ダイヤのA
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「体調悪いなら休めよな」
「……」
俺のその言葉に、うつ伏せていたなまえが顔をあげれば
死んだような目と視線が合って、こりゃ相当だなと思いながらも言葉を続ける。
「部活も無理して出る必要ねーだろ。マネージャーなら他にもいんだし」
「…御幸のそういうとこ嫌い」
「え?」
「…帰る」
「おい…ひとりで帰れんの?」
「休んだから平気」
「あ、そう…?気をつけろよ」
「ん」
それだけ返すと荷物を持ってひとり出口に向かっていくなまえに
「俺が送りましょうか!?」とデカい声で気を遣うどこかの後輩がいるわけだが
「気にしなくていいよ。自分のことやりな」と言って帰っていく姿を見送る。
はっきりと物を言う、なまえのそういうところが気に入ってるし
嫌いだと言われたからって、だから別れ話になるとか 喧嘩になるとか
そういうわけじゃないとこも感情的じゃなくて助かるけど
釈然とはしない。そういうとこってどういうとこだよ。一応心配してんだけど…?となる。
「今のは御幸の言い方が悪かったと思うよ」
「…そう?」
側で一部始終を見てたナベに苦言を呈されて
釈然としないなりに、やっぱそうなのか…とは思う。
自分が人付き合いに難があることは自覚してるし、アイツが不満がるのも珍しいから。
「大丈夫?の一言くらいあっても良かったんじゃない?」
「どうせ大丈夫としか言わねーし、聞いて良くなるもんでもないだろ?」
「でもその一言もなく、代わりはいくらでもいる、みたいな言い方されたら そりゃみょうじだって怒るよ」
「…俺は別に 1日くらい他の奴に任せても良いだろってつもりで…」
「分かるよ。普段のみょうじなら流せたと思うし。けど、今日は余裕なかったんじゃないかな」
「…」
「いい機会だから、御幸はもう少し人に優しくすることを覚えたらいいと思うよ」
「……」
「発言に人の心がないからね」
「そこまで言う?」
言い方が悪かったのと、真意が伝わってない可能性があるってのは理解したけど…どうにも気を遣うってのは難しい。
「ちゃんとフォローしときなよ」と言われたところでフォローの入れ方も全然思いつかねーし
「彼氏なら普通!送っていくだろ!断られても!!」と沢村に普通を説かれるのも全然意味わかんねーし…だって断られたじゃん…となる。
なるんだけども、まぁ、俺に非がないとは言えねーし
明日は様子見て声かけるか……気重いな〜と、翌朝のことを考えて小さく息を吐いた。
「はよ」
「ん」
「……」
「…何?」
特に不機嫌な様子もなく、いつも通りのあっさりした挨拶に
もうこれ いつも通りでよくね?という気持ちでいたら怪訝な顔をされる。
普段用事もないのにわざわざ話しかけたりしないからそりゃそうだよな、と引っ込みのつかなくなった自分の行動をどうしたもんかと悩んだのは一瞬。
「いや〜…昨日はごめん」
「…別に」
とりあえず謝っとけばなるようになるだろ、と謝罪すれば余計に険しい顔をされて、謝ってんのに…?となる。
別に、と言われてしまえば言い方がどうだとか真意がどうだとか、そういう言い訳じみた話をするのもどうかと思えて 何を続けたもんか…と思案する。
「…今日は出んの?」
「じゃなきゃ朝練から来てないでしょ」
「まぁ…、無理はすんなよ」
「…変なの。雨でも降りそう」
「変って…」
「どうせ、なべちゃんにもう少し優しくしたら?とでも言われたんでしょ」
「…」
「分かりやす」
「……」
酷い言われように、やっぱ慣れないことするもんじゃねぇな…全部バレてるし。変とか言われるし。と黙っていたら図星どころか追い打ちをかけられる。
「いいよ、いつも通りで。昨日のだって内容は正論だし」
「………」
その言葉で 言い方は許してないってのがありありと伝わってきて余計に何も言えなくなる。
けど、やっぱり釈然としないのは 昨日と変わらないままで
「…何だよ、これでも一応心配してんのに」
口をついて出たそれは、いつも通り…とはまるでいえない拗ねた子供のような発言で
自分で言っておいてなんだが 少し恥ずかしくなる。
でも、これくらいいいだろ。なんて思う自分もいるもんだから
案外、なまえに対して甘えてるとこあんのかもな…と考える。
「はいはい、分かってるから拗ねない」
「分かってんのかよ」
「じゃなきゃアンタと喧嘩もなしに付き合ってらんないでしょ」
「……」
確かに?と思うのは当事者としておかしいのかもしんねーけど
なまえじゃなきゃ とっくに別れてる自信しかねーのも確かだし
まぁ、概ね伝わってて最終的に許容されてるなら…もうそれでいいか、と一人で納得していれば
「納得したなら練習行きなよ」と言われるもんだから
俺そんな顔に出てんの…?と若干不安を覚えつつ食堂をあとにした。
結論
主将になって考えなきゃいけないことも増えたし
なまえに対してはもういっそ開き直って存分に甘えさせてもらう方向でいくか、なんて思った。
←
3/3ページ