本当の家族
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1年後のWRGPに向けて、俺たちはシティに移住した。
さすがに子供達の面倒見る余裕はねぇと踏んでマーサに預けることにしたが
鬼柳が生きていると分かってもアジトに残ったなまえに、俺は当然ついてくると思って「お前はどうする?」と聞いたのが
かなり迷った様子を見せるなまえに 焦った俺は
「お前が嫌じゃねーなら、一緒に行かねーか?」
慌てて そう付け足して なまえをサテライトから引っ張り出した。
マーサの知り合いであるゾラにガレージを借りて
そこで俺と遊星、ジャック、なまえの4人で暮らすことに「昔みたいで嬉しい」と楽しそうにしてるし
ゾラに気に入られたのか、何かと世話を焼かれて仲良くやってるみてぇで安心した。
心配事があるとすりゃあ…
ジャックに働け働けと口うるさく言ってたら、何故かなまえの方が働き始めたことだ。
俺は勿論 反対したが、本人がやってみたいっつーのと、遊星にまで説得されちゃあな。
アキの真似してライディングデュエルのライセンスを取る、なんて言い出さなかっただけマシかと思って見守ることにした。
まぁ、俺の心配をよそにガレージ向かいのカフェでの仕事もなんとかやれてるみてぇで
心配だからって干渉しすぎるのも良くねぇか…なんて思い始めてたのに、最近はどうにも落ち着かない。
「これ、美味しいね」
「本当?よかった、口に合ったみたいで」
突如メカニックとしてうちに住むことになったブルーノのせいで。
「ここに来て少し経つけど、なまえの料理はどれも美味しいと思うよ。片手だったり、冷めても食べられるようにしてくれてるのもいいよね。僕つい作業に夢中になっちゃうからさ、助かるよ」
「…ブルーノって褒めるの上手だね…」
「そう?思ったことを言ってるだけなんだけど…」
ブルーノの言葉に「あ、ありがとう」とぎこちなく照れてるなまえを見て、なんとも言えない気分になる。
今までにいねぇタイプなんだよなぁ、コイツ…。
まさか俺が配達に出てる間もずっとこんな感じじゃねぇだろうな…?と思うと更にもやもやして荷物を準備する手が止まる。
「何を朝から辛気臭い顔をしている」
「ジャック!…別に、何もねーよ」
「どうだかな」
「ジャック、おはよう。コーヒー飲む?」
「あぁ」
相手が遊星やジャックなら何とも思わねぇ。
鬼柳にだって…こんな風に思ったことはねぇはずだ。
それが、
「あ、僕もついでにいいかな?」
「うん、もちろん。少し待っててね」
「ありがとう、よろしく」
「………」
やっぱりなまえとブルーノのやりとりだけがどうにも気にかかる。
だからどうってわけじゃねぇが…
「男の嫉妬は醜いと聞くが、本当のようだな」
「なっ…?!」
「所詮、俺には関係のない話だ。奪い合うなり、殴り合うなり好きにするがいい」
「はぁ?!しねーよ!」
ジャックの言葉に驚いて 反射で否定する。
俺がなまえを好きなのはそうでも、なまえとブルーノはそういうんじゃねーだろ!と言うわけにはいかねーが…さすがに違うよな?まだそんな経ってねーし…と若干不安にかられていると
なまえがキッチンから心配そうに降りてくるから思わず顔をそらした。
「…どうかした?またジャックと喧嘩?」
「違げーよ」
「それならいいけど…。クロウもコーヒー飲む?」
「いや、俺はもう出るからいらねぇ。お前ももうすぐ仕事じゃねーのか?」
「うん、ふたりのコーヒー淹れたら行くよ」
「……」
「?」
人の気も知らねーで 首をかしげるなまえの頭を
誤魔化すようにくしゃくしゃと撫でて、ヘルメットを手に取る。
「いってらっしゃい、気をつけてね」
「おう」
手を振るなまえを横目にエンジンをかけて ガレージを出て。
ひとり、風を受けながら走るとやっと少し冷静になって、嫉妬なぁ…と頭を抱える。
今まで、鬼柳以外を気にしたことなんかなかった。
気にするとは言っても、正直勝負になるなんて思ってねぇ。
好きになる前からなまえの真ん中にいんのはずっと鬼柳だったし…生きてると分かった今、過去でもなんでもなくなってる。
鬼柳の奴が今どこに居るのかは分からねぇが、もし鬼柳のもとに戻りたいとでも言われりゃあ、それまで。俺にはもうどうしようもねぇ。
それが頭で分かってても、今さら俺に振り向かせるためにできることなんて見当もつかねぇ。
シティに来るのを迷ってた理由だって…結局、聞けてねぇし。
なまえは俺の側に…ずっとは居ねぇんじゃねぇかって、そういう不安が心のどっかにあって。
でもその要因が鬼柳だけとは限らねぇんだと思い知らされる。
なまえに、鬼柳以外なら俺しかいないなんて 自惚れもいいとこだ。
シティに来て、環境も変わって、付き合う人間も増えて
それはブルーノじゃないかもしれねぇ。でも、俺じゃない可能性なんていくらでもあるんだと思えば
嫉妬より
恐怖の方がでけぇなんて、誰にも言えそうになかった。