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穏やかに監視される生活は土方と総長の山南が大阪へ出張へ行くまで続いた。
「そうやって眉間にしわ寄せて夜更かししてると髪抜けますよ」
土方は眉間にできた縦じわを伸ばして怜央の方を向く。やけに説得力があると言い、千鶴と怜央が探し求める人物を頭に浮べた。
「山南さんがずっとあの調子じゃ俺らだってやってらんねえよ」
土方と山南が大阪へ出張に行った際、山南は隙をつかれて左腕を負傷した。幸い命に別状はなかったが、医師の診断によれば二度と剣を振れないという。
そのためか、山南はすっかり塞ぎ込んでしまい食事すらまともに採らず、隊士含め外に壁を作っていた。土方は土方で近くにいたはずなのに山南の腕を守れなかったと一人落ち込んでいるのだ。
「普通あんな憐れまれるのは嫌でしょ。腫れ物扱いが剣を触れなきゃ用無しだって言ってるみたいだし。それが剣士にとっての死だって言うなら分からないけど」
怜央はそういうと突然土方に向かって枕を投げつけた。
「副長がそんな気抜いた顔してると私に殺されますよ」
土方は投げつけられた枕を睨むとはあ、と本日何度目とも言えないため息をついた。そしておもむろに机の引き出しを開けると怜央の短刀二つを差し出す。
「もう疑ってねえよ。いつ返そうか迷ってただけだ。雪村に隊士の巡察に付き添う許可を出したからお前も斎藤に稽古をつけてもらって巡察に出る準備をしろ」
怜央は突然返ってきた自分の短刀に喜ぶと共に、自由の身になったことに困惑を覚えた。土方曰く、長州の動向を探るのに手一杯で怜央に手はかけられないそうだ。
「…ありがとうございます」
山南のことと言い、幕命を果たすことと言い、新選組は大変なのだろう。怜央は自らの布団に戻ると枕元に大切そうに短刀を置き、いつものように仕事に取り掛かる土方の背中を眺めた。
「そうやって眉間にしわ寄せて夜更かししてると髪抜けますよ」
土方は眉間にできた縦じわを伸ばして怜央の方を向く。やけに説得力があると言い、千鶴と怜央が探し求める人物を頭に浮べた。
「山南さんがずっとあの調子じゃ俺らだってやってらんねえよ」
土方と山南が大阪へ出張に行った際、山南は隙をつかれて左腕を負傷した。幸い命に別状はなかったが、医師の診断によれば二度と剣を振れないという。
そのためか、山南はすっかり塞ぎ込んでしまい食事すらまともに採らず、隊士含め外に壁を作っていた。土方は土方で近くにいたはずなのに山南の腕を守れなかったと一人落ち込んでいるのだ。
「普通あんな憐れまれるのは嫌でしょ。腫れ物扱いが剣を触れなきゃ用無しだって言ってるみたいだし。それが剣士にとっての死だって言うなら分からないけど」
怜央はそういうと突然土方に向かって枕を投げつけた。
「副長がそんな気抜いた顔してると私に殺されますよ」
土方は投げつけられた枕を睨むとはあ、と本日何度目とも言えないため息をついた。そしておもむろに机の引き出しを開けると怜央の短刀二つを差し出す。
「もう疑ってねえよ。いつ返そうか迷ってただけだ。雪村に隊士の巡察に付き添う許可を出したからお前も斎藤に稽古をつけてもらって巡察に出る準備をしろ」
怜央は突然返ってきた自分の短刀に喜ぶと共に、自由の身になったことに困惑を覚えた。土方曰く、長州の動向を探るのに手一杯で怜央に手はかけられないそうだ。
「…ありがとうございます」
山南のことと言い、幕命を果たすことと言い、新選組は大変なのだろう。怜央は自らの布団に戻ると枕元に大切そうに短刀を置き、いつものように仕事に取り掛かる土方の背中を眺めた。