テニスの王子様
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「それ、何で私に?」
めんどくささ+怪訝な顔。
まぁ、そういう反応されんのは分かっとったけど。
「なまえさん 先輩らと仲ええから何とかしてくれへんかなー、て」
「えぇ…貰ったげーや、小春ちゃんからのチョコくらい」
「そういうて貰ってたら食べきれへん量なるし、」
「モテる男は言うことちゃうわぁ」
「一番はユウジ先輩がめんどいんスわ」
「ユウジはねー…ガチだからなー…」
なまえさんのことやから結局は話聞いてくれるん分かっとるけど
それらしいこと言うて なんとなく頼みやすい流れを作る。
まぁ、それらしい いうて全部ただの事実やけど…
ユウジ先輩 今ですら威嚇してくんのに
小春先輩のチョコが義理やろうとなんやろうと、受け取りでもしたらめちゃくちゃうっさいに決まっとる。
「これでも一応 直談判はしたんすけど」
「オチが見え見えだわ」
「ってことなんで、何かいいようにしてくださいよ」
「…はぁ~…」
諦めにも似たため息と、腕組みながら上を見上げるなまえさんの仕草で
これは何か考えあるパターンやな、と踏んで答えを急かす。
「かわええ後輩になんかあるでしょ」
「自分で言う?まぁ、光が頼んでアカンなら、誰か…適当に光が仲ええ子、一人だけ受け取る子決めて その子からお願いしてもらうんが一番早いんちゃう?『他の子のは義理でも受け取って欲しないからー』とかなんとか」
まぁ…俺もユウジ先輩には何言うても無駄やと思たから 先、小春先輩に頼みに行ったんやし
そのうえで俺もそういう手が一番有効そうやなと思たからなまえさんに声かけたんやけど…
改めて人の口から聞いたら…、
「…もしかして自分のこと言うてます?」
「そ~~~いうこと言うやろ?」
「でも明らか適任なんなまえさんしかおらんし…」
「他にいくらでもおるやろ!なんのためにモテてん!?」
「その他から一人選ぶと他がうるさいでしょ」
「モテるのも大変やな!!なら この話は終わり!」
「いや、やってくれたらええですやん」
「え~?でも私やと小春ちゃん勘づくんちゃうかな~?」
とか、わざとらしくそんなことを言うなまえさんに
だいたい誰が俺にチョコ作って来てくれるか知らんし。と返して黙らせる。
「どうせなまえさん、今年も皆に用意するんでしょ?」
「まぁ…私のは義理以前に日頃の感謝だし?」
「じゃあちょっと皆とちゃう感じにしてくれたらそれでええんで」
「っていうか私の都合は?」
「なまえさん本命とかおらんでしょ」
「はいはいはいどーせ居ません。イケメンに囲まれて理想のハードルだけが上がってますー」
「お返しは期待してもらってええんで」
「いやだからバレるって」
「じゃあとりあえずバレるか試してみてください」
「どうあがいても私にやらせる気やん…」
「気付いたんならはよ諦めてやってもらえると俺も助かるんスけど」
「……」
「その顔不細工っすね」
「お!い!」
それがものを頼む奴の発言か!とキレ気味の先輩がおもろくて
アカン、ついつい…と表情を引き締める。
「頼んますわ、なまえさん」
「失言のフォローもせんと自分の願望だけ通すとかどういう教育されてんねん!もうどうなっても知らんからな!?」
「いやー頼りんなる先輩がおってホンマ助かりますわ」
「アンタほんっま白々しいな…!」
そんな風に文句言いつつも
ラッピング変えるとかそんなレベルやなくて、
普通に別物用意してくれる真面目なとこが先輩らしいし、
「え、お前らってそうやったん!?いつの間に…!」
「何が」
「やってそれ、財前のだけ…」
「必死な奴は目ざとくて困るわー」
「誰が必死やねん!」
「謙也、そういう野暮なツッコミはやめとき」
「俺は必死ちゃうで!?」
「ちゃうて。温かく見守ってやろなってことや」
「お前知っとったんか白石!?」
「謙也うっさいわ。そろそろ黙り?」
謙也さんの反応も期待を裏切らへんすぎて笑ってまう。
