御幸一也と私の六ヶ月
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「そういや修旅どうだった?」
「…何、暇なの?」
「そーひまひま」
秋季東京都大会を優勝できたのはいいけど
成好戦での負傷が、全治3週間なんて大袈裟な診断を受けたせいで
ベンチは外されるわ、キャプテンも代理立てられるわ、練習も参加できねぇわで調子が狂って仕方ねぇ。
思わずうざ絡みもしたくなる。ってのは半分冗談だけど。
「別に何も面白いことなんてなかったけど?」
「写真の一枚もねーの?」
「…それくらいならあるけど…」
と出してきたガラケーを見て
『お前ら友達居ない以外だと、そういうとこ似てんのな』と倉持に言われたのを思い出す。
そのガラケーで見事に風景しか写ってない写真を眺めて「で、本題なんだけど」と切り出すと
やっぱり興味ないんじゃないとでも言いたげになまえは嫌そうな顔をした。
「修旅で何かあったか?なーんか最近絡まれんだよな、お前の取り巻きに」
「そんなもの居ないけど」
「じゃあオトモダチ」
「冗談やめてくれる」
「顔怖えーって。冗談なしに。絶対何かあっただろ?」
3度同じことを聞かれて流石に諦めたのか
それでも一瞬渋るような表情を見せてから、仕方ないというように口を開く。
「…『別れて』と言われたから『あなたが御幸に別れると言わせられたら別れてあげる』と答えたくらいね」
「うわ、それじゃん。思い切り煽ってんじゃん」
「わざとね」
そう一言呟いて俺を見据えるなまえに空気が変わる。
「え、なに?もしかして俺 今なんか試されてる?」
「他人に『別れて』と言われて初めて、自分にその気がないことに気付いたんだけど」
「へぇ~、いつの間にかめちゃくちゃ愛されてんじゃん 俺」
「…ごっこ遊びに飽きたのなら今のうちに『別れる』と口にしておくべきよ?先の面倒も加味してね」
「…その話の流れで普通、別れる方推す?」
「期待するのも疲れるでしょう」
期待、ね。
俺に何を期待してんだか知らねぇけど、案外悲観的だなーコイツ。
なんて考えながら、ニヤリと笑ってみせる。
「…知ってるだろ?俺が『はい、そーですか』って答える性格してないの」
「相変わらずひねくれてるのね」
「人の性格なんてそうそう変わらねぇよ」
そう、はっきりと 答えるでもなく誤魔化して
なまえが追及してこないのをいいことに 会話をそこで切り上げる。
そんな真剣に考えてたわけじゃねぇけど、別にわざわざ別れるつもりとかねーし…
つか、今さら本気になってる、とか面と向かって言えねーだろ普通。
コイツなんでこんなサラッと言えんの?恥ずかしいとかそういうのねぇの?
と内心では色々ツッコミつつも
なんとなく、嬉しく思う自分がいたりもして。
五ヶ月
なんか今日、機嫌いいな お前…なんて倉持にツッコまれるのは少し後の話。