I wanna
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
新選組の隊が別れて幾日が経っただろうか。どこかもの足らなさや寂しさを感じるが日々の日常は変わらなかった。
「もう寝ますよ、土方さん」
「…先に寝てろ。俺はまだやることがある」
見かけばかりは変わらないが、新選組としての業務は発足した当初に比べれば相当なものになる。早くに起きては夜まで書類には向かい、時には大事な会議に足を運ぶ。流石の怜央でも見ていられなかった。
「…そう」
腑に落ちない様子で答えた怜央はスっと立ち上がり土方の左隣に胡座をかく。肘を着いてその顔を眺めると眉間に皺がよった表情で固まり怜央を睨みつけた。
「…んだよ」
そのまま動かない怜央をよそに書類を書き上げる。
「西本願寺移籍の話、なんで突然上手く行ったか知ってます?」
あ?と適当に聞き返す土方だったがじっとりと笑う怜央に思わず筆をとめた。
「最初は長州の人使って私を人質に西本願寺への足入れを阻止するつもりだったらしいんですけど、私が返り討ちにしてやってお縄頂戴されるか西本願寺への移住を許すか選ばせたんです。侍っていうのは自尊心の塊みたいなものですから…すんなり明け渡してくれました」
突然の怜央の告白になぜ今?という言葉しか土方の頭には浮かばなかった。
「…あ、あの日のことか」
土方が思い出したのは初めて怜央を一人で外に出した日のこと。浪士に怜央が連れ去られたという報告を受け、幹部総出で捜索したあの日。怪しい邸宅前出張っていたらアッケラカンとした顔の怜央がそこに立っていた。
「不動堂村屯所まで建ててくれるなんて親切ですよね」
皮肉じみた笑みを浮かべる怜央に土方は思わず眉をひそめた。とりあえず何かしようと止まっていた筆を再び動かそうとする。
しかし既に土方の手には筆は握られていなかった。
「寝ますよ」
その筆は怜央の手の中にあり、カタンっと音を立てて筆を置いたと思えば机にあった蝋燭の火をフッと一息で消してしまった。
「おい何してやがんだ、まだやることが…っ!」
こうまでしても仕事だなんだと喚く土方を布団の方へ追いやりおやすみなさい、と毛布をかけた。
「邪魔すんじゃねえよ、寝てる暇なんか…」
せっかく布団の方へ連れてきたのにまだ起き上がろうとする土方に対し、腹が立った怜央は舌打ちをすると土方の足を掬い肩を押して布団へと押し倒した。
「…いいから寝て。その身体、貴方だけのものじゃないですから」
流石は純血の鬼、とでも言おう。押し倒し、押さえつける力に対抗出来ずに土方はため息をつき諦めたように布団に体を沈めた。
「…お前、俺以外のやつにンなことすんじゃねえぞ」
怜央の身体を引き剥がしながらそう話す。
「当り前でしょ。ここまでしないと寝ないのは土方さんぐらいですから」
そう笑いながらおやすみなさい、と床に就く怜央に何も答えられないままその目を閉じた。
「もう寝ますよ、土方さん」
「…先に寝てろ。俺はまだやることがある」
見かけばかりは変わらないが、新選組としての業務は発足した当初に比べれば相当なものになる。早くに起きては夜まで書類には向かい、時には大事な会議に足を運ぶ。流石の怜央でも見ていられなかった。
「…そう」
腑に落ちない様子で答えた怜央はスっと立ち上がり土方の左隣に胡座をかく。肘を着いてその顔を眺めると眉間に皺がよった表情で固まり怜央を睨みつけた。
「…んだよ」
そのまま動かない怜央をよそに書類を書き上げる。
「西本願寺移籍の話、なんで突然上手く行ったか知ってます?」
あ?と適当に聞き返す土方だったがじっとりと笑う怜央に思わず筆をとめた。
「最初は長州の人使って私を人質に西本願寺への足入れを阻止するつもりだったらしいんですけど、私が返り討ちにしてやってお縄頂戴されるか西本願寺への移住を許すか選ばせたんです。侍っていうのは自尊心の塊みたいなものですから…すんなり明け渡してくれました」
突然の怜央の告白になぜ今?という言葉しか土方の頭には浮かばなかった。
「…あ、あの日のことか」
土方が思い出したのは初めて怜央を一人で外に出した日のこと。浪士に怜央が連れ去られたという報告を受け、幹部総出で捜索したあの日。怪しい邸宅前出張っていたらアッケラカンとした顔の怜央がそこに立っていた。
「不動堂村屯所まで建ててくれるなんて親切ですよね」
皮肉じみた笑みを浮かべる怜央に土方は思わず眉をひそめた。とりあえず何かしようと止まっていた筆を再び動かそうとする。
しかし既に土方の手には筆は握られていなかった。
「寝ますよ」
その筆は怜央の手の中にあり、カタンっと音を立てて筆を置いたと思えば机にあった蝋燭の火をフッと一息で消してしまった。
「おい何してやがんだ、まだやることが…っ!」
こうまでしても仕事だなんだと喚く土方を布団の方へ追いやりおやすみなさい、と毛布をかけた。
「邪魔すんじゃねえよ、寝てる暇なんか…」
せっかく布団の方へ連れてきたのにまだ起き上がろうとする土方に対し、腹が立った怜央は舌打ちをすると土方の足を掬い肩を押して布団へと押し倒した。
「…いいから寝て。その身体、貴方だけのものじゃないですから」
流石は純血の鬼、とでも言おう。押し倒し、押さえつける力に対抗出来ずに土方はため息をつき諦めたように布団に体を沈めた。
「…お前、俺以外のやつにンなことすんじゃねえぞ」
怜央の身体を引き剥がしながらそう話す。
「当り前でしょ。ここまでしないと寝ないのは土方さんぐらいですから」
そう笑いながらおやすみなさい、と床に就く怜央に何も答えられないままその目を閉じた。