傷のふさぎ方(feフレイ)
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2
「いやよ!なぜあなたが行かなければならないの!?私がいく、私がいくから!」
「クリス、それはダメだ」
「なんでよ!」
「私はマルス様をお守りすると誓った。それに、君のこともだ」
「では私にあなたを守らせて!」
「クリス、判断を見誤るな。決して勝てる相手ではない。2人も犠牲になる必要があろうか。ドーガ殿、すまぬ」
頷いた大男は今にも馬に飛び乗りそうなクリスを後ろから羽交い締めにした。いくら暴れても、体格でも力でもかなわない。この時ばかりはこの同僚が憎たらしくてたまらなかった。
「いやよーーいやよフレイ!フレイ!」
「クリス、アリティアを守れ。そしてお前はいつか子を成し、未来を作れる。私のことを忘れてーー」
一番聞きたくない言葉を吐くことは、やはりフレイらしかったのかもしれない。涙ぐむマルスに気がつくこともできず、男の名を叫び続けたが、彼は愛馬とともに駆け出し、そして戻らなかった。
ーーーーーーーーーーー
また、久しぶりにあの夢を見た。なんども見た夢だ、もう取り乱すこともない。寝台から起き上がり、髪を整え着替える。剣を握る時傷めないようにと彼に送られた手袋をはめて、部屋を出る。
あんなことがあったのが嘘のような平和と、フレイの素っ気ないくらいなんともない態度。どれが現実か時々わからなくなるが、やはり全て現実だ。
食堂に向かうと、見習い騎士たちがちょうど朝食の時間らしかった。大人数が机を占領しているので、端っこにトレーを持っていく。広いところにあると、あの暗い青の髪をつい探してしまう。見つけたとしても、目を背けて逃げるだけなのだが。
「おはよう」
「あら、カイン」
少しすると、正面に同期の騎士がトレーをおいて座った。
「見習い騎士たち、こんなにたくさんいるのね」
「これでもジェイガン様が半分に減らしたのだ」
「何人残るかしらね」
「そのことなんだが」
パンをリスのように頬に詰めてカインがもごもごいった。わざとらしく顔をしかめてやると、カインは少し申し訳なさそうに眉を下げる。飲み込んでからにかっと笑った。
「今度模擬戦闘を行うんだが、君にも協力してもらえないかなと思ってな」
「あら、私が?」
「忙しいとは思うが…あれだけいると人が足りなくてな。何部隊かの相手をして欲しいんだ…」
「そりゃあ、構わないわ。いつ?」
「明後日だ」
明後日は、非番のはずだ。
「明後日ね、わかったわ」
「よろしく頼む」
そう言って用事はそれで済んだはずだが、カインはそれからもクリスの顔をちらちらと伺ってきた。そういうことに疎いこの男も、多分フレイとのことを気にかけているのだろう。申し訳ないが、その視線には気がつかないフリをした。
「いやよ!なぜあなたが行かなければならないの!?私がいく、私がいくから!」
「クリス、それはダメだ」
「なんでよ!」
「私はマルス様をお守りすると誓った。それに、君のこともだ」
「では私にあなたを守らせて!」
「クリス、判断を見誤るな。決して勝てる相手ではない。2人も犠牲になる必要があろうか。ドーガ殿、すまぬ」
頷いた大男は今にも馬に飛び乗りそうなクリスを後ろから羽交い締めにした。いくら暴れても、体格でも力でもかなわない。この時ばかりはこの同僚が憎たらしくてたまらなかった。
「いやよーーいやよフレイ!フレイ!」
「クリス、アリティアを守れ。そしてお前はいつか子を成し、未来を作れる。私のことを忘れてーー」
一番聞きたくない言葉を吐くことは、やはりフレイらしかったのかもしれない。涙ぐむマルスに気がつくこともできず、男の名を叫び続けたが、彼は愛馬とともに駆け出し、そして戻らなかった。
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また、久しぶりにあの夢を見た。なんども見た夢だ、もう取り乱すこともない。寝台から起き上がり、髪を整え着替える。剣を握る時傷めないようにと彼に送られた手袋をはめて、部屋を出る。
あんなことがあったのが嘘のような平和と、フレイの素っ気ないくらいなんともない態度。どれが現実か時々わからなくなるが、やはり全て現実だ。
食堂に向かうと、見習い騎士たちがちょうど朝食の時間らしかった。大人数が机を占領しているので、端っこにトレーを持っていく。広いところにあると、あの暗い青の髪をつい探してしまう。見つけたとしても、目を背けて逃げるだけなのだが。
「おはよう」
「あら、カイン」
少しすると、正面に同期の騎士がトレーをおいて座った。
「見習い騎士たち、こんなにたくさんいるのね」
「これでもジェイガン様が半分に減らしたのだ」
「何人残るかしらね」
「そのことなんだが」
パンをリスのように頬に詰めてカインがもごもごいった。わざとらしく顔をしかめてやると、カインは少し申し訳なさそうに眉を下げる。飲み込んでからにかっと笑った。
「今度模擬戦闘を行うんだが、君にも協力してもらえないかなと思ってな」
「あら、私が?」
「忙しいとは思うが…あれだけいると人が足りなくてな。何部隊かの相手をして欲しいんだ…」
「そりゃあ、構わないわ。いつ?」
「明後日だ」
明後日は、非番のはずだ。
「明後日ね、わかったわ」
「よろしく頼む」
そう言って用事はそれで済んだはずだが、カインはそれからもクリスの顔をちらちらと伺ってきた。そういうことに疎いこの男も、多分フレイとのことを気にかけているのだろう。申し訳ないが、その視線には気がつかないフリをした。