自惚れのSpiegel
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いつもいつも、どうしても俺を後輩としか扱ってくれないなまえに痺れを切らして
何かいい手ないかなーって考えた結果、今日は強硬手段に出ることにした。
「あ!いた!!」
「え?鳴くん…?どうし」
「昼一緒に食べるよね!?」
「…お昼ごはん?」
「食べるよね!?一緒に!!ね!?」
「うるせーぞ、鳴!3年の教室に来てまで騒ぐんじゃねぇ」
「雅さんは黙っててよ!!っていうか同じクラスとか聞いてないんだけど!席近いとか聞いてないんだけど!!雅さんばっかズルい!!」
「…どこまで小せぇ奴なんだお前は」
「小さくないし!雅さんが無駄にデカすぎるだけでしょ!!」
「め、鳴くん!」
慌てた様子で俺と雅さんの間に入ってきたなまえが「お昼、いつもはどこで食べてるの?」って聞きながら教室から連れ出そうとするから
最初からこうすれば良かった、なんて思う。
部活中はマネージャー業優先ってうるさいし、それ以外の時間なんて学校だし。学年違うから殆ど会わないし。
そしたら昼休みしかないじゃん!と思って来てみたけど!
結局付き合ってるなんて言ったって、俺が一人で騒いでるみたいなもんだし
まだ俺のこと好きじゃないんだって、分かってるけどさ、
と、隣で弁当をつつくなまえの方を見れば部活中と変わらない。
いつもみたいに少し困ったみたいな顔して笑う。
「…ご機嫌、ななめだね」
「普通だけど!?」
「そんなに怒らなくても…」
「別に怒ってないし!!」
「同じクラスなのは、別に隠してたわけじゃないんだよ?」
「俺には関係ないもんね!!どーせ俺は雅さんより遠い存在だよ!!ただの後輩だよ!!」
「そんなことないから…」
「どーだか!そんなこと言うなら彼女っぽいことしてみてよ!!」
「か、彼女っぽいこと……?」
そうやっていつも、俺のわがままに雅さんと しょうがないなーって顔してさ!
クラスでもそんなだったらどーしてやろうかと思うよほんと!!なんて思いながら、小さく首を傾げてるなまえを見る。
「えーっと…膝枕、してあげよっか?」
「……」
「あれ、だめ?」
「別にだめとは言ってないけど!?やってよじゃあ!!」
俺の不満そうな顔に、また困ったように笑って えーっと…と考え出すなまえの膝に、半ばやけくそで寝転がれば 日差しが直接当たってすげー眩しい。
「でもさ、ひざ枕って何!?これくらい付き合ってなくたって俺が頼めばいくらでもやってくれる女の子居るんだからね!?俺たち付き合ってんだよ!?もっとさ、他にもあるじゃん!」
年上なんだし、キスのひとつくらい してあげよーかとか言えないわけ?
なんて、頭の中では浮かんでんのに
いつも、困ったようにしか笑ってくれないくせに
ふわふわと俺の頭を撫でて
満足そうに笑われたらさ、
俺は好きなんだからさ、
なにも言えなくなるじゃん。
「…ホント狡いよね、」
「ん?」
「何も言ってないし!!」
「そう?」
「そーだよ!!」
「…まだ怒ってる?」
「別に怒ってない!!」
いつも俺はわがままばっか言ってるから
多分、困らせてばっかなんだろうけど
でもわがままじゃなかったら そんなの俺じゃないし
夏には格好悪いとこも見せちゃったけど
格好いい姿ならそれを無しにできるくらい毎日見せてるんだからさ、
だから、
早く 俺のこと
好きになってよ
そしたら俺のわがままにも 困った顔じゃなくて、そんな風に笑う日がくるかもしんないじゃん