御幸一也と私の六ヶ月
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夏休みも、もう数日で終わる夏の日に
初めて御幸が試合に負けたところを見た。
他にも負けた日はあったのかもしれないけれど
特に御幸と連絡を取り合うわけでもないから いつが試合だとか、ましてや勝率なんて知る由もない。
毎日練習を観に行っていたわけでもないし
試合のたびに応援に行っていたわけでもなく
心から応援していた、なんてとても言えはしないけど。
それでも、
ただ なんとなく
御幸が試合に負けることは想像していなかった。
だからかもしれない、
翌日もグラウンドへ足を運んだのは。
結局、いつも通りに練習をしている御幸の姿を見て
10分も経たずにグラウンドを後にしたけれど。
そんな らしくないことをした理由を考えながら迎えた新学期は、
まだどうしようもなく暑い。
「久しぶり、」
お昼になり、人が動き出す教室で
相変わらずスコアブックを片手に座っている御幸に声をかければ
御幸は何故か不思議そうに眉を動かした。
「…。そーでもなくね?」
「…?」
「見に来てたろ、練習。週1くらいか?」
「…知ってたの」
「そりゃあお前、目立つし。ウチには目敏いの多いからなー、俺が見つけなくても誰かしらが来てたぞって教えてくんの」
「そう」
「…日曜も来てたしな。何?やっぱ俺のこと好きになってきた?」
「……そうかもね」
「……」
自分の口から出てきた言葉と、珍しく驚いた顔をした御幸を見て
あぁ、そうなのか。とどこか他人事のように気付く。
スコアブックの読み方を調べてみたり
試合の後わざわざメールしてみたり
なんだかんだ、練習を眺めに行って
らしくないアドバイスをしようとしたのも
心配に、なったのも
全部、御幸が 気になっていたせいかも しれないと
「お前ってほんと、正直だよな」
それに気付けば
明るくなるような、暗くなるような
茹だるような暑さも相まって
なんともいえない気分になった
三ヶ月
今さらそんな事に気付いてどうするんだろう。なんて、また他人事のように思う。