テニスの王子様
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「はーいおつかれー!おつかれついでに私の愚痴聞いてくれる人挙手~…って誰もあげへんのかい!」
「お~キレッキレやな!愚痴だけに!」
「ははは、冗談やって。珍しいな、どないしたんや?」
「ホンマホンマ!なまえちゃんが前置きまでするやなんて相当なんやない?」
部室に入ってくるなり一人でツッコミ始めたなまえさんにわらわらと集まっていく先輩らを見て、ここお人好しばっかやな…と軽く引く。
女の愚痴とか絶対メンドイだけやのに…とスルーしたくせに
「最近よくメッセとばしてくる男子がおんねんけど」
その前置きで聞かんわけにもいかんくなって
先輩らには背を向けたまま心底嫌な顔をした。
「私部活で忙しい言うてんのに『放課後空いてる日あったら教えて』だの『近いうちにどっか行きたいな』だの会いたいだけのメッセージ飛ばされても、こっちは別にお前にそこまでの感情抱いてへんし話すことも別にないし会ってどうするん?って感じやし、内容無さすぎやし、はっきり言うてくれたらこっちもはっきり言えんのにどうしたいねん!って感じで結構 鬱陶しいねんな!!」
そいつに相当 鬱憤溜まっとったんか、一息で愚痴りきって大きいため息をつくなまえさんに
圧倒されてた先輩らが思い思いに口を開く。
「…お、おう…なまえも大変やな…」
「こっわ…お前鬼か…」
「モテる女も大変やね」
「はーーーーあ…。はい、一人ずつコメント下さい。白石から」
いや、愚痴にコメントて…。
珍しく謙也さんの言うたのが正解やな。鬼や、この人。
「え!?俺!?えー…っとそうやなぁ…。好きな子に会いに行くときは理由があった方がええんやなって勉強になったわ」
「白石なら『ちょっと顔見たかっただけなんやけど』って一言言えば理由になるから参考にしなくてよし。次」
「その男が男らしないな!そんなん気づいた時にばっと言うてまわな!!」
「いざ自分がその立場になったらなかなか言えないタイプのくせに何言ってんの?はい、次」
「お前ホンマえげつないな…」
「アタックの仕方がウブでかわええわ~!アタシがエスコートしてあたげたいくらい~!!」
「浮気か!!死なすど!!」
「ホンマ。乙女心教えてもらい!って小春ちゃんに紹介したげたいくらいやわ…」
一通り謎の講評を受けとる先輩らを見て
ホンマこの人ら何してんねやろ…と冷たい視線を投げてたらなまえさんと目が合うて うわ、と思う。
これユウジ先輩すっ飛ばして俺に聞いてくるやつや…
「すぅー……ふー…」
「…一応聞きますけど、なんの深呼吸すか」
「財前は辛辣やから、どんな言葉が飛んできてもありがたいアドバイスとして受け入れる心の準備をするための深呼吸やけど?」
「はぁ…というか俺が聞いてるん前提なんすね」
「うん。はい、どうぞ」
まぁ、聞いとったけど。
そんなことになってんの全然知らんし、それにいちいち返信してるんかと思うとちょいイラッときたんで
まぁ、どうせ流されるやろうけど
結果『彼氏できたって言えばええんや!』て気付くくらいの入知恵はさせてもらいますわ。
「俺と付きおうて男避けにでもしたらええんちゃいますか」
「なるほどなるほど、ありがとうなー…そういう、ん?え???何て?????」
「俺と付きおうて男避けにでもしたらええんちゃいますか」
「…いや、待って?なんて???」
「しつこ」
「2回しか聞いてへんやん!我慢を知らん子やなほんま!」
「てっきり日本語が分からんアホなんかと思いました」
「それ、それやで…財前はそういう子」
「……」
俺の返しにうんうん、と腕を組んで深く頷くこの人は
俺に一体何を求めてんねやろ…罵られたいんやろか。
「でもやっぱはっきり言われると気分ええから前向きに検討するわ!」
「…ストレスで頭おかしなってるんやないですか?」
「え!?」
なんか驚いとるなまえさんと「言ったもん勝ちやな!」と騒いどる先輩らに囲まれとったら
おかしなっとるんは自分のような気がしてくる。
てか、そうなんやろうな。
「そこは『冗談に決まっとるでしょ。自意識過剰も大概にした方がええですよ』とかではなく…?え?私がフリを間違えた!?」
似てない俺のモノマネに冷めた視線を投げながら
この人の中の俺のイメージ、ホンマどうなっとるんやろと思う。
まぁでも、普段の俺やったら返しの時点で『冗談』やとは言うやろうから…やっぱおかしなっとるんやろな。
今日は『冗談』なんて 冗談でも出てこうへんし。
「俺、もう帰るんで。せいぜい悩んだらええんちゃいますか」
「え!?待って?待って待って!?」
「しつこ」
「10回くらい言いたいんやけど!?」
「じゃ、おつかれさんです」
「エーーッ嘘やろ!?」
扉が閉まってもまだ騒がしくしとる先輩に
あれのどこがええんやろ…と冷静になっても
こればっかりは
さっぱり分からんから、困るわ。と薄く笑った。
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