I wanna
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「こんなこと言うのも何だがな、最近の怜央見てるとこっちまで辛いんだよ」
隣に座り一息ついた所で土方が話し出した。月明かりが浮かび上げる綺麗な横顔がどこか切なげに感じる。怜央は綺麗に飾られた顔の眉間に皺を寄せて奥歯を噛んだ。
「俺や俺たち新選組を頼ってくれとは言わねえ。でももっと信じてくれ、な?」
怜央を伺うようにこちらを向く土方の手から徳利を奪うと怜央はお酒を一気に流し込む。まだ沢山入っていたそれが空になるとはあ、とひと息ついた。
「千鶴と綱道さんって実は血繋がってないんです」
千鶴と綱道の事実からはじまり綱道の目的、千鶴の過去について話す。これは千鶴には内緒のまま生きていくつもりだったと言う。
怜央の目に浮かぶ涙を土方は乱暴に指で拭いとった。
「辛えな」
気丈に振る舞う千鶴にとって怜央は悪者に見えただろうか。守られてきた背中が恨めしく感じるだろうか。怜央が千鶴を命をかけて守るように、土方も新選組を命をかけて守っている。怜央のその辛い気持ちが痛いほどによく理解できた。
「怜央が思ってるより雪村は子供じゃねえんだ。怜央が雪村のこと守りたいのっていう気持ちはあいつが一番理解してるだろ」
次第に受け入れていくだろう、信じてやれと怜央の頭を撫で付けた。
お酒のせいか、やけに優しい土方に怜央は安心しながらも険しい顔つきになる。
「やけに千鶴のこと持ち上げますね。好きなんですか?」
酔った土方をからかうようにそう言えば肩を組まれ、その眉目秀麗な顔をこちらに向け、怜央の顔を穴が空くほどに見つめ出した。
「…俺は怜央に甘いつもりでいたんだかな」
新選組一の男前と言われる土方にこう言われれば、怜央とて沈んだ気持ちも忘れ心臓が高揚する。傍らに置かれていたまだ満たされている徳利の酒を煽った。
途端に部屋を二分していた襖が音を立てて開く。部屋を開けた張本人であろう藤堂が原田の腹踊りが始まる、と声をかけに来たらしい。
「その人あんまりお酒強くねえからさ、絡み酒が面倒だったら抜け出していいからな!」
咄嗟に顔を隠すことが出来なかった怜央だが、幸いにも普段とあまりにも違うため気づかれることは無かった。
千鶴はふたりを見ると口パクで「可愛い」と、花魁姿の怜央に気がついているよう。土方は雪村も綺麗だ、とつぶやくと怜央が一気飲みし空になった徳利を持ち上げ酒がねえぞ、と大きい声で要請した。
傍にあったまだ半分ほど残っている徳利を土方に向けると大人しくお猪口を差し出す。
「俺からすりゃ、怜央の方がもっと綺麗だがな」
不敵に笑う土方に対し三度目のお酒の一気飲みはグッと我慢をして怜央はポツリと呟いた。
「鬼は上手に酔えない…」
隣に座り一息ついた所で土方が話し出した。月明かりが浮かび上げる綺麗な横顔がどこか切なげに感じる。怜央は綺麗に飾られた顔の眉間に皺を寄せて奥歯を噛んだ。
「俺や俺たち新選組を頼ってくれとは言わねえ。でももっと信じてくれ、な?」
怜央を伺うようにこちらを向く土方の手から徳利を奪うと怜央はお酒を一気に流し込む。まだ沢山入っていたそれが空になるとはあ、とひと息ついた。
「千鶴と綱道さんって実は血繋がってないんです」
千鶴と綱道の事実からはじまり綱道の目的、千鶴の過去について話す。これは千鶴には内緒のまま生きていくつもりだったと言う。
怜央の目に浮かぶ涙を土方は乱暴に指で拭いとった。
「辛えな」
気丈に振る舞う千鶴にとって怜央は悪者に見えただろうか。守られてきた背中が恨めしく感じるだろうか。怜央が千鶴を命をかけて守るように、土方も新選組を命をかけて守っている。怜央のその辛い気持ちが痛いほどによく理解できた。
「怜央が思ってるより雪村は子供じゃねえんだ。怜央が雪村のこと守りたいのっていう気持ちはあいつが一番理解してるだろ」
次第に受け入れていくだろう、信じてやれと怜央の頭を撫で付けた。
お酒のせいか、やけに優しい土方に怜央は安心しながらも険しい顔つきになる。
「やけに千鶴のこと持ち上げますね。好きなんですか?」
酔った土方をからかうようにそう言えば肩を組まれ、その眉目秀麗な顔をこちらに向け、怜央の顔を穴が空くほどに見つめ出した。
「…俺は怜央に甘いつもりでいたんだかな」
新選組一の男前と言われる土方にこう言われれば、怜央とて沈んだ気持ちも忘れ心臓が高揚する。傍らに置かれていたまだ満たされている徳利の酒を煽った。
途端に部屋を二分していた襖が音を立てて開く。部屋を開けた張本人であろう藤堂が原田の腹踊りが始まる、と声をかけに来たらしい。
「その人あんまりお酒強くねえからさ、絡み酒が面倒だったら抜け出していいからな!」
咄嗟に顔を隠すことが出来なかった怜央だが、幸いにも普段とあまりにも違うため気づかれることは無かった。
千鶴はふたりを見ると口パクで「可愛い」と、花魁姿の怜央に気がついているよう。土方は雪村も綺麗だ、とつぶやくと怜央が一気飲みし空になった徳利を持ち上げ酒がねえぞ、と大きい声で要請した。
傍にあったまだ半分ほど残っている徳利を土方に向けると大人しくお猪口を差し出す。
「俺からすりゃ、怜央の方がもっと綺麗だがな」
不敵に笑う土方に対し三度目のお酒の一気飲みはグッと我慢をして怜央はポツリと呟いた。
「鬼は上手に酔えない…」