御幸一也と私の六ヶ月
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この前、初めてなまえが笑ったかと思えば それは多分、沢村の功績で
それが少し面白くなかった俺は、まずなまえとコミュニケーションとってみるか、と見ていたスコアブックを閉じた。
「今日は本読んでるんだな」
「ぼうっとしているばかりじゃ勿体ないでしょう」
「それ、面白れーの?」
「…御幸が読んで面白いかは分からない。どうして?」
「面白いなら俺も読んでみようかと思って」
「…気になるなら、読み終わった後貸すけど…」
怪訝な顔をしているなまえにサンキュー、と返して
閉じていたスコアブックを開いた。
話題がこれしかないわけじゃねーんだけど…
いきなりあれこれ話しかけるのもなんか違うだろうし、…既に怪訝な顔してたし。
ま、徐々にだな、徐々に!
なんて思っていれば、珍しく視線を感じて顔を上げる。
その視線は残念ながら俺じゃなくスコアブックに向いていて
見ても分かんねーだろうに、なんて思っていた俺は驚かされる。
「…野球って、結構点を取られるスポーツなのね」
「……」
「うちの学校は野球部が強いって聞いた気がしたけど…、………何?」
「コレ、読めんの?」
「…少しなら」
「興味あったっけ、野球」
「別に」
別に、ねぇ…。
確かになまえの口から野球の話なんて、今のが初めてだし
練習 見に来たことだって一度もねーし、授業でだって選択しねぇとやる機会なんかないはず。
ましてやスコアの読み方なんて…まともに野球も知らない奴が知ってるはずないんだよな。
「興味ない奴が読めるもんでもないと思うけど?」
「…御幸が毎日眺めているから、何か面白いのかと思って少し読み方を調べただけ」
「……聞いてくれりゃ教えるのに」
「ただの興味本意に時間を取らせるのは勿体ないでしょう。ただ眺めているだけなら話は別だけれど」
そりゃ勿論 ただ眺めてるわけじゃない。
反省、シュミレーション、後から思い返して気づくことは山程ある。
それにしても意外だった…
てっきり、言ってる意味が分からない。みてーな顔されるかと思ってたし。
なまえには野球と同じくらい興味持たれてねーと思ってたんだけど…もしかしてそうでもないのか?
「…もしかして、俺のこと好きになってきた?」
「…無関心ではなくなったかもしれないけれど、好きかと言われればNo.」
「そりゃあ残念」
「興味本位で邪魔をするつもりはないから」
安心して とでもいうように、また本に視線を落として会話を終える。
誤魔化されても別にいいやと面白半分に聞いた俺としては 意外な進展だった。
コイツ嘘つかねーんだよなぁ。ま、降谷並に分かりやすいレベルで すぐ顔に出るから嘘なんかつけねーだろうけど。
ホント、正直な奴…。俺とは大違い!
はっはっは、なんていつもみたいに笑いそうになるのを抑えて、口の端を上げるだけに止める。
無関心ではなくなった、ね。
『興味ない奴が読めるもんでもないと思うけど?』
なんて、
そんなこと聞いてる時点で 俺も同じだよな。
やっと
それらしくなってきた
一ヶ月
俺たちは、これからなのかもしんねーな。