自惚れのSpiegel
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3年が引退してしばらくは、皆なんだかんだ部活に来ては口出ししてきて
なまえも、相変わらずマネージャーマネージャーってうるさかったけど 顔見せに来てたくせに
秋大で盛大にコケた翌日、ちょっと話しに来てから
それ以降 何でか全っ然来なくなって
普通、彼女ならもっと気にかけたりするもんじゃない!?
なんて愚痴りながら 暇そうにしてる雅さんに様子を聞けば、
『お前、もうちょっとまともにみょうじと話せねぇのか』
って、そんなことを言われた。
何が!?普通に話してるじゃん!!ってその時は言ったけど
部活ないと顔会わせるどころか見かけすらしないし
かといって、なんで急に部活来ないわけ?とか格好悪いから送りたくないし
まあ、どうせ送ったって?受験勉強優先とか言って結局来ないだろうし?!
そしたら連絡なんて、試合の日にちょっーと当たり障りないのが送られてきたぐらいで それ以外ほとんどなくてさ!
それなのに『みょうじ先輩、最近図書室にこもり気味だって言ってましたよ』とか樹のやつが言い出して意味が分かんないし!!
日が経てば経つだけ腹が立ってきて
文句でも言ってやろうと朝のうちにメッセージをひとつ送って、昼休みの鐘でなまえの教室に行ったら
「…ちょっと!!何で居ないわけ!?」
「鳴?」
「雅さん!!なまえは!?」
「俺が知るか」
「あーーーもーー!意味分かんない!!」
大声でズカズカと教室に入って、なまえの席に八当りするみたいに座ってうつ伏せたら、「おい」って雅さんの咎めるような声が聞こえたけどそれは無視した。
いいよね雅さんは何もしなくても同じクラスなんだからさ!
こっちなんて行くって言ってあっても居ないんだよ!?
つか何で居ないわけ!?返事で分かったって言ってたくせに全然分かってないじゃん!!
なんで俺が
こんな、ってとこまで考えて
やめた。
やってらんないよ、ほんと。
「ごめんね、鳴くん。職員室 思ったより時間かかって」
「……」
こっちはもう無視してやろうかってくらい腹立ってんのに
「お昼、どこで食べる?」って、頭撫でてさ
そんなことで、ちょっとくらいは許してあげてもいいかと思う自分に呆れて
それを振り払うように席を立って 教室を出た。
「……あのさ!何ついてきてるわけ?」
「…お昼どうするのかと思って」
「俺今怒ってんの!分かんないかな!」
「分かってる。居なかったのは謝るよ、ごめんね?」
「そうだけどそうじゃないし!!」
分かってるよ、どうせまた俺のわがままなんでしょ。
マネージャーは選手と違って推薦とかないし、受験勉強だって部活長引いた分遅れてんのも分かってるし。
分かってるけど、
そうじゃなくてさ、
「ほんとなまえって優先順位おかしいよね!」
「…受験生だし勉強優先じゃないかな、普通」
「はい絶対言うと思った!!俺だってそんなに暇じゃないんだからね!?それでもなまえが寂しがってるかと思ってわざわざ来てあげたんだよ!?」
「うん、ありがとう」
「今だけだよ!こんなことしてあげんの!」
「…分かってるよ?」
「ウソだね!!すぐそうやって分かったふりしてさ!全然分かってないから言ってんじゃん!!」
そんな押し問答をしながら
なまえが着いてこられる早さで歩いてみたって
先を歩いてるはずの俺が、後ろを歩いてるなまえを
まるで追いかけてるみたいになるだけ。
それだっていつものことだけどさ、
なんでこう、
もっと、
「俺モテるんだよ!?よく他校の子に写真だって頼まれるし!!ほんとに分かってんの!?」
「うん、分かってるよ?」
「ふーん!へーえ!分かっててそれなんだ!!俺がどこ行ってもいーんだ!?」
「…プロに行くんでしょ?」
「、…は?」
何言ってんの、とか出てこなかった。
俺が言ってるのはそんな意味じゃないって
分かってるくせに、あえてなまえはそう言ってる。
それすらも、俺が分かんないと思ってるわけ。
ふざけてんの、
なに、
なんで、
「ちゃんと、分かってるよ?」
「何、その顔、…諦めてるみたいな、」
そう言った俺に、なまえは何も答えなくて
いつもみたいに困ったように微笑まれたら一瞬で悟った。
なんだよ、それ。
ふざけんなよ…!
「…なまえの今だけって、分かってるってそういうこと!?俺が飽きるか、卒業してプロになるまでとかそういうこと!?」
「鳴くん、」
「ほら!全然分かってないじゃん!!俺、そんなこと言ってないよね!?まさかずっとそんなこと思ってたわけ!?」
そう叫ぶように言ったって
否定しようとしないなまえに、
「何で何も言わないわけ!?俺は…っ!」
俺は、なまえが好きだって、
「もう!…いいよ もう、知らねーよ、」
そういうのが、なんか バカみたいに思えて
虚しくて、
追いかけっこは
もうやめた。