一緒にいるための方法
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宍戸さんと 喧嘩をしてしまった。
先輩たちが次期部長をどうするか話し合っているのが偶然耳に入ってしまって
俺が最後まで話を聞かずに誤解してしまったことが原因で話が拗れてしまった。
それは結局、その日のうちに和解することができたけど…
『新しい部長がお前と若 どっちになるかは分かんねぇけど。俺もみょうじも今年で卒業なんだから、お前ももうちょいしっかりしねぇとな!』
という宍戸さんの言葉で
『卒業』
という事実が頭から離れなくなってしまった。
その場では、二人の手前『頑張ります!』と答えたし
テニスに関しては、いくらでも努力のしようがあるから大丈夫だと思える。
けど…と 隣を歩くなまえさんに視線を向ければ、胸がずんと重くなって
俺、こんなにメンタル弱かったっけ…なんて思わずにはいられない。
それが繋いだ手に伝わってしまったのか なまえさんが俺を見上げた。
「…何か落ち込んでる?」
「あ…いえ!今日は恥ずかしいところを見せちゃったなと思って…」
「…確かに少し驚いたかな」
「……」
「ちょたって喧嘩とかするんだね?」
怖がられたり、呆れられてたりしたら どうしようかと思っていた俺の不安をよそに
なまえさんは笑ってそんなことを口にした。
「え!?し、しますよ!俺だって喧嘩くらい…普通に…」
「でもちょたが怒ってるの見たことなかったから。意外で」
「俺だってなまえさんが怒ったところ、見たことないですよ」
「…そういえば私たちまだ喧嘩したことないもんね」
「…なまえさんと喧嘩なんてしたら、俺 まともに練習できないと思います…」
「想像で落ち込まないで…?ちょたはいいこだから大丈夫、きっと喧嘩になんてならないよ」
優しく微笑みながらそう言われると、また少し胸が重くなる。
『卒業って言っても内部進学だから いつでも会えるよ』
となまえさんは言ってくれたけど
それでも、きっと今ほどは一緒に居られなくて。
俺がいくらなまえさんにとって『いいこ』で居たとしても
それだけでなまえさんの心を留めておける自信がない。
高校で俺よりも良い人に出会ったら?
部活に入れば、かっこいい年上の先輩だって居るだろうし
なまえさんは素敵な人だから、強く言い寄られることだってあるかもしれない。
そういう、俺の努力でどうにもできないことに
強い不安を覚えてしまう。
「もう、本当に大丈夫だから!そんな顔しないで?」
「え、あ…はは…」
「ちょたは心配性なんだね」
「……そう、かもしれないです」
だって、あなたのことだから。
なくしたくないんです。
意気消沈している俺の頭を、優しく撫でてくれるその手が好きだから。
大丈夫だよ、と優しく包み込んでくれるような声にすごく安心するから。
その優しい微笑みを、ずっと見ていたいと思うから。
卒業までの間に 俺に出来ること…、
精一杯、優しく、尽くして。
俺の方が『大丈夫ですよ』って言ってあげられるような、頼ってもらえるような、
そんな
理想的な恋人に
ならなきゃ。きっと選び続けてなんてもらえないから。