本当の家族
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黒い霧に飲み込まれた時、怖くなかったと言えば嘘になるけど
それでも私が最後に思ったのは
これでクロウは自由になれて
私は京介にごめんねを言いに行けるのかな
なんて、そんなことだった。
子どもたちに囲まれて目を覚ました時には
みんなが無事でよかったって思うのと同時に
あぁ、ダメだったんだなぁ…って、
伝えられなかったことにまた、ごめんねと呟いて
いつまでも京介に囚われた自分を抱えたまま
クロウを待つ自分がやっぱり許せなくて
霧に飲み込まれたまま消えてしまえてたら、とは思うのに
今、私がここを離れて、もしもクロウが戻らなかったら…子供達は?そう考えると結局動けないまま。
ボロボロになって帰ってきたクロウをみた瞬間
まだ一緒にいられるんだって
まだそばにいたいって
思ってしまった。
消えたっていいって思ってたくせに都合がよくて嫌になる。
でも、もしクロウが帰ってきてなかったらって思うと怖くて。
でも、子供たちみんなを抱えて笑うクロウを見たら嬉しくて。
おかえりって言葉が出てこないくらい涙が出る。
色んな気持ちが混ざって、混ざって、何ひとつ伝えられず 動けないでいる私を
「お前も無事でよかった」と少しだけ抱きしめたクロウの
「何も心配しなくても、俺はずっと一緒にいてやる」
その言葉が、余計に気持ちをぐちゃぐちゃにしてしまって、声を出して泣いた。
「まぁ、お前が望めばの話だけどな」
少しだけ落ち着いた頃、そう言って話し始めたのは京介のことで。
京介が生きていたこと
ダークシグナーになっていたこと
昔と違いすぎて会わせる決心がつかなかったこと
全てが終わって正気に戻ったら
もう、旅に出てしまったこと
感情が整理できていないところに、信じられないような話が続いて また溢れる涙をそのままに黙って聞いていることしかできなかった。
「悪い…行く前に少しでもいいからアジトに顔出せっつったのに、アイツそのまま行きやがってよ…」
「……そっか、」
考えが追いつかなくて、そんな相槌しか出てこなかったけど
すごく京介らしいなって思ったし
会えなかったことよりも、生きていたことが本当にただただ嬉しくて
「……探しに行きてーか?」
どんな気持ちで聞いてくれたのか、分からない表情をクロウはしてて
それを見て私は、また京介に向けて心の中でごめんねと呟く。
でも、そこに込められた意味は今までのものとは違った。
「……ううん、ここにいる」
ねぇ、京介、
ごめんねを伝えるのは
いつか会えた時でもいい? 今は まだ、クロウと一緒にいたいから。