今日のこの会話がユーモアのある冗談ではなく、本気だったと知るのは、来週の16時頃になってからの話だ。