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慶応三年十二月、二条城での軍議の帰路の途中、近藤は何者かに右肩を狙撃され重傷を負った。一命は取り留めたものの万全というわけではなく、治療に専念する必要があった。
「僕は今相当虫の居所が悪いのに、なに怜央ちゃん」
未だ体調の戻らぬ沖田の部屋の襖を開けるとズカズカと入り込んで傍に正座を組む。布団の中に何かを隠した素振りをした沖田を怜央は見逃さなかった。
「知ってると思いますけど近藤さん、今夜が峠です。犯人は御陵衛士の残党で伊東さんの仇討ちでしょうね。それについてはもう処分は決まったそうです」
淡々と話す怜央に内心穏やかでないながらにも黙って布団を見つめていた。
「…沖田さん、千鶴って新選組のこと好きだと思います?」
突然の質問に思わず思考が固まってしまう沖田に怜央は続ける。
「私には分かる。千鶴がここも、ここにいる人たちもみんな大好きで失いたくないって。近藤さんを撃った人も撃たれて峠だとか言われてる近藤さんも私は許しません。油小路で死にかけた平助も許しません。身勝手な理由で千鶴を振り回す綱道さんも許しません…沖田さん、変な気起こさないでくださいね」
沖田が見つめる先を一瞥すると再度顔を合わせた。数秒の間ののち、先に口を開いたのは沖田であった。
「随分勝手な物言いだね怜央ちゃん。僕が誰を慕って誰のために生きるのか、それを決めるのは君じゃないよ」
「だから何?」
怜央はすかさず応えた。
「沖田さんが今手に持ってるそれでは労咳はなおりません。蝕まれていく身体と血に飢える苦しみにも耐えなければならなくなる。どうせ苦しむならただ病に伏して手の添えられない自分の不甲斐なさにだけ苦しんでください」
なんでもないような顔で平然と一番深いところに差し込んでくる怜央の言葉に、柄にもなく沖田の身体は震えていた。
下を向いたままぽたりと涙が布団に垂れた。
続け様に何度も溢れてくるそれを拭うこともなく静かにしゃくりをあげる。怜央は沖田の布団の中から変若水を取り上げ枕元に置いた。
沖田は怜央の手を取ると何も言わないまま自身の方へひいてその胸の中で声を殺して泣いた。怜央は沖田の頭を優しく包み込み、待つことしかできない。
時間は無情にも過ぎて行く。病によって蝕まれていく沖田は次の鳥羽伏見の戦いのため、未だ治療に専念する近藤とともに大阪城へ身を移した。
「僕は今相当虫の居所が悪いのに、なに怜央ちゃん」
未だ体調の戻らぬ沖田の部屋の襖を開けるとズカズカと入り込んで傍に正座を組む。布団の中に何かを隠した素振りをした沖田を怜央は見逃さなかった。
「知ってると思いますけど近藤さん、今夜が峠です。犯人は御陵衛士の残党で伊東さんの仇討ちでしょうね。それについてはもう処分は決まったそうです」
淡々と話す怜央に内心穏やかでないながらにも黙って布団を見つめていた。
「…沖田さん、千鶴って新選組のこと好きだと思います?」
突然の質問に思わず思考が固まってしまう沖田に怜央は続ける。
「私には分かる。千鶴がここも、ここにいる人たちもみんな大好きで失いたくないって。近藤さんを撃った人も撃たれて峠だとか言われてる近藤さんも私は許しません。油小路で死にかけた平助も許しません。身勝手な理由で千鶴を振り回す綱道さんも許しません…沖田さん、変な気起こさないでくださいね」
沖田が見つめる先を一瞥すると再度顔を合わせた。数秒の間ののち、先に口を開いたのは沖田であった。
「随分勝手な物言いだね怜央ちゃん。僕が誰を慕って誰のために生きるのか、それを決めるのは君じゃないよ」
「だから何?」
怜央はすかさず応えた。
「沖田さんが今手に持ってるそれでは労咳はなおりません。蝕まれていく身体と血に飢える苦しみにも耐えなければならなくなる。どうせ苦しむならただ病に伏して手の添えられない自分の不甲斐なさにだけ苦しんでください」
なんでもないような顔で平然と一番深いところに差し込んでくる怜央の言葉に、柄にもなく沖田の身体は震えていた。
下を向いたままぽたりと涙が布団に垂れた。
続け様に何度も溢れてくるそれを拭うこともなく静かにしゃくりをあげる。怜央は沖田の布団の中から変若水を取り上げ枕元に置いた。
沖田は怜央の手を取ると何も言わないまま自身の方へひいてその胸の中で声を殺して泣いた。怜央は沖田の頭を優しく包み込み、待つことしかできない。
時間は無情にも過ぎて行く。病によって蝕まれていく沖田は次の鳥羽伏見の戦いのため、未だ治療に専念する近藤とともに大阪城へ身を移した。