アリティアの蒼き剣(feカイン 凍結)
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6章 悪の巣
城内に突入すると、案の定多くの重騎士が待ち構えていた。ドーガ達重騎士の小隊を戦闘に、じっくり進む。アーマーキラーはここぞというときに使いたい。じりじりとした攻防が続く。その時、突然雷が落ちた。この雷は魔道のものではない、サンダーソードの光だ!そして次の瞬間に、後方から騎士が走り抜け、前方の重騎士に電撃を浴びせて回った。
「フレイ!」
マルスが声を上げ、ようやくそれがアリティア城に残ったはずのフレイだとわかる。彼はあっという間に敵にとどめを刺すと、もう効力のなくなったサンダーソードをその場に投げ捨てマルスの元へ向かった。
「王子!」
「フレイ、無事だったんだね」
「はっ、幾人か引き連れてまいりましたが、他は散り散りに…。しかし、きっと無事でいるはずです。王子、後方より騎馬の小隊が追ってきています、一度ここにとどまり敵を待ち受けるのが得策かと」
「わかった、ありがとう!前方はドーガ達に見張らせて、騎馬隊で迎え撃とう!」
フレイのおかげでアリティア軍は奇襲を受けることなく騎馬の小隊を倒した。これは敵側も予想外だっただろう。城はぐるりと渦巻きのように奥に進んでいく。余分な広間はすべて封鎖され、廊下に重騎士が現れるという極めて狭苦しい戦いだった。この城に入ったことがないため、どこが一番奥かわからない不安もある。それでも注意するのは前方のみだったから、回復を行いながらゆっくり進むと、ようやく一番おくの広間にたどり着いた。窓もなく、いったいそのくらいの時間ここに居たかもわからない。だがこの広間に抜け道がないことを見て取ると、最後だと一気に士気が上がった。それに、それだけではない。一番奥で重騎士に囲まれて座っているのは、あの憎きラング。いつもは指揮に徹するジェイガンまでも銀の槍を握りなおした。
おそらく、マルスを侮辱され一番我慢できなかったのはこの男のはずだ。仕え始めたばかりのクリスでさえ、声をあげてしまったくらいだ。むしろよく、ジェイガンは耐えた。
「ジェイガン様、私たちが道を作ります」
「クリス?」
「もう私のアーマーキラーは、一撃すれば壊れるでしょう。しかし私の力では、とても一撃であの鎧は打ち砕けません」
「おぬし…」
「参りましょう!」
クリスが声を上げ、第七小隊が突撃した。補佐するように木こりたちが斧を投げつける。傷ついた重騎士たちのとどめを刺すのは、ゴードンら弓部隊の一撃だ。
そして重騎士たちが倒れ込む道を、剣を振りながらロディ、ルーク、セシルが進む。
「クリス、行け!」
ルークが叫び、前方が開いた。そしてその瞬間に、クリスは驚きで間抜けな顔をしたラングに斬りつけた。
「貴様、あの時の生意気な小娘…!」
「ジェイガン様!」
「ああ!」
聞いたことがないほどの雄たけびを上げ、クリスの背後からジェイガンが飛び出した。一瞬、相打ちに見えた。だがジェイガンの銀の槍が、脆くなったラングの鎧を確実に突きぬいた。
「ぐ、ふ…まさか、このわしが…馬鹿な…」
「ラングよ、その身をもってして貴様の罪を償え…」
からん、と手槍の落ちる音がした。そして槍を引き抜かれたラングは乾いた咳をしながら、鎧の身を床に伏した。
***
「ジェイガン!」
ラングと相打ちのような形になったジェイガンは、わき腹に大きな傷を負った。制圧後、すぐにマルスが駆けつけた。ユミナの治癒により傷はふさがりつつあったが、その表情から痛みが伝わってくる。
「なぜあんな無茶をしたんだ!」
「何を言いますか、若者たちがこぞって突撃する中黙ってみていろとおっしゃるのですか」
「マルス王子、すみません…私がジェイガン様にお願いしてしまったがばかりに…」
「よさぬかクリス。私は自らの意志によってあの男に飛び掛かっていったのだ。老人扱いはまだ無用だ」
ジェイガンは心配されることが癪なのか、しかめっ面でそう言った。
「でもジェイガン様の気迫の一突き、私なんだか胸を討たれたわ…」
「貴様もよさぬかセシル」
