御幸一也と私の六ヶ月
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昼から急な大雨が降りだした日の放課後
そういや、と倉持が話始めた内容に
俺は自主練のために来たばかりのトレーニングルームから引き返して寮の部屋へと戻った。
「あいつはまったく…」
二週間経とうとしている今でも、なまえは相変わらず彼女らしい振る舞いは見せない。
傘を手に取り、玄関の方へ出れば
大雨だってのに まるで日なたを歩いているのと変わらない様子で、門へ向かうなまえの後ろ姿を見つけた。
その姿を見ながら、水も滴るいい女ってああいうのに使うのかね、と関心しながら 急いで彼女の後を追おうとすれば
なまえの少し後ろで、傘をさした男がチラチラとなまえの様子を伺っているのが視界に入った。
まぁ、そりゃあ、放っとかねぇよなぁ…
「大丈夫ですか?」
「!」
「迷惑じゃなければ、入っていって下さい」
「…ありがとう、大丈夫です」
んで、アイツの性格じゃあ断るわな。
にしても俺には愛想笑いすらしねぇのに、そんな知らねぇ奴には愛想笑いして見せるってなんなのかね…
近くまででもいいですから、と食い下がり始めた男になまえの表情が曇り始める。ホント、分かりやすい奴だな。
仕方ねぇから助けてやるとしますか。
「そこのかーのじょ!俺の傘、入ってかねぇ?」
なんとも軽薄な誘い文句に、不機嫌そうな顔で振り返ったなまえにニヤリと笑って見せる。
「……御幸、」
返事を待たずになまえを引き寄せて傘に入れてやれば、声をかけてた男はそそくさと門を出ていった。
「なまえに傘を差し出そうなんて、アイツじゃ100年早えーな」
「…さっきのを見ていたなら 見習って、もう少し紳士的に声をかけた方がいいんじゃない」
「あの方がもう声かけてこねーだろ、恥ずかしくて」
「……性格悪いって言われるでしょう」
「はっはっは、当たり!よく言われる」
そうカラカラと笑えば
なまえは呆れたような表情でため息をつく。
ため息つくとしたら俺の方じゃね?
「つーか、傘ねーんなら言えよな。昼に会ってんだから」
「…部活は?」
「今日は前半 自主練なんだわ」
「そう」
「何?家まで送ってほしいって?」
ニヤリと笑って冗談を吐けば、
なまえからの鋭い視線と言葉が刺さる。
「そんなこと言ってないけど」
「そんなに怒るなって。冗談だよ、冗談!」
「別に怒ってない」
腕を引かれたから何かと思えば 二人 傘に入ったまま、一旦玄関まで戻って、俺を屋根の下まで連れてくる。
律儀というか何というか…
「…じゃあこれ、借りていくから。ありがとう」
「どうぞどうぞ」
「じゃあ、また明日」
「おう」
そんな彼女が振り返って
「部活、邪魔してごめんなさい」
言いよどみながら小さく呟いた、
「……あと、練習頑張って」
その言葉は、かすかに届いた後 大雨に消えて
ちょっと勿体ねーな、と思った
二週間
今週の発見は、意外と可愛いとこもあるじゃん。ってことで、張り切って練習に戻るとしますかね。