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『ツブし返してやりますよ!!』
そんな大口を叩いて、憂さ晴らしでもするように臨んだ葦木場さんとの勝負は
圧倒的な差を見せつけられて 負けた。
くやしいけど、
強くて、知的で、冷静で、
やさしさもあって
素直に、すごいとも思った。
だから考えた。
ゴミを拾って、学園に戻る箱根の山を登りながら。
『今のおまえは努力も敬意も足りてない』
『他人の苦しみを知ろうとしてない』
葦木場さんに言われたその言葉は、
兄貴と比べられる自分のことで精一杯になって
今までオレが考えもしないことだった。
だから すぐにはどうすればいいかなんて分からなくて
それでも、オレが知る努力をすれば
先輩達は答えをくれた。
葦木場さんがどんな風に部で過ごしてきて、何に悩んで、苦しんでここまでやってきたのかも
なまえさんがずっと前からオレを気にかけて、それでも何か理由があって距離を置いていたことも
それを聞く前から、謝んなきゃとは思ってたけど
まだよく知らない先輩達となまえさんに謝るのじゃ訳が違ってて、
冷静になればなるほど 昔のことを大事にしてる自分に気づく。
謝ったところで昔みたいに戻れるわけじゃない とか
酷い言い方したし幻滅されたかな とか
それ以前にどうでもいいって思われてたら、なんて考えるのに
そこからまた もしも に期待する自分がイヤで
話かけられずに、遠くから見てる。
昔はいつも…どうやって話かけてたっけ。
オレ、自分のことばっかで話聞いてもらうのがほとんどだったから
悩んでんのとか見たことなかったけど…
なまえさんにも、苦しかったことってあんのかな。
それ、聞いたら、教えてくれます?
ホントは聞きたいこと、いっぱいあったんですよオレ。
この1年、どんな風に過ごしてました?
連絡くれなかった理由ってなんですか?
言い過ぎたこと、許してくれますか?
兄貴のこと、まだ好きですか?
それとも…
「…苦しみ、か」
今 葦木場さんのとなりで微笑んでるあなたが、答えだったりしますか?
そうやっていくらひとりで問いかけたところで
答えなんか返ってこないけど。
今はまだ、あなたから直接答えを聞くのが怖いから。
臆病者
答えのない問いかけがいくら胸につかえても、今はまだこの苦しみを手放せそうにない。