「でもセシルの言う通りです。私たちの力と技術では、急所に馬上からあの思い槍を突くなんで、到底できません」
ロディがそういうと、ジェイガンは「当たり前だ」と胸を張った。
「そう数か月で越されてはたまらんわ」
ジェイガンの元気な様子に、マルスは笑みを浮かべた。
「クリス、そういえばフレイがおぬしを探しておったぞ」
「え、フレイ殿が?」
ジェイガンに促され、場内でけが人を治癒している光景の中に教官の姿をみつけた。すぐそちらへ向かうと、「おお、クリス」とフレイがっ先に声をかけた。フレイには主に座学で世話になった。ともに実践を行うのは初めてだった。
「フレイ殿、お久しぶりです。ご無事で嬉しく思います」
「おぬしも元気そうで何よりだ。なにか大きなけがはないか?」
「はい、幸いにも今のところは後に響くほどの怪我はございません」
「そうか、それを聞きたかった」
フレイは顎髭を撫でて頷いた。
「シーダ様からカインのことは聞いたな?」
「え、あ、はい!」
「ふふ、そうか。私はシーダ様より後に脱出したが、あいつはまだ無事だ。機会をみて抜け出すであろう。心配はいらん、やつはマルス様のお父上、コーネリアス様の部隊の忘れ形見…。そう簡単に死ぬ男ではない」
「はい! あ、え、マルス様のお父上…!?」
驚いて声を上げる。たしかマルスの父はメディウスによって討たれ、部隊は壊滅したと聞いていたからだ。フレイは穏やかに笑みを浮かべ、「その話はいずれ本人が聞かせてくれるさ」と言った。
その時、城内がすこし騒がしくなった。どうやら城の牢から人が見つかったようなのだ。
「ウェンデル様! ここに居らっしゃって…ご無事だったのですね」
マルスの声が聞こえそちらに戻ると、白髪の優し気な顔の男が牢屋から連れ出されたところだった。
「ラングは私がグルニアの反乱に協力したと言って捉えに来たのです。おそらくユミナ王女とユベロ王子が私の元へ向かっていると気が付いていたのでしょう。お二人とも、よくぞご無事でしたね」
ウェンデルが分厚い掌をグルニアの王子、王女の頭に置いた。
「ところでマルス王子、お願いがあります。私には大賢者ガトー様から与えられた使命があります」
「ガトー様の?」
ガトーとは、魔法都市カダインを設立した徳の高い賢者である。ウェンデルの話によれば、世界は5つの聖玉によって守られているという。かつてその中の一つに12の星座が描かれた星のオーブという聖玉があった。ガトーは闇に落ちた弟子ガーネフの暗黒魔法を破るため、そのオーブからスターライトという神聖魔道を作り出した。しかしその時の衝撃で、オーブは12個の欠片となって各地に富んでしまったのだという。オーブは一つでもかけると世界が破滅すると言われている。そこでウェンデルの使命とは、12の欠片をあつめ星のオーブを復活させることだというのだ。
いまいち現実味のわかない話ではある。マルス自身も釈然としない表情だ。だがウェンデルがでたらめを言う理由もなく、使命を与えたのが大賢者ガトーだと聞けば、絵空事で済ませることもできない。
「ウェンデル様、戦いの最中、不思議な玉を見つけました。なにか特別な力があるのかと思って私が集めたのですが、もしかしてこれでしょうか…?」
マルスの後ろに控えていたシーダが、いくつかの小さな玉をウェンデルに見せると、彼は「おお」と声をあげて頷いた。皆で覗き込むと、それは不思議で、しかし静かで白い光を放っていた。白いのだが、じっと見ていると夜空を思い起こさせる、そして神聖な気持ちになった。
「ウェンデル様、僕は一刻も早くアリティアを取り戻さねばなりません。そのあとでよければ、お手伝いできます」
「王子、ありがとうございます。私も戦いにくわわります。アリティアを取り戻した後には力をお貸しください。ひとつだけ…アリティアへの帰路にラーマン神殿があります、そこにも欠片があるやもしれません、そこへは立ち寄っていただけますか」
「わかりました」
ウェンデルは安心したようにうなずくと、もう一度ユミナ、ユベロを優しくなでたのだった。
あとがき
ジェイガンはこの作品じゃ戦わないけれど…やってもらった笑
やばい、ここまでマルスの戦闘シーン、皆無!
