クロウ・ホーガン連載
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見慣れねぇヘリが飛んでるのが気になって様子を見に行けば
シティでキングになったばかりのはずの遊星が、とんでもねぇ話を土産にサテライトへ戻って来た。
龍だのシグナーだの、どれも嘘みてぇな話ばっかだったが
実際 今のサテライトにゃ、おかしな連中がいるのも確かだ。
なによりクソ真面目な遊星が敵だって言ってんだ。それだけで俺には信じるに値する。
ココロにせがまれて、伝説の男の話を語り終えた頃にはもういい時間で
子供達に寝るよう言えば、寝れんのか?ってほど元気に寝床へ散っていく。
いつもと変わらねぇそんな様子を見てりゃ、滅びるなんて言われても正直 想像つかねぇが…黙ってはいられねぇ。
ガキ共となまえを守ってやれるのは俺だけなんだ、と自分にできることを考えていれば
ふと、遊星の声が耳に入った。
「顔を見れば分かる、今 なまえがここを好きなことくらいはな」
何の話をしてたのかは知らねぇが
遊星の言葉が、言葉通りならいいと思った。
鬼柳が死んで、ピアスンが死んで
沈みきった当時のなまえに選択肢なんかなかった。
俺と来いって手を引いて、ただ一緒に居てやることしか 俺にはしてやれなかったから。
それでもこのアジトを、少しでも 好きになれてんなら
俺のやったことも少しは良かったと思える。
なまえは遊星の言葉に何を返すでもなかったが
表情を見るにまったく違うってこともねぇんだろう。
それが分かったら、余計にじっとなんてしてられるか!と
皆が寝静まった頃、動き出した遊星を止めにかかる。
「やっぱり一人で行くつもりだったのか」
「クロウ…」
「黙って行っちまうなんて水臭ぇじゃねーか」
「巻き込みたくない」と言う遊星は相変わらずで
死ぬ可能性があるなんて脅してくるのも、まぁ嘘じゃねーんだろうけど
ナメんなよ。
そんなやわな覚悟でなまえの手を引いたわけじゃねーんだ、俺は。
「…クソ真面目なお前がそう言うんなら本当にそうなんだろーな。だが俺も…ガキ共を、なまえを、命がけで守る!そう誓った」
「想いは一緒、ということか」
遊星の言葉に強く頷いて、こっちも譲る気がねーことを示す。
あいつらは皆、俺の希望だ。
マーカーをつけられようが、怪我をしようが
嬉しそうに笑う子供達を、帰りを待ってるなまえを、あいつらがいるこの場所を、俺はもうずっと前から守ると決めてる。
命くらい、いくらでもかけてやるよ。
あいつらが笑っていられる場所を守るのに、人任せにはできねーだろ。
そんな気持ちを込めて、遊星を見る。
「…覚悟してついて来いよ」
「へっ、ナメんなよ!案内するのは俺の方だ!」
そうして同行を取り付けた俺は、相棒をひっぱりだそうと小屋へ入る。
真っ暗な部屋の中、もう皆寝てるもんだと思って油断してた。
俺に遊星のやり方が分かるように
「クロウも 黙って行くの…?」
もう長い付き合いなんだ。
お前にだって、俺のやり方が分かったっておかしくねーよな。
「なまえ…!いや、そういうつもりじゃなかったんだけどよ…。まぁ、何かあってもお前らのことは、絶対に俺が守ってやるから安心しろ!」
成り行き上、そうなる可能性が高かったのを考えると強く否定できずに誤魔化したものの『そういうこと』じゃなかった。
「命 がけ、で…?」
「なまえ…?」
暗くて、気づくのが遅れた。
一瞬あげたなまえの顔は、今にも泣きそうで
「…帰って、くるよね?」
「当たり前だろ!」
「命がけ なんて、もし、クロウまで 居なく なったら…」
震えた声で繋ぐ言葉は弱々しくて
震えた手で服を掴む力は頼りない。
「んなわけ」
「私、また 何も、」
「落ち着けって!」
その様子に、鬼柳が捕まった頃のなまえが頭をよぎって 胸がざわつく。
そのせいで思わず肩を掴む手に力が入っちまって、慌てて取り繕った。
「大丈夫だ!なんたって今回は遊星も一緒なんだぜ?」
「……」
「帰ってくるに決まってんだろ?俺が嘘ついたことあるか?」
「…ない…けど…」
「だいたい、俺がお前ら置いて死ぬわけねーだろ!そっちの方がよっぽど死にそうなくらい心配だっての!」
「…うん」
おだててみせれば、なまえも少し落ち着いたみてーで
ぐしゃぐしゃと頭を撫でて思い切り笑ってやれば少し口元を緩めた。
その表情を見て、やっぱり曲げられねぇなと思う。
何があっても、命をかけてでも、死んでも、
「…気をつけてね」
「おう」
「絶対帰ってきてね」
「約束だ」
守るから
約束も、お前も、子供達も、この場所も、全部。絶対に。