「あ!?財前!お前何笑ろとんねん!!」
「別に謙也さんを笑ってんちゃいますよ」
「……」
「……」
ホンマやろな!と不服そうに訴える謙也さんは無視して
こっちを見とったなまえさんと目を合わせる。
そしたらコントかと思うような大きめの動きで はっ、として
その『何か』に気づく。
「…何か謀ったな!?」
「気付くん遅いっすわ、先輩」
「はぁ!?ちょっ、待ち!」
「嫌ですよ」
貰ったもんは早々に鞄へしまい込んで
代わりにラケットを手に するりと先輩の手から逃れる。
「小春ちゃんがアッサリ了承したん なんかおかしいと思ったんや…!」
「別に俺は何も言うてへんスよ」
「嘘つけ!」
「ホンマですって。先輩らが世話焼きなだけですわ」
「騙されるか!目的は?!素直に言うてみ!」
先輩が追いかけて来るんをいいことに
部室の外まで連れだして
扉が閉まると同時に立ち止まって振り返る。
「なまえさんから俺にだけ 特別なモン用意してもらうため、っスかね」
「……?」
「目的、そっちが聞いてきたんやないスか」
「そ…?んなチョコ好きやったっけ…?」
まぁ、これで伝わるとか はなから思てないからええねんけど
どっかでバレてきっかけにでもなったらええかなーくらいの気持ちやったのに
首を傾げたおしとるなまえさんを見て
よくこんだけ思った通り進んだわ、と感心する。
まぁ今回に関しては察しの良すぎる先輩らの行動も含めて、って話やけど。
「折角の機会に他と同じのやったら嫌でしょ。好きな人から貰うもん」
「……は?」
照れるでも慌てるでもなく ポカン、と口を開けて。
『後輩』が恋愛対象に入るとか思ってもない、みたいな顔。
なんだかんだ言うても、なまえさんが俺の世話焼いてくれんのって
結局〝年下は面倒みるもん”やとこの人が思うとるからで
俺は弟やからそういう感覚全然分からんけど
高校生にもなってそんな区切りに付き合わされるこっちの身にもなって欲しいわ。
「気づいてないんなまえさんと金ちゃんだけなんで。謙也さんは既に俺らが付き合うとるって方向で勘違いしたみたいですけど…」
「ま、待ってそれ」
「流石に意味分かりますよね?今日、この言い方で分からんなら先輩流石にホンマもんのアホですよ」
「誰がアホやねん!」
「ほんなら返事は来月まで期待して待つんで、精々俺のこと好きんなってくださいね」
「いや何かおかしいやろ!意味分からんし…!!」
「…やっぱアホなんやないですか?」
「そういう意味ちゃうわ!しばくで…!」
「……」
混乱とツッコミで忙しいなまえさんを前に、ちょい考えて
「しばきます?」と首を傾げるようにして顔を目の前に持っていったら
一歩下がったなまえさんとの距離が
まぁ、今の俺らの距離やろうし
「!?し、しばかんけど…光がノってきた…」
「なまえさんやったらええかな、て。まぁ しばかれたいわけやないですけど」
「いや待って!?今特別感とか出されてもついて行かれへんから!!」
「はぁ…?」
そのちょいズレた反応に呆れつつも
一応 意味はちゃんと通じとるようやし、一か月 ぼちぼちやれば何とかなるやろ…と少し赤い頬を見てそう思う。
「ほな、今日一緒に帰りましょか」
「なんで!?」
「今特別感出してもアカンなら後で出すしかないんで。特別に、家まで送ったりますよ」
「いや、いいし…!」
「お返し、3倍どころか1ヵ月かけて返すんで覚悟しといて下さいね」
「いや嘘やろ!?」
「残念ながらマジっすわ」
来月には告白ももっかい受けてもらいますんで、と微かに笑って見せたら
キャパオーバーにでもなったんか、静かになった先輩に
勝手に帰らんといて下さいよ?と耳元で追い打ちをかけてコートへ向かう。
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今まで散々スルーされた分、楽しませてもらってもバチ当たらへんやろ。
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