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蛤御門へ到着するとそこは既に戦禍の跡だった。朝方押しかけてきた長州勢を会津藩と薩摩藩が抑えた結果らしい。長州の残党はまだ公家御門の方に、先導者は天王山へ向かっているらしい。
「山崎と斎藤は周辺の情報調査を、原田は公家御門の警備を頼む」
土方はそれぞれに指示を出すと残り新選組を連れ、天王山を目指した。
「ほう、田舎の侍のなり損ないが池田屋に続き今日も手柄探しか?」
橋に差し掛かった時、前方に立つひとりの男が隊士を斬りつけた。何故斬ったかと聞けば、侍の誇りも知らぬ幕府の犬だからだと言う。
「敗北を知り戦場を去った連中が武士らしく死ぬ場所を求めているのだ。なぜに理解してやらん?」
「だからと言って誰かの誇りを守るために誰かを斬るなんて間違ってます!形だけ守ってもらうなんて、それこそ武士としての誇りを捨ててるのと一緒です」
千鶴は先方で斬られた隊士の止血を終えると男にそう言い返した。風間はどこか含みのある目をしながらさらに問い質す。新選組の手柄のためなら他人の誇りを犯しても良いというのか、と。
「討死する覚悟もなく尻尾巻いて逃げた連中が武士らしく死のうなんざ甘いんだよ。罪人は斬首刑で十分だ。死ぬ覚悟もなく戦場に来る奴は、武士の風上にも置けねえ。お前も死ぬ覚悟は出来てんだろうな?」
「ほう…口だけは達者なようだな」
土方は新選組の残りの部隊を永倉に任せ、天王山へ向かわせると目の前の男と対峙する。互いに睨み合って、一触即発。どちらからと言わず刀の重なる音が響いた。
余裕そうな様子の男とほぼ互角にやり合う土方。そして最終、男の持つ刀を弾いた。そしてその刀は処置を受ける隊士の方へ飛んでゆく。
「千鶴危ない!」
怜央は飛んできた刀を弾いたが身を呈して隊士を守った千鶴の腕を僅かに斬り裂いた。滴る血を見てか、男は目を見開く。
「薩摩藩に組みする我々が新選組と戦う理由がないことくらい、風間も承知でしょう」
しんとした時間が流れたあと、風間と呼ばれた男の仲間が仲裁に現れた。転がっていた刀を拾い礼をすると風間を連れてその場を立ち去る。
「千鶴、手当をしよう。これで抑えていなさい」
「ありがとう…」
懐にあった布を千鶴に渡すと怜央は隊士の方へ駆け寄る。幸い意識もはっきりとしており、歩ける体力もあるようだ。天王山を目指すため四人は先を急いていると前方の永倉率いる隊が引き返しているのが見えた。
「長州の連中、天王山で一人残らず切腹だった」
「…そうか。敵ながら天晴 だな」
新選組にとって悪い結果でも、潔いものを潔しとするのは悪いことでは無い。土方はそう言うと撤退の命令を出した。
その最中、長州の残党は京の町に火を放つ。その影響でたくさんの民家、土蔵、寺社が焼失、祇園祭りの山鉾もその殆どが燃え尽きた。
のちにこの事件は禁門の変と呼ばれるようになる。
「山崎と斎藤は周辺の情報調査を、原田は公家御門の警備を頼む」
土方はそれぞれに指示を出すと残り新選組を連れ、天王山を目指した。
「ほう、田舎の侍のなり損ないが池田屋に続き今日も手柄探しか?」
橋に差し掛かった時、前方に立つひとりの男が隊士を斬りつけた。何故斬ったかと聞けば、侍の誇りも知らぬ幕府の犬だからだと言う。
「敗北を知り戦場を去った連中が武士らしく死ぬ場所を求めているのだ。なぜに理解してやらん?」
「だからと言って誰かの誇りを守るために誰かを斬るなんて間違ってます!形だけ守ってもらうなんて、それこそ武士としての誇りを捨ててるのと一緒です」
千鶴は先方で斬られた隊士の止血を終えると男にそう言い返した。風間はどこか含みのある目をしながらさらに問い質す。新選組の手柄のためなら他人の誇りを犯しても良いというのか、と。
「討死する覚悟もなく尻尾巻いて逃げた連中が武士らしく死のうなんざ甘いんだよ。罪人は斬首刑で十分だ。死ぬ覚悟もなく戦場に来る奴は、武士の風上にも置けねえ。お前も死ぬ覚悟は出来てんだろうな?」
「ほう…口だけは達者なようだな」
土方は新選組の残りの部隊を永倉に任せ、天王山へ向かわせると目の前の男と対峙する。互いに睨み合って、一触即発。どちらからと言わず刀の重なる音が響いた。
余裕そうな様子の男とほぼ互角にやり合う土方。そして最終、男の持つ刀を弾いた。そしてその刀は処置を受ける隊士の方へ飛んでゆく。
「千鶴危ない!」
怜央は飛んできた刀を弾いたが身を呈して隊士を守った千鶴の腕を僅かに斬り裂いた。滴る血を見てか、男は目を見開く。
「薩摩藩に組みする我々が新選組と戦う理由がないことくらい、風間も承知でしょう」
しんとした時間が流れたあと、風間と呼ばれた男の仲間が仲裁に現れた。転がっていた刀を拾い礼をすると風間を連れてその場を立ち去る。
「千鶴、手当をしよう。これで抑えていなさい」
「ありがとう…」
懐にあった布を千鶴に渡すと怜央は隊士の方へ駆け寄る。幸い意識もはっきりとしており、歩ける体力もあるようだ。天王山を目指すため四人は先を急いていると前方の永倉率いる隊が引き返しているのが見えた。
「長州の連中、天王山で一人残らず切腹だった」
「…そうか。敵ながら
新選組にとって悪い結果でも、潔いものを潔しとするのは悪いことでは無い。土方はそう言うと撤退の命令を出した。
その最中、長州の残党は京の町に火を放つ。その影響でたくさんの民家、土蔵、寺社が焼失、祇園祭りの山鉾もその殆どが燃え尽きた。
のちにこの事件は禁門の変と呼ばれるようになる。