個人的にバーツ好きなので良き相談相手的ポジションでちょこちょこ出したいなぁ。
はあ、アリティアが遠いわ…
城内に突入すると、案の定多くの重騎士が待ち構えていた。ドーガ達重騎士の小隊を戦闘に、じっくり進む。アーマーキラーはここぞというときに使いたい。じりじりとした攻防が続く。その時、突然雷が落ちた。この雷は魔道のものではない、サンダーソードの光だ!そして次の瞬間に、後方から騎士が走り抜け、前方の重騎士に電撃を浴びせて回った。
「フレイ!」
マルスが声を上げ、ようやくそれがアリティア城に残ったはずのフレイだとわかる。彼はあっという間に敵にとどめを刺すと、もう効力のなくなったサンダーソードをその場に投げ捨てマルスの元へ向かった。
「王子!」
「フレイ、無事だったんだね」
「はっ、幾人か引き連れてまいりましたが、他は散り散りに…。しかし、きっと無事でいるはずです。王子、後方より騎馬の小隊が追ってきています、一度ここにとどまり敵を待ち受けるのが得策かと」
「わかった、ありがとう!前方はドーガ達に見張らせて、騎馬隊で迎え撃とう!」
フレイのおかげでアリティア軍は奇襲を受けることなく騎馬の小隊を倒した。これは敵側も予想外だっただろう。城はぐるりと渦巻きのように奥に進んでいく。余分な広間はすべて封鎖され、廊下に重騎士が現れるという極めて狭苦しい戦いだった。この城に入ったことがないため、どこが一番奥かわからない不安もある。それでも注意するのは前方のみだったから、回復を行いながらゆっくり進むと、ようやく一番おくの広間にたどり着いた。窓もなく、いったいそのくらいの時間ここに居たかもわからない。だがこの広間に抜け道がないことを見て取ると、最後だと一気に士気が上がった。それに、それだけではない。一番奥で重騎士に囲まれて座っているのは、あの憎きラング。いつもは指揮に徹するジェイガンまでも銀の槍を握りなおした。
おそらく、マルスを侮辱され一番我慢できなかったのはこの男のはずだ。仕え始めたばかりのクリスでさえ、声をあげてしまったくらいだ。むしろよく、ジェイガンは耐えた。
「ジェイガン様、私たちが道を作ります」
「クリス?」
「もう私のアーマーキラーは、一撃すれば壊れるでしょう。しかし私の力では、とても一撃であの鎧は打ち砕けません」
「おぬし…」
「参りましょう!」
クリスが声を上げ、第七小隊が突撃した。補佐するように木こりたちが斧を投げつける。傷ついた重騎士たちのとどめを刺すのは、ゴードンら弓部隊の一撃だ。
そして重騎士たちが倒れ込む道を、剣を振りながらロディ、ルーク、セシルが進む。
「クリス、行け!」
ルークが叫び、前方が開いた。そしてその瞬間に、クリスは驚きで間抜けな顔をしたラングに斬りつけた。
「貴様、あの時の生意気な小娘…!」
「ジェイガン様!」
「ああ!」
聞いたことがないほどの雄たけびを上げ、クリスの背後からジェイガンが飛び出した。一瞬、相打ちに見えた。だがジェイガンの銀の槍が、脆くなったラングの鎧を確実に突きぬいた。
「ぐ、ふ…まさか、このわしが…馬鹿な…」
「ラングよ、その身をもってして貴様の罪を償え…」
からん、と手槍の落ちる音がした。そして槍を引き抜かれたラングは乾いた咳をしながら、鎧の身を床に伏した。
***
「ジェイガン!」
ラングと相打ちのような形になったジェイガンは、わき腹に大きな傷を負った。制圧後、すぐにマルスが駆けつけた。ユミナの治癒により傷はふさがりつつあったが、その表情から痛みが伝わってくる。
「なぜあんな無茶をしたんだ!」
「何を言いますか、若者たちがこぞって突撃する中黙ってみていろとおっしゃるのですか」
「マルス王子、すみません…私がジェイガン様にお願いしてしまったがばかりに…」
「よさぬかクリス。私は自らの意志によってあの男に飛び掛かっていったのだ。老人扱いはまだ無用だ」
ジェイガンは心配されることが癪なのか、しかめっ面でそう言った。
「でもジェイガン様の気迫の一突き、私なんだか胸を討たれたわ…」
「貴様もよさぬかセシル」
「でもセシルの言う通りです。私たちの力と技術では、急所に馬上からあの思い槍を突くなんで、到底できません」
