アリティアの蒼き剣(feカイン 凍結)
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8章 ソウルフル・ブリッジ―再会
ゆっくりとした夜はなかった。必ず見張りを多めにつけ、後方に位置部隊置くことでもしもの場合に状況を伝達できるように手配もなされた。海峡はいくつかの島から構成されるが、その中央にたどり着いたころだった。予想外の事態だ、後ろからの追撃ではなく、前方からもハーディンおよびアカネイア軍が押し寄せているというのだ。このままでは包囲されてしまう、事態は深刻だった。
「とにかく急いで、北の砦を目指しますぞ。そこを制圧し、砦から出ている船に乗るのです。対岸のカダイン砂漠へ」
「はい、ジェイガ――」
「どうしたクリス」
「あれは……!」
クリスが北に続く橋を指さすと、人影が見えた。馬に乗ったその人物は全速力で駆け抜けてくる。赤い髪など、それだけで個人を特定できないほどにはありふれている。それでも遠目に分かったのだ。
「敵…? いや、単騎で…?」
「ドーガ殿、あれはカイン殿です!」
「なに、あれがカインだと?」
ドーガは目を細める。その時にはもう、クリスにはカインの後方から天馬騎士が迫っているのも見えていた。思わず誰の許可も取らずに馬を単独で走らせた。
「クリス!?」
マルスが驚いて声をあげるが、もう声は届いていない。クリスは馬上から勢いをつけると、手槍を思い切り投げた。それはさすがに天馬騎士には届かないかと思われたが、ギリギリのところで天馬の翼に直撃した。敵は海に墜落していった。
「クリス! お前なのか!」
後方の敵に気が付きながら剣しかもっていなかったカインは、撃ち落とされた敵を見て走り寄ってきた。
「カイン殿! よくぞご無事で…!」
「ああ、なんとか敵を振り切ってきた! マルス様は!」
「あちらにおられます。これから橋を渡り、砦から船に乗るつもりでした」
「そうか! ご無事でよかった…!」
カインはかみしめるように言い、すぐに騎士団と合流した。
「クリス! まったくおぬしは一人で何をしておる!」
「申し訳ありませんジェイガン様…」
「いいじゃないかジェイガン。カイン、よく無事だったね…!」
「はい、しかしアカネイア軍は橋のすぐそばまで迫っています! すぐに経ちましょう。ハーディンには手を出してはなりません。ハーディンは不思議な力に守られ、手が出せないのです…」
そこで後方から騎馬隊が追い付いた。南の傭兵団も動き出したというのだ。そうとなればハーディンに構っている場合ではない。一行はひとまずは北に逃れることになった。
橋は両脇から天馬騎士が奇襲をかけてきた。ユミナやリフを中央に、全員で固まりながら移動する。後ろからアカネイア傭兵団が迫り、前方にはゆっくりとだがハーディンが迫っている。疲労困憊だが油断できない。
「クリス」
「ゴードン殿?」
「北の砦を守っているのが、ジョルジュさんみたいなんだ。僕が話をする。連れていってほしい」
「わかったわ。第七小隊で砦まで道を作る。私がゴードン殿を先に運んで、説得しましょう!」
ある程度敵を倒した後で、クリスは馬上にゴードンを引き上げて走り出した。第七小隊と騎馬隊が続き、さきに砦までの敵をなぎ倒す。東からはハーディンが迫っている。すぐに船の手配をして、歩兵たちをスムーズに逃れさせなければ。
「ジョルジュさん! 待って、撃たないで!」
「ん…? ゴードンか、久しぶりだな」
味方が倒されているというのに、ジョルジュは冷静そうに弟子を見た。
「すこしは腕が上がったか?」
「はい、今ではアリティア一の弓の名手ですから。僕がここまでこれたのも、わざわざアリティアまで足を運んでは指導してくださったあなたのおかげです」
