傷のふさぎ方(feフレイ)
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6
「クリス」
「あら、おはようカイン」
いつものように食堂に向かう。この同僚とはよく朝食の時間が合うらしい。カインは正面の席に陣取ると、にやーっと笑ってみせた。
「ヨリ、戻したんだってな」
「聞いたの?」
「あからさまに避けあってた2人が並んでるの見たら、そんな噂くらいすぐたつ。で、そうなんだな?」
「…まあね」
渋々返事をすると、赤毛の男は嬉しそうに歯を見せて笑った。
「お前、ずーっと暗かったもんな。フレイ殿もなんも言うなって顔して聞くに聞けないし、心配した。お互い未練ないならいいけど、お前未練タラタラだったろ」
「え、」
「お前がアリティア城に来た日からの同僚だぞ、流石にわかる」
「…うん」
「俺はそう言うの苦手だから、わからないけどな。まあ、数年ぶりに会ったら、たしかに素直に行くわけにはいかないだろうなぁとは思って、そわそわしていた」
カインにしては想像力を働かせたな、なんて思って少し笑ってしまう。
「これから、たくさん話をするわ」
「そうだな、お互い言葉が足りなかったんだろうな」
「ええ。もう心配かけないわ」
そりょよかった、とカインは朝食に手をつけ始めた。
ーーーーーーーー
「入るわよ」
ノックとともにそう声をかけると、手をかける前に扉が開かれる。フレイはクリスを招き入れた。
昔彼にあてがわれていた部屋は今は別の人にあてがわれている。この部屋に入るのは初めてだ。中に入ってわかったが、かなりシンプルだ。戻ってきてからすぐ教官になって、忙しく、まだ物が少ないのだろう。そんな部屋を見ていると、またすぐ何処かに消えてしまいそうな気さえしてしまう。
「いま茶をもらってきたところだった。かけてくれ」
フレイはそう言ってから、この部屋にはまだ椅子は一つだけと気がつく。備え付けの寝台と机と椅子。それと本棚に図書館から借りてきた本が数冊置いてあるだけだ。仕方なく寝台に2人で腰掛けた。
お互い未練があったとわかったのはまだ昨日のことだった。今日はお互い非番で、1日ゆっくり過ごす約束をしていた。
「寮に物を増やすのは気が引けるけど、本当に何もないのね」
「ここにきた時はほとんど手ぶらだったからな」
「…今日やっぱり買い物に行かない?この部屋寂しすぎて、なんていうか…あなたの部屋って感じがしないわ。生活感もない」
クリスの言いたいことがわかるのだろう、フレイはあごひげを撫でる。
「話はいいのか?」
「話はするわ。でもこれから毎日できるわ。ここをあなたの部屋にしたら、そこでたくさん聞かせて、いなかった間のこと」
「…そうだな。私も暗黒戦争のことや君がどう過ごしたか、ゆっくり聞きたいと思っていた」
「ええ」
「噂の話もきっちりとな」
そう言われてしまうと、少し複雑な気持ちになる。眉をひそめたのが見えたのか、フレイは少し慌てたように言った。
「責めているのではないぞ。平和になってから君がしてきたことの中に、私も入れて欲しいだけだ。どこに行ったのか、何をしたのか。できるなら一緒にやり直させて欲しい」
「…そうね。じゃあやっぱりまずは部屋を作るところからよ。また生活を再スタートさせるの」
フレイが準備した茶をひとくちに飲み干す。どうやら今すぐ出かけるらしい。フレイもそれにならい、立ち上がった。
「では行こうか」
差し出された手を取る。腕にしっかりと身を寄せる。懐かしい距離感と感触。
扉が開かれて、2人は傷口を塞ぎにアリティアの城下へ向かった。
「クリス」
「あら、おはようカイン」
いつものように食堂に向かう。この同僚とはよく朝食の時間が合うらしい。カインは正面の席に陣取ると、にやーっと笑ってみせた。
「ヨリ、戻したんだってな」
「聞いたの?」
「あからさまに避けあってた2人が並んでるの見たら、そんな噂くらいすぐたつ。で、そうなんだな?」
「…まあね」
渋々返事をすると、赤毛の男は嬉しそうに歯を見せて笑った。
「お前、ずーっと暗かったもんな。フレイ殿もなんも言うなって顔して聞くに聞けないし、心配した。お互い未練ないならいいけど、お前未練タラタラだったろ」
「え、」
「お前がアリティア城に来た日からの同僚だぞ、流石にわかる」
「…うん」
「俺はそう言うの苦手だから、わからないけどな。まあ、数年ぶりに会ったら、たしかに素直に行くわけにはいかないだろうなぁとは思って、そわそわしていた」
カインにしては想像力を働かせたな、なんて思って少し笑ってしまう。
「これから、たくさん話をするわ」
「そうだな、お互い言葉が足りなかったんだろうな」
「ええ。もう心配かけないわ」
そりょよかった、とカインは朝食に手をつけ始めた。
ーーーーーーーー
「入るわよ」
ノックとともにそう声をかけると、手をかける前に扉が開かれる。フレイはクリスを招き入れた。
昔彼にあてがわれていた部屋は今は別の人にあてがわれている。この部屋に入るのは初めてだ。中に入ってわかったが、かなりシンプルだ。戻ってきてからすぐ教官になって、忙しく、まだ物が少ないのだろう。そんな部屋を見ていると、またすぐ何処かに消えてしまいそうな気さえしてしまう。
「いま茶をもらってきたところだった。かけてくれ」
フレイはそう言ってから、この部屋にはまだ椅子は一つだけと気がつく。備え付けの寝台と机と椅子。それと本棚に図書館から借りてきた本が数冊置いてあるだけだ。仕方なく寝台に2人で腰掛けた。
お互い未練があったとわかったのはまだ昨日のことだった。今日はお互い非番で、1日ゆっくり過ごす約束をしていた。
「寮に物を増やすのは気が引けるけど、本当に何もないのね」
「ここにきた時はほとんど手ぶらだったからな」
「…今日やっぱり買い物に行かない?この部屋寂しすぎて、なんていうか…あなたの部屋って感じがしないわ。生活感もない」
クリスの言いたいことがわかるのだろう、フレイはあごひげを撫でる。
「話はいいのか?」
「話はするわ。でもこれから毎日できるわ。ここをあなたの部屋にしたら、そこでたくさん聞かせて、いなかった間のこと」
「…そうだな。私も暗黒戦争のことや君がどう過ごしたか、ゆっくり聞きたいと思っていた」
「ええ」
「噂の話もきっちりとな」
そう言われてしまうと、少し複雑な気持ちになる。眉をひそめたのが見えたのか、フレイは少し慌てたように言った。
「責めているのではないぞ。平和になってから君がしてきたことの中に、私も入れて欲しいだけだ。どこに行ったのか、何をしたのか。できるなら一緒にやり直させて欲しい」
「…そうね。じゃあやっぱりまずは部屋を作るところからよ。また生活を再スタートさせるの」
フレイが準備した茶をひとくちに飲み干す。どうやら今すぐ出かけるらしい。フレイもそれにならい、立ち上がった。
「では行こうか」
差し出された手を取る。腕にしっかりと身を寄せる。懐かしい距離感と感触。
扉が開かれて、2人は傷口を塞ぎにアリティアの城下へ向かった。
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