Short
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
七海と教室に残り、先日の任務や昨日のテレビの話をしているとなまえが教室に駆け込み灰原の机の前に立つと手に持ったコーラを差し出して
「ねぇ、灰原…これあげる!!」
と告げ、灰原が好きなコーラを押し付けると、そのまま走って教室から出て行った。
そんななまえに呆然としながらも、暑い時期にはちょうどいいそこそこ冷えたコーラに灰原は胸が躍った。
(やっぱり夏にはこれだよな〜)と思いながら硬いキャップを回せば、空気が入り「プシュッ」といういつもの音が聞こえた。
灰原はコーラを開けるこの瞬間が堪らなく好きだった。
コーラを飲みながら七海とそのまま会話を続けて行くうちに、コーラのボトルに何やら黒い文字が浮かんできているのが分かった。
「七海!コーラって当たりはずれ書いてあったっけ?ほら、チョコバットみたいに!」
「あまり飲まないから知らないが、ないんじゃないですか?」
何か書いてある、と言ってコーラを向ければ、それを七海がじっと見つめる。
「…とりあえず全部飲んでみたらいいんじゃないか?」
「確かにそうだよな〜、なんだろ!なんかワクワクしてきた!」
「もう12時になりますが灰原はお昼どうしますか?私は食堂へ行きますが」
「んー、俺はこれ飲んでから行こうかな〜。持って歩いてるうちに炭酸抜けちゃいそうだし」
七海は灰原の返事を聞いて、それではお先に、と言って教室を後にした。
「…ふー、500ml一気に飲むと結構来るな〜。…ん?」
ペットボトルを見てみれば、飲み干したことで文字が浮かび上がってきた。
【好きです】
「え!?… なまえ?が、書いたんだよね…?」
そこにはなまえの少し丸みを帯びた文字で書かれた告白の言葉だった。
なまえの書いた字だと認識すると、途端に灰原の頬にも熱が集まってきた。
一年と少し前、自分達がここ呪術高専へと入学した日。
教室へと入れば先に座っていたのは、かっちりと制服を着込んだ男子生徒だった。
軽く自校紹介を済ませていると、女子生徒が時間ギリギリになって教室に駆け込んできた。
「はぁ、はぁ…セーフ!よかった間に合った!ゆっくり寝過ぎちゃったよ〜!」
「おはよう!机の数的には君で最後かな?俺は灰原雄!よろしく!」
「…え、女子私だけ…?私は名字 なまえ!よろしくね〜!」
灰原の隣の席で七海が慌ただしい…とため息をつけば
「何よー!あなたはなんて名前なの?教えてよ!」
となまえが人好きのする笑みを浮かべて楽しそうに七海に話しかけていた。
自分に向けられていないにも関わらず、横から見るその笑顔に灰原の心臓は高鳴った。
その時から灰原はなまえに恋をしていた。
いつか言おうとしてはいたものの、中々踏み出せず仲の良い同期という立場から抜けられないでいた。
なまえももしかして好きなのでは…と思うことはないでもなかったが、たった3人しかいないこのクラスで万が一振られてしまったらと思うとやはり勇気を出すことは難しかった。
この関係に痺れを切らしたなまえがついに行動に起こしたのだ。
灰原はいてもたってもいられず、なまえを探すために教室を飛び出した。
4分23秒後、食堂の中から「やってしまったー!」と叫ぶ彼女の声を聞いて、口の両端をニィと持ち上げて嬉しそうに笑顔を見せる灰原の姿を、廊下を歩いていた夏油と五条が見つける。
更にその1分17秒後、食堂入り口付近で中を覗く夏油と五条から揶揄われたなまえが怒って術式を発動させる。
そのまた3分48秒後、騒ぎを聞きつけた夜蛾に4人が怒られる。
18秒後、誰にも見えないように静かに手を繋ぐ灰原となまえの姿を食堂の隅で1人静かに食べていた七海が目撃する。
1/1ページ