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過ぎた日の夜、新選組はいつもより騒々しかった。御陵衛士は薩摩と手を組み、新選組局長である近藤の暗殺を企てていたのだ。そのため新選組は、のちに油小路事件と呼ばれる伊東甲子太郎暗殺に備えていた。
「怜央、一緒に行こう」
「行かないよ。一丁前に偉そうなこと言って、平助の命が惜しいからこっちに来てなんて、一度でも惜しまず引き留めなかった私にそれを言う権利はない」
伊東暗殺、それに伴う御陵衛士襲撃。もちろん藤堂が御陵衛士として姿を現すなら新選組は任務を全うするのみである。そこに例外はない。ならばその前に藤堂と話をつけてしまえば、と言うわけだ。
でも、と食い下がる千鶴をじっと見つめればその気迫に押されたのか口を閉ざすしかなかった。
「…行こう、雪村」
斎藤に手を引かれ広間を出ていく千鶴をただ見つめ、二人の足跡が聞こえなくなると怜央は山南の部屋を訪れていた。返事を聞く間もなく戸を開くと山南の背後に座り込む。
「やはり来ましたか…花岡くんがその様子では、こちらも調子が狂いますね」
「だって、こんなの人の道を外れてます。私はいつも逃げてばっかりだ…最後に選ぶのは自分自身だって、足も引かないし止めもしないって」
山南は膝の間に顔を埋めそう嘆く怜央の方を向くと赤い液体が入った三角の瓶を置いた。その音だけで何かを理解した怜央は胸がギュッと締め付けられる。そう、最後に選ぶのは自分自身であると。
「私のものより陽の光に対する拒絶は少ないとは思います。しかしそれでも苦しいはず。それに、狂うか狂わないか…」
顔を上げ、ぼんやりと蝋燭の明かりに照らされている変若水に手を伸ばす。恨めしいほどその紅が美しく見えた。深く深呼吸をすると変若水を置き、自身の左手の防具をずらした。もし、もし藤堂がその道を選ぶのなら、と薄暗闇の中、血液の流れる自身の腕を眺め息を飲む。
千鶴には人を動かせるだけの心がある。怜央自身は出来る限りの選択肢を与えることしかできないのだ。
「悪い結果ばかりを考えてはいけません。まずは新選組として帰ってくる。これ以上はそれが叶わなかったときのためのものですから」
だから雪村くんと藤堂くんを信じましょう、と山南は瓶を机に置き直し怜央に近づくと子どものようにその頭を撫でた。
「絶対はありません。だからこそ全てを受け入れようとするキミは強い」
自身が剣客としての死を受け入れられなかった山南にとって、怜央はとても心強かった過去がある。だからこの言葉になんの偽りもなかった。
「怜央、一緒に行こう」
「行かないよ。一丁前に偉そうなこと言って、平助の命が惜しいからこっちに来てなんて、一度でも惜しまず引き留めなかった私にそれを言う権利はない」
伊東暗殺、それに伴う御陵衛士襲撃。もちろん藤堂が御陵衛士として姿を現すなら新選組は任務を全うするのみである。そこに例外はない。ならばその前に藤堂と話をつけてしまえば、と言うわけだ。
でも、と食い下がる千鶴をじっと見つめればその気迫に押されたのか口を閉ざすしかなかった。
「…行こう、雪村」
斎藤に手を引かれ広間を出ていく千鶴をただ見つめ、二人の足跡が聞こえなくなると怜央は山南の部屋を訪れていた。返事を聞く間もなく戸を開くと山南の背後に座り込む。
「やはり来ましたか…花岡くんがその様子では、こちらも調子が狂いますね」
「だって、こんなの人の道を外れてます。私はいつも逃げてばっかりだ…最後に選ぶのは自分自身だって、足も引かないし止めもしないって」
山南は膝の間に顔を埋めそう嘆く怜央の方を向くと赤い液体が入った三角の瓶を置いた。その音だけで何かを理解した怜央は胸がギュッと締め付けられる。そう、最後に選ぶのは自分自身であると。
「私のものより陽の光に対する拒絶は少ないとは思います。しかしそれでも苦しいはず。それに、狂うか狂わないか…」
顔を上げ、ぼんやりと蝋燭の明かりに照らされている変若水に手を伸ばす。恨めしいほどその紅が美しく見えた。深く深呼吸をすると変若水を置き、自身の左手の防具をずらした。もし、もし藤堂がその道を選ぶのなら、と薄暗闇の中、血液の流れる自身の腕を眺め息を飲む。
千鶴には人を動かせるだけの心がある。怜央自身は出来る限りの選択肢を与えることしかできないのだ。
「悪い結果ばかりを考えてはいけません。まずは新選組として帰ってくる。これ以上はそれが叶わなかったときのためのものですから」
だから雪村くんと藤堂くんを信じましょう、と山南は瓶を机に置き直し怜央に近づくと子どものようにその頭を撫でた。
「絶対はありません。だからこそ全てを受け入れようとするキミは強い」
自身が剣客としての死を受け入れられなかった山南にとって、怜央はとても心強かった過去がある。だからこの言葉になんの偽りもなかった。
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