伝説の夜
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起きると既に夕方になっていた。
眠りについたのは朝なので、当たり前か。
目の前には、静かに眠っているアカギの顔がある。やっぱり整った顔をしているなあ、鼻も高いし、なんて思いながら、そっと起き上がるとアカギもどうやら目が覚めた様子。
「...起きたの。今何時?」
「ちょうど16時になったくらい」
お腹が空いたので、何か作ろうと思い立ち、冷蔵庫の中を見る。卵、鶏肉、玉ねぎが丁度揃っていたので、オムライスを作るならにした。
長い髪をポニーテールに結び、エプロンをする。いちおう、料理をする時はお気に入りのエプロンをして台所に向かうというのが、私のルール。そうすることで、少し気分が良いのだ。
玉葱はみじん切りにし、フライパンに火をかけ油を少し引く。そこに刻んだ玉葱を入れ、色が変わりつつあるところで一口サイズに切っておいた鶏肉を入れる。フライ返しで全体を切るように炒めていく。
視線を感じたので居間の方を見ると、アカギが身体をこちらに倒して頬杖をついたまま私がご飯を作る様子をじっと見ていた。
急に恥ずかしくなって、慌てて目を逸らす。一旦、炒めた具材を皿に移して、今度は白米をフライパンに入れ、炒める。ある程度白米が温まってきたタイミングで、一度皿に移しておいた玉葱と鶏肉を戻し、塩胡椒を少し、ケチャップを投入。
ぶわぁっと、辺りにいい匂いが立ち込める。隠し味として、コンソメを少し入れて再度切るように炒めて、チキンライスが完成した。
フライパンをさっと水洗いし、バターを引く。卵を二つ溶きほぐし、バターが溶けたところへ流し込む。円を描くようにぐるぐるとかき混ぜ、トロトロの状態で火を止める。
「はい、簡単なもので申し訳ないんだけれど。」
アカギの分は少しチキンライスを多めにしておいた。何も言わずとも布団を下げてテーブルを出してくれている彼は、ぶっきらぼうに見えて案外、気を遣えるタイプらしい。
「オムライス」
「そう、オムライス。洋食は、嫌いだった?」
私の質問には返事をせず、彼は出来立てのオムライスを一口、口に放り込んだ。
「俺、基本和食しか食べないけど、あんたのオムライスは、なんか好きな味かも」
「そう、それは良かった」
素直に感想を言われるものだから、足元から変にくすぐったくって、私は姿勢を正した。そのまま、黙々とオムライスを食べ進めていく。
普段は人と向かい合ってご飯を食べることも、他人に自分が作った料理を振る舞う機会も無いに等しいけれど、たまには良いものだなと、少しにやける口元を隠しつつ、「美味しい。やっぱり隠し味にコンソメを少し入れるのが味噌だな」などと独り言を呟いた。
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