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次の朝怜央が目覚めると、土方の部屋に縛られて転がされていた。それを冷めた目で見つめるのは案の定土方である。
「山南さんは峠を越えた。陽の光が辛いが体調は万全だそうだ」
縛られたままの#name#は安堵のため息をつく。土方は怜央に近づき、その頬を掴むと真っ直ぐに目を見つめた。
「山南さんの口元とお前の腕には血がついてた。誰の血をやった?」
土方が怜央の猿轡をずらしそう聞く。しかし怜央は口を割る素振りを見せなかった。
「何とか言いやがれ、近くに死体もない。怜央が血をあてがったってのは分かってんだ!俺はお前を、信じてたいんだよ…」
感情に任せて怜央の頬を掴む手はきつくなっていく。怜央は痛みに耐えかねたか、土方の感情に動かされたか、顔を振って振りほどいた。
「…私の血」
怜央はポツリとそうつぶやく。
「そんな傷はどこにも…」
「自分の左腕を斬って羅刹に飲み込まれかけた山南さんに与えた。私は純血の鬼だから、刀傷くらいすぐ治る」
鬼だなんてそんな冗談を、と言いかけた土方だったが怜央の真剣な目に言葉を飲み込んだ。既存の鬼を元にして人間を鬼に近づける薬を作ったという綱道。本物の鬼の血を与えれば発作が治まるのではと思いついたのが先日だった。
「私にとっても賭けでした。山南さんが血を求めるだけの怪物になるところだったから」
「…そうか」
土方は安堵したように息を吐くと怜央の身体を抱きしめる。身体が軋む程にきつい抱擁に怜央は身じろぐしか無かった。
「綱道さん探しに怜央がいた方が好都合ではあるが、お前が居なくても出来ないわけじゃないしもちろん新選組の行く末も変わらない。もし怜央を斬る必要があるなら迷いなく斬る。でも俺は、怜央が今生きてて良かったって思ってる」
先程とは打って変わって、土方の顔はこれまでにないほどに穏やかな表情を浮かべている。両手で怜央の顔を包み込むとその目の中に移る自身を見て彼女が生きていることを実感した。
縛られたまま、されるがままの怜央はいつもに増して距離の近い土方に驚きながらもその顔は赤かった。
「…鬼だとか、別に信じなくてもいい。でもお願いだから千鶴には言わないで下さい」
上目遣いでそう話す怜央の頭を撫でながら優しい声色で言わねえよ、と返す。
「山南さんのこと生かしてやりたかったんだろ?お前なりのやり方ってんなら否定はしねえ。まあ、なんだ…ありがとな」
土方が目を見つめながらそう言うものだから怜央は赤面した顔を隠すように土方を押し返した。
「山南さんは峠を越えた。陽の光が辛いが体調は万全だそうだ」
縛られたままの#name#は安堵のため息をつく。土方は怜央に近づき、その頬を掴むと真っ直ぐに目を見つめた。
「山南さんの口元とお前の腕には血がついてた。誰の血をやった?」
土方が怜央の猿轡をずらしそう聞く。しかし怜央は口を割る素振りを見せなかった。
「何とか言いやがれ、近くに死体もない。怜央が血をあてがったってのは分かってんだ!俺はお前を、信じてたいんだよ…」
感情に任せて怜央の頬を掴む手はきつくなっていく。怜央は痛みに耐えかねたか、土方の感情に動かされたか、顔を振って振りほどいた。
「…私の血」
怜央はポツリとそうつぶやく。
「そんな傷はどこにも…」
「自分の左腕を斬って羅刹に飲み込まれかけた山南さんに与えた。私は純血の鬼だから、刀傷くらいすぐ治る」
鬼だなんてそんな冗談を、と言いかけた土方だったが怜央の真剣な目に言葉を飲み込んだ。既存の鬼を元にして人間を鬼に近づける薬を作ったという綱道。本物の鬼の血を与えれば発作が治まるのではと思いついたのが先日だった。
「私にとっても賭けでした。山南さんが血を求めるだけの怪物になるところだったから」
「…そうか」
土方は安堵したように息を吐くと怜央の身体を抱きしめる。身体が軋む程にきつい抱擁に怜央は身じろぐしか無かった。
「綱道さん探しに怜央がいた方が好都合ではあるが、お前が居なくても出来ないわけじゃないしもちろん新選組の行く末も変わらない。もし怜央を斬る必要があるなら迷いなく斬る。でも俺は、怜央が今生きてて良かったって思ってる」
先程とは打って変わって、土方の顔はこれまでにないほどに穏やかな表情を浮かべている。両手で怜央の顔を包み込むとその目の中に移る自身を見て彼女が生きていることを実感した。
縛られたまま、されるがままの怜央はいつもに増して距離の近い土方に驚きながらもその顔は赤かった。
「…鬼だとか、別に信じなくてもいい。でもお願いだから千鶴には言わないで下さい」
上目遣いでそう話す怜央の頭を撫でながら優しい声色で言わねえよ、と返す。
「山南さんのこと生かしてやりたかったんだろ?お前なりのやり方ってんなら否定はしねえ。まあ、なんだ…ありがとな」
土方が目を見つめながらそう言うものだから怜央は赤面した顔を隠すように土方を押し返した。