「それで? 俺と勝負でもしたくなってここまできたか?」
「違います! 無理かもしれないけど、また一緒に戦ってほしいんです!」
ゴードンは馬を飛び降りると、ほとんど丸腰でジョルジュの目の前に立った。
「ジョルジュさん、お願いします!」
ジョルジュはしばらく黙っていた。だが、ふっとハーディンのいる方角を持の悲しそうに見た。
「俺はアカネイアの弓使いとして、ニーナ様には忠誠を誓う。が、ハーディンは好きになれない。すべてを力で支配しようとするのだ。今のアカネイアは金でやとわれたゴロツキの集まり、騎士の誇りなどない」
「ジョルジュさん、アカネイアは何かおかしいよ。だから一緒に戦ってください、あなたが望むアカネイアの為に」
ジョルジュは少しだけ考えこんだが、なにか納得したように目を閉じた。
「昔の誇りあるアカネイアを取り戻すため、あえて祖国に弓を引こう。ゴードン、迷っていたが決心がついた。すぐに船を手配しよう。ここからではもうカダインに逃げるほかあるまい」
「はい! お願いします!」
ほっと一息ついたがこうしている間にも敵は迫っている。クリスは手配を二人に任せると騎士団の方へ後戻りをした。
*
「マルス王子よ、久しぶりだな…」
そのころ、アリティア騎士団はハーディンの重騎士部隊に追いつかれていた。現れたハーディンの目は赤く光り、以前の優しさは見受けられない。体から何か異様な力がにじみ出ているように見える。マルスが共に戦った彼の姿は、もうそこにはなかった。
「ハーディン、なぜこんなことをするんだ。あなたは本当に――変わってしまったのか」
「王子よ、俺はこの大陸の支配者。アカネイア帝国の皇帝なのだ。歯向かう者は誰とて許さない。マルス王子、たとえお前でもな…。この汚らしい世界を叩き潰さねばならん、何もかも間違っているのだ…!」
「ハーディン…!」
「全軍出撃、やつらを一人残らず――」
「マルス様ぁああああああ!!!」
「え、あっ――!」
一瞬のことだった。一騎の騎士が両軍の間を走り抜け、そしてマルス王子を強引に、ほとんど力業でかっさらったのだ。
「みんな逃げるわよ!早く!!」
「クリス!?」
馬上に引き上げられたマルスは素っ頓狂な声をあげた。皆は驚いたが、すぐに走り出した。ハーディンは重い鎧で身を固めている。走り出せばぐんぐん距離がついた。
「砦につきましたら、王子はすぐに船に乗ってください」
「で、でも、僕が先ではみんなが敵を迎え撃つことに…!」
「ご安心ください、私が残ります。みんなを乗せて追いかけます」
全員が無事であることを確認していてはこの窮地は越えられない。クリスが力強く言うと、馬で追いついてきたカインやジェイガンも同意した。
「クリスの力はマルス様が一番ご存じのはず。信じてくだされ」
「ジェイガン様、私はクリスと残ります。マルス様をお願いします」
「任せよ」
砦までたどり着くと、ジョルジュとゴードンが岸で待ち受けていた。マルスとジェイガンが乗り込み、クリスの誘導でゴードンとジョルジュも乗り、すぐに船が出された。
「クリス!」
「必ず追いつきます! マルス様、約束です!」
力強く笑いかけて送れば、マルスも大きく頷いた。
「さーて、残るはお前の手腕に任されたな」
「カイン殿、どうしましょう。先に来た兵士でここを固めて、力のない者から脱出させるのが得策かと思います」
「そうだろうな。よし、陣形を組むぞ」
「はい!」
先に砦についた者から船を並べてその前に陣形を組む。追いついた兵士と合流し、全員が脱出する、それがマルスの為にできる最善の方法だ。ハーディンはゆっくりでも、傭兵団の足は速い。全員が追い付いて、船を出すまでには追い付かれるだろう。
