テニスの王子様
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少しの時間でも
じわじわ、暑くなってくる。
そんな砂浜でやるメンタルトレーニング…という名の潮干狩りも、季節的に限界が近くて
そろそろ釣りだな、なんて皆が話してるのを聞きながら貝をバケツに投げ入れる。
「ヒカル!」
「!」
そこへ「今週は潮干狩りー?」と水着で駆け寄ってくるなまえにあぁ、と返して
思わず脚にいってしまった視線を砂浜に落とす。
毎週見てるのに見慣れなくて困る。
毎週どころか昔から見てるはずなのに、困る。
「部活終わったらオジイのこと寄るから私の分も採ってて?」
「分かった。水泳部は遠泳か?」
「うん、そう!プールも好きだけどやっぱり海のが好きだからテンションあがる~!」
「そうか」
俺の横にしゃがみ込んで上機嫌なのはいいが、俺は横を向けずにまた困る。
昔と距離感が変わらないのは嬉しい…反面少し複雑だ。
視線が胸元へいかないよう 貝を探すフリをして相槌を打つしかない。
「あ、そうそう!部屋の模様替えしようと思ったんだけどね、いい感じの棚がないの!ヒカル今度作って?」
「あぁ、いいぞ」
「材料は、今度 部活休みの日に買いに行こ!」
「うい」
「あと 昔作ってくれた小さいテーブル、所々色落ちてきててね、」
「あぁ…あれか…。あの色のペンキはあまり余りがありません…プッ…おわッ!」
「お前ら、相変わらず仲がいいこって」
「バネさん、痛いって」
「バネさんってばやきもちー?」
「なんでだよ」
なまえの頼みを聞きながらダジャレを挟んだら、しっかりバネさんのツッコミが飛んできて
ついでに冷やかしも飛んできて
蹴られた勢いで砂浜に転がった俺の頭を撫でながら
ふふ、と笑うなまえも相まって、照れる。
この笑いは俺のダジャレでも、蹴られた俺でもなく
バネさんのツッコミに笑ってるだけだ、多分。と言い聞かせながら視線を彷徨わせる。
「冗談だよー。でもいいでしょ~お出かけ!バネさんも来る?」
「いや、俺が居ても邪魔になるだけだろーしな」
「うん、バネさんはきっと居づらいと思う!」
「「ん?」」
なまえのその発言に、俺とバネさん二人して どういう意味だ?って顔をする。
そんな俺達を気にも留めず、腕に持ってたパーカーからスマホを取り出したかと思うと なまえはまた俺の隣にぐっと寄ってきた。
水着で腕組むのはよくない。マジで。駄目。
「おい…!」
「見てこれ!期間限定いちごスイーツ食べ放題のお店!見つけたの!行くよね!?チョコレートファウンテンもあるんだって~!」
「…行く」
「寧ろメインはこっちだったりするんだ~!」
「いちごスイーツにチョコ、最高のコラボレーション」
「ヒカルは男子だけどこういうの一緒に行ってくれるから好きー!」
「、」
「じゃ泳いでくる!また後で予定立てよーね!」
「…うい」
いちごとチョコ、デラックスではないながらも美味そうなパフェの画像に釣られて 二つ返事で応えた結果が
まさか『好き』で返ってくるとは思わなくて
ドッドッと鳴る心臓が、表情に出てなければいいが…自分ではよく分からない。
とりあえず、何度見ても水着の背中が開きすぎなのが気になる。
「…お前ら…確か付き合ってないんだよな?」
「付き合ってない」
「アイツ、どこまで本気で言ってんだか分かんねーな…」
「俺も知りたい」
「そりゃそうか。ま、デート楽しんでこいよ」
「からかわないでくれ、バネさん」
「カッカッカッ!ダビデにゃ潮干狩りより、なまえと居る方がよっぽどメントレになりそうだな!」
「…案外疲れる」
「満更でもねーくせによく言うぜ。照れっぱなしのダビくんよ!」
「照れてない」
バネさんにはバレバレでも、ついそう言ってそっぽを向けば
笑いながら「そういうことにしといてやるよ!」と叩かれた背中が痛い。
二人とも、少し加減してほしい。
距離感とか。ツッコミとか。
隙あらば好きにスキンシップ
そう思っても結局、小さい頃からのこの距離感が、一番 落ち着く。
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