御幸一也と私の六ヶ月
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初めて彼とまともに言葉を交わしたのは、ひと月半前の
私が嘘の告白をしたあの日。
彼のことは一応認識していた。
他の女子達が1年の頃からよく騒いでいたし、ガラの悪そうな友達相手にへらへらとしているをたまに見かけていたから。
軽薄そうだと、勝手に思っていた。
それでも、そんなのは勝手なイメージに過ぎず
軽薄な冗談を言うことは確かにあっても
真意は別にあって
性格は悪いけれど
優しさもある
御幸が野球をしている姿をちゃんと見たことはないけれど
毎日のようにスコアブックを見つめながら思案に暮れているのを見れば
嫌でも、彼が野球と真摯に向き合っているのが分かる。
今だって、そう。
それでも、彼とは前より少しだけ話をするようになった。
「御幸は、本当に倉持くんしか友達居ないのね」
「…いや、別に倉持とも友達ってわけじゃねぇけどな」
「……」
「そういうお前だって俺しかいねーだろ。友達じゃなくて彼氏だけど」
「…そうね」
「その間!しかも顔が正直すぎんだよ、一応ねって書いてんぞ!」
「…」
「はいはい、事実だよ。相変わらずだな、お前は」
なんて、そんな風に他愛のない話だったり、野球の話だったり
たまに、御幸自身の話だったり。
意外と料理が上手いのだとか
甘いものは苦手なのだとか
B型だと聞いた時は妙に納得したり
ポジションを聞いた時には「どんだけ興味ねーんだよ!俺に」なんて言いながら何故か彼は笑った。
それでもその後、珍しく普段とは違い 目を輝かせてキャッチャーという役割や面白さについて語るその姿に
彼と付き合い始めて
一ヶ月半
初めて、一度 練習している姿を見に行ってみるのもいいかもしれないと、そんなことを思った。