「ユミナ王女、ユベロ王子をお願いします、ウェンデル様」
「ナバールさん、フィーナさんたちをお願いします」
一隻ごとにリーダーとなれる人を乗り込ませていく。そして最後に追いついたドーガ達重騎士が船に乗り込み、海岸に残るのが騎馬隊だけとなったとき、ついにアカネイア傭兵団に追いつかれた。
「ルーク! 先に乗って! 早く!」
「くそ! いくぞロディ、ライアン!」
「フレイ殿、先に! 俺は最後まで残るぞ!」
「カイン、クリスは任せたぞ!」
馬を乗せ、交戦しつつ船を出航させることはかなり難しかった。アストリアの姿が見える。その時にはもうカインとクリスだけが残っていた。船を動かし、桟橋で傭兵と交戦し、カインが出発した船に飛び乗る。
「クリス、早く!」
「はい!」
一歩踏み込んで相手に斬り込んでからクリスも桟橋を蹴った。傭兵の怒鳴り声が聞こえた。桟橋まで走り込んできたアストリアは出向した船を見ると、じっとこちらを睨み付けた。今ので海岸にあった船は最後だ。別の船を手配するまでは時間が稼げるだろう。アストリアがあきらめて桟橋から去るのを見届けると、ふっと力が抜ける気がした。
「クリス、大丈夫か」
「はい、かすり傷ばかりです」
「そうか」
カインは大きく頷くと、ぐっとクリスの両肩を掴んだ。
「よくぞここまでマルス様をお守りしてくれた!」
「はい…!」
「まだ騎士なって日も浅く、思わぬ長期遠征。大変だったろう。これからは俺も力になる。共にマルス様を守ろう、そしてアリティアを取り戻すのだ…!」
このような状況で不謹慎ながら、クリスは嬉しかった。カインから寄せられた信頼。そして共に守ろう、と言ってくれたのは、ようやく肩を並べられたような気がして。もちろんまだまだカインには届かないが、同じところに立っていると思うと、光栄で、そして嬉しかったのだ。
「はい、カイン殿!」
ゆっくりとした夜はなかった。必ず見張りを多めにつけ、後方に位置部隊置くことでもしもの場合に状況を伝達できるように手配もなされた。海峡はいくつかの島から構成されるが、その中央にたどり着いたころだった。予想外の事態だ、後ろからの追撃ではなく、前方からもハーディンおよびアカネイア軍が押し寄せているというのだ。このままでは包囲されてしまう、事態は深刻だった。
「とにかく急いで、北の砦を目指しますぞ。そこを制圧し、砦から出ている船に乗るのです。対岸のカダイン砂漠へ」
「はい、ジェイガ――」
「どうしたクリス」
「あれは……!」
クリスが北に続く橋を指さすと、人影が見えた。馬に乗ったその人物は全速力で駆け抜けてくる。赤い髪など、それだけで個人を特定できないほどにはありふれている。それでも遠目に分かったのだ。
「敵…? いや、単騎で…?」
「ドーガ殿、あれはカイン殿です!」
「なに、あれがカインだと?」
ドーガは目を細める。その時にはもう、クリスにはカインの後方から天馬騎士が迫っているのも見えていた。思わず誰の許可も取らずに馬を単独で走らせた。
「クリス!?」
マルスが驚いて声をあげるが、もう声は届いていない。クリスは馬上から勢いをつけると、手槍を思い切り投げた。それはさすがに天馬騎士には届かないかと思われたが、ギリギリのところで天馬の翼に直撃した。敵は海に墜落していった。
「クリス! お前なのか!」
後方の敵に気が付きながら剣しかもっていなかったカインは、撃ち落とされた敵を見て走り寄ってきた。
「カイン殿! よくぞご無事で…!」
「ああ、なんとか敵を振り切ってきた! マルス様は!」
「あちらにおられます。これから橋を渡り、砦から船に乗るつもりでした」
