DAYS
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「なまえさーん、俺手伝いますよ~」
「あれ、風間くん練習は?」
「あぁ!大丈夫っス!」
「え?何が…?」
もう休憩?早くない?と首を傾げる先輩にニッコリ笑って
胸の下に抱えられてる羨ましい荷物へ手を伸ばす。
「サボってんじゃないよ風間」
「げっ!生方…」
「げっじゃねーよ。アンタ、私の時もそれくらい手伝ったらどうなの」
「なんで。つくしが居れば十分だろ?」
「アンタも手伝えば私の仕事がより減るだろうが」
「…なまえさん、それ俺が運ぶよ」
「オイ」
良いところに背後から現れたと思ったら、自己主張の激しすぎる要求をぶつけてくる生方に背を向けなおして
ニコニコと俺達の様子を見守ってたなまえさんの荷物に もう一度手を伸ばしたら、惜しいとこでひらりと躲される。
「これは大丈夫だから、風間くんはちゃんと練習戻ること。いーい?」
「…ほーい」
「いい子だね」
「なまえさんってさー、俺のことめちゃくちゃ子供扱いするよな~」
「風間くんが、いい子で可愛い後輩だから、つい」
「いい子だよ~俺!」
「うん、しっかり練習しておいで」
「りょーかーい」
またニッコリ笑いながら、そんな返事と共に手を振ってなまえさんを見送る。
ふわふわしてて、何でも受け入れてくれそうな感じすんのに これが全っ然。
俺の気持ちだって気付いてるはずなのに、初めて会った時からなーんも変わんねーし。
今のだって『いい子で可愛い後輩でいてね』ってことだろ?
今はとりあえず聞いといてあげてもいいけどなー…
「フラれてやんの。…っていうか風間あからさますぎ」
「良いじゃん。分かりやすくて」
「理由も分かりやすいけどね。胸見すぎだから」
「いや~ あの人良いの持ってるよ」
「いや、そこは隠せよ」
「誰かさんと違っいててててて」
「体目当てとか最低だから」
「…確かに最初は胸から入ったんだけどさ」
「…いっそ清々しいな…」
「なーんか良いよな、あの人」
俺とどこか少し、似てる気もすんのに
全然分かんなくて。
でもいつだって遠すぎないとこに居てくれんのがなんかよくて
もっと、近くに居たらどんな感じなんだろーなって
気付いたら、まぁ そんな感じ。
「………」
「ん?」
「…あんたには10年早い」
俺の方を見た生方が変な顔してる理由が分かんねーで首を傾げたら、そんなことを言われる。
「マジか。10年も経ったら俺 今より更にいい男になってるけど、大丈夫?なまえさん、俺のかっこよさに倒れちゃったりしない?」
「何の心配だよ…。いいからさっさと練習戻んな!」
「へーーい」
でも確かにあの人のこと理解できるのって10年後くらいかもしんねーな、なんて10年後を想像してみたけど
今と全く変わってる気がしなくて笑う。
俺彼女とか困ったことねーし、あんまこういうのないから新鮮で面白いけど
でも、
「流石に10年は待てねぇわ~」
と、
青い空に呟いて
グラウンドの隅に転がっていたボールを足で掬い上げた。
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