御幸一也と私の六ヶ月
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付き合うようになってから一週間か経って、
昼休みになまえが俺のクラスに来るのが当たり前になっていた。
ほっとくと音沙汰ねーし、酷い日は顔を合わせることもないまま…
全くもって他人のように振る舞うなまえを見かねた俺が『休み時間は教室に来るように』と言って決めたからだ。
渋々承諾したように見えたけど、昼休みは素直に通って来てる。
特に何を話すでもなく、俺の座席の前の椅子に座って 外を眺めてるだけだけど。
『何見てんの?』と聞いても、『別に、何も』と外を眺めたまま答えるだけだし。
「今日は何見てんの?」
「…考え事してるの」
「左様ですか」
それは邪魔すんなってことなのか、更に突っ込めばいいのか…
まあ、邪魔すんなと言われれば邪魔しちゃう方なんだけどな、俺は。
「なぁ、」
「何?御幸くん」
「…そういえば、名前で呼んでくんねーの?」
『御幸くん』と呼ばれたのが気になってそう聞けば、意味が分からないという表情をされる。
手っ取り早くそれっぽく見せるには良いだろ。
「御幸くん、で何ら問題ないと思うけど」
「…俺達一応付き合ってんだぜ?」
「一応ね」
お互いに『一応』本当の恋人じゃないという前提はあるわけだが…にしても一応が堅すぎねえ?
バレたら俺が茶番を繰り広げた意味もねーわけだし。
これでも一応心配してんだけどな。
「怪しまれるだろ?」
「…本当に私と付き合うつもりがあるのなら、検討するけど」
「なんだよ、こんなに愛してんのに?」
机に肘をついて、少し微笑んでみても
なまえは表情ひとつ変える様子はない。
「…それはどうもありがとう」
「はっはっは、なんつー棒読み」
普通の女子なら、照れるとか笑って流すとかするところだって。
まあ、そうじゃねーから面白いんだけどな。
また窓の外へ視線を移したかと思えば、なまえがぽつりと呟く。
「じゃあ、名前…御幸でいい?」
「そこ呼び捨てにすんのかよ」
「…何、だめなの」
笑ってつっこめば、また俺の方を見て、
今まで殆ど表情を変えなかったなまえが ほんの少しだけ、拗ねたような表情を見せたことに
俺は何故だか少し嬉しくなって。
「…いーよ、なんでも」
そういって笑う。
「そういやなまえって笑う?」
「……」
「んな顔すんなって」
「……面白ければ」
「マジ?この1週間で1回も見てねーけど」
「…まだ1週間でしょう」
1週間で見てないって十分おかしくね?なんて思ってみても
当の本人は私を何だと思ってるのか、とでも言いたげな視線を投げてきてる。
結局そんななまえと俺の関係は何を言ったところで、
そう、まだ
一週間
じゃあ笑顔は今後の楽しみにとっておきますかね、と手元のスコアブックをぺらりとめくった。