「そうか! ご無事でよかった…!」
カインはかみしめるように言い、すぐに騎士団と合流した。
「クリス! まったくおぬしは一人で何をしておる!」
「申し訳ありませんジェイガン様…」
「いいじゃないかジェイガン。カイン、よく無事だったね…!」
「はい、しかしアカネイア軍は橋のすぐそばまで迫っています! すぐに経ちましょう。ハーディンには手を出してはなりません。ハーディンは不思議な力に守られ、手が出せないのです…」
そこで後方から騎馬隊が追い付いた。南の傭兵団も動き出したというのだ。そうとなればハーディンに構っている場合ではない。一行はひとまずは北に逃れることになった。
橋は両脇から天馬騎士が奇襲をかけてきた。ユミナやリフを中央に、全員で固まりながら移動する。後ろからアカネイア傭兵団が迫り、前方にはゆっくりとだがハーディンが迫っている。疲労困憊だが油断できない。
「クリス」
「ゴードン殿?」
「北の砦を守っているのが、ジョルジュさんみたいなんだ。僕が話をする。連れていってほしい」
「わかったわ。第七小隊で砦まで道を作る。私がゴードン殿を先に運んで、説得しましょう!」
ある程度敵を倒した後で、クリスは馬上にゴードンを引き上げて走り出した。第七小隊と騎馬隊が続き、さきに砦までの敵をなぎ倒す。東からはハーディンが迫っている。すぐに船の手配をして、歩兵たちをスムーズに逃れさせなければ。
「ジョルジュさん! 待って、撃たないで!」
「ん…? ゴードンか、久しぶりだな」
味方が倒されているというのに、ジョルジュは冷静そうに弟子を見た。
「すこしは腕が上がったか?」
「はい、今ではアリティア一の弓の名手ですから。僕がここまでこれたのも、わざわざアリティアまで足を運んでは指導してくださったあなたのおかげです」
「それで? 俺と勝負でもしたくなってここまできたか?」
「違います! 無理かもしれないけど、また一緒に戦ってほしいんです!」
ゴードンは馬を飛び降りると、ほとんど丸腰でジョルジュの目の前に立った。
「ジョルジュさん、お願いします!」
ジョルジュはしばらく黙っていた。だが、ふっとハーディンのいる方角を持の悲しそうに見た。
「俺はアカネイアの弓使いとして、ニーナ様には忠誠を誓う。が、ハーディンは好きになれない。すべてを力で支配しようとするのだ。今のアカネイアは金でやとわれたゴロツキの集まり、騎士の誇りなどない」
「ジョルジュさん、アカネイアは何かおかしいよ。だから一緒に戦ってください、あなたが望むアカネイアの為に」
ジョルジュは少しだけ考えこんだが、なにか納得したように目を閉じた。
「昔の誇りあるアカネイアを取り戻すため、あえて祖国に弓を引こう。ゴードン、迷っていたが決心がついた。すぐに船を手配しよう。ここからではもうカダインに逃げるほかあるまい」
「はい! お願いします!」
ほっと一息ついたがこうしている間にも敵は迫っている。クリスは手配を二人に任せると騎士団の方へ後戻りをした。
*
「マルス王子よ、久しぶりだな…」
そのころ、アリティア騎士団はハーディンの重騎士部隊に追いつかれていた。現れたハーディンの目は赤く光り、以前の優しさは見受けられない。体から何か異様な力がにじみ出ているように見える。マルスが共に戦った彼の姿は、もうそこにはなかった。
「ハーディン、なぜこんなことをするんだ。あなたは本当に――変わってしまったのか」
「王子よ、俺はこの大陸の支配者。アカネイア帝国の皇帝なのだ。歯向かう者は誰とて許さない。マルス王子、たとえお前でもな…。この汚らしい世界を叩き潰さねばならん、何もかも間違っているのだ…!」
「ハーディン…!」