ロディがそういうと、ジェイガンは「当たり前だ」と胸を張った。
「そう数か月で越されてはたまらんわ」
ジェイガンの元気な様子に、マルスは笑みを浮かべた。
「クリス、そういえばフレイがおぬしを探しておったぞ」
「え、フレイ殿が?」
ジェイガンに促され、場内でけが人を治癒している光景の中に教官の姿をみつけた。すぐそちらへ向かうと、「おお、クリス」とフレイがっ先に声をかけた。フレイには主に座学で世話になった。ともに実践を行うのは初めてだった。
「フレイ殿、お久しぶりです。ご無事で嬉しく思います」
「おぬしも元気そうで何よりだ。なにか大きなけがはないか?」
「はい、幸いにも今のところは後に響くほどの怪我はございません」
「そうか、それを聞きたかった」
フレイは顎髭を撫でて頷いた。
「シーダ様からカインのことは聞いたな?」
「え、あ、はい!」
「ふふ、そうか。私はシーダ様より後に脱出したが、あいつはまだ無事だ。機会をみて抜け出すであろう。心配はいらん、やつはマルス様のお父上、コーネリアス様の部隊の忘れ形見…。そう簡単に死ぬ男ではない」
「はい! あ、え、マルス様のお父上…!?」
驚いて声を上げる。たしかマルスの父はメディウスによって討たれ、部隊は壊滅したと聞いていたからだ。フレイは穏やかに笑みを浮かべ、「その話はいずれ本人が聞かせてくれるさ」と言った。
その時、城内がすこし騒がしくなった。どうやら城の牢から人が見つかったようなのだ。
「ウェンデル様! ここに居らっしゃって…ご無事だったのですね」
マルスの声が聞こえそちらに戻ると、白髪の優し気な顔の男が牢屋から連れ出されたところだった。
「ラングは私がグルニアの反乱に協力したと言って捉えに来たのです。おそらくユミナ王女とユベロ王子が私の元へ向かっていると気が付いていたのでしょう。お二人とも、よくぞご無事でしたね」
ウェンデルが分厚い掌をグルニアの王子、王女の頭に置いた。
「ところでマルス王子、お願いがあります。私には大賢者ガトー様から与えられた使命があります」
「ガトー様の?」
ガトーとは、魔法都市カダインを設立した徳の高い賢者である。ウェンデルの話によれば、世界は5つの聖玉によって守られているという。かつてその中の一つに12の星座が描かれた星のオーブという聖玉があった。ガトーは闇に落ちた弟子ガーネフの暗黒魔法を破るため、そのオーブからスターライトという神聖魔道を作り出した。しかしその時の衝撃で、オーブは12個の欠片となって各地に富んでしまったのだという。オーブは一つでもかけると世界が破滅すると言われている。そこでウェンデルの使命とは、12の欠片をあつめ星のオーブを復活させることだというのだ。
いまいち現実味のわかない話ではある。マルス自身も釈然としない表情だ。だがウェンデルがでたらめを言う理由もなく、使命を与えたのが大賢者ガトーだと聞けば、絵空事で済ませることもできない。
「ウェンデル様、戦いの最中、不思議な玉を見つけました。なにか特別な力があるのかと思って私が集めたのですが、もしかしてこれでしょうか…?」
マルスの後ろに控えていたシーダが、いくつかの小さな玉をウェンデルに見せると、彼は「おお」と声をあげて頷いた。皆で覗き込むと、それは不思議で、しかし静かで白い光を放っていた。白いのだが、じっと見ていると夜空を思い起こさせる、そして神聖な気持ちになった。
「ウェンデル様、僕は一刻も早くアリティアを取り戻さねばなりません。そのあとでよければ、お手伝いできます」
「王子、ありがとうございます。私も戦いにくわわります。アリティアを取り戻した後には力をお貸しください。ひとつだけ…アリティアへの帰路にラーマン神殿があります、そこにも欠片があるやもしれません、そこへは立ち寄っていただけますか」
「わかりました」
ウェンデルは安心したようにうなずくと、もう一度ユミナ、ユベロを優しくなでたのだった。
あとがき
ジェイガンはこの作品じゃ戦わないけれど…やってもらった笑
やばい、ここまでマルスの戦闘シーン、皆無!
個人的にバーツ好きなので良き相談相手的ポジションでちょこちょこ出したいなぁ。
はあ、アリティアが遠いわ…