「全軍出撃、やつらを一人残らず――」
「マルス様ぁああああああ!!!」
「え、あっ――!」
一瞬のことだった。一騎の騎士が両軍の間を走り抜け、そしてマルス王子を強引に、ほとんど力業でかっさらったのだ。
「みんな逃げるわよ!早く!!」
「クリス!?」
馬上に引き上げられたマルスは素っ頓狂な声をあげた。皆は驚いたが、すぐに走り出した。ハーディンは重い鎧で身を固めている。走り出せばぐんぐん距離がついた。
「砦につきましたら、王子はすぐに船に乗ってください」
「で、でも、僕が先ではみんなが敵を迎え撃つことに…!」
「ご安心ください、私が残ります。みんなを乗せて追いかけます」
全員が無事であることを確認していてはこの窮地は越えられない。クリスが力強く言うと、馬で追いついてきたカインやジェイガンも同意した。
「クリスの力はマルス様が一番ご存じのはず。信じてくだされ」
「ジェイガン様、私はクリスと残ります。マルス様をお願いします」
「任せよ」
砦までたどり着くと、ジョルジュとゴードンが岸で待ち受けていた。マルスとジェイガンが乗り込み、クリスの誘導でゴードンとジョルジュも乗り、すぐに船が出された。
「クリス!」
「必ず追いつきます! マルス様、約束です!」
力強く笑いかけて送れば、マルスも大きく頷いた。
「さーて、残るはお前の手腕に任されたな」
「カイン殿、どうしましょう。先に来た兵士でここを固めて、力のない者から脱出させるのが得策かと思います」
「そうだろうな。よし、陣形を組むぞ」
「はい!」
先に砦についた者から船を並べてその前に陣形を組む。追いついた兵士と合流し、全員が脱出する、それがマルスの為にできる最善の方法だ。ハーディンはゆっくりでも、傭兵団の足は速い。全員が追い付いて、船を出すまでには追い付かれるだろう。
「ユミナ王女、ユベロ王子をお願いします、ウェンデル様」
「ナバールさん、フィーナさんたちをお願いします」
一隻ごとにリーダーとなれる人を乗り込ませていく。そして最後に追いついたドーガ達重騎士が船に乗り込み、海岸に残るのが騎馬隊だけとなったとき、ついにアカネイア傭兵団に追いつかれた。
「ルーク! 先に乗って! 早く!」
「くそ! いくぞロディ、ライアン!」
「フレイ殿、先に! 俺は最後まで残るぞ!」
「カイン、クリスは任せたぞ!」
馬を乗せ、交戦しつつ船を出航させることはかなり難しかった。アストリアの姿が見える。その時にはもうカインとクリスだけが残っていた。船を動かし、桟橋で傭兵と交戦し、カインが出発した船に飛び乗る。
「クリス、早く!」
「はい!」
一歩踏み込んで相手に斬り込んでからクリスも桟橋を蹴った。傭兵の怒鳴り声が聞こえた。桟橋まで走り込んできたアストリアは出向した船を見ると、じっとこちらを睨み付けた。今ので海岸にあった船は最後だ。別の船を手配するまでは時間が稼げるだろう。アストリアがあきらめて桟橋から去るのを見届けると、ふっと力が抜ける気がした。
「クリス、大丈夫か」
「はい、かすり傷ばかりです」
「そうか」
カインは大きく頷くと、ぐっとクリスの両肩を掴んだ。
「よくぞここまでマルス様をお守りしてくれた!」
「はい…!」
「まだ騎士なって日も浅く、思わぬ長期遠征。大変だったろう。これからは俺も力になる。共にマルス様を守ろう、そしてアリティアを取り戻すのだ…!」
このような状況で不謹慎ながら、クリスは嬉しかった。カインから寄せられた信頼。そして共に守ろう、と言ってくれたのは、ようやく肩を並べられたような気がして。もちろんまだまだカインには届かないが、同じところに立っていると思うと、光栄で、そして嬉しかったのだ。
「はい、カイン殿!」