本当の家族
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いつだったか俺のことを『家族みたいに特別』だってなまえがそう言って
それを聞いてから 俺は
お前と 本当の家族になりてぇな
と、そう思うようになった。
好きだと伝えた時にはもう、俺にはお前しか考えられなかったけど
俺は、お世辞にもいい男なんかじゃねーし
本物の家族ってもんも知らなかったから
思いを伝えあって、一緒に暮らして、
お前がどれだけ俺と一緒にいることを選んでも
内心、お前とそんな風になれる想像がつかねぇで
ずっと手の届かない『憧れ』みてーなままだった。
それでも、いつの間にか
想像はつかなくとも、その『憧れ』は叶えられるもんなんだとお前は思わせてくれた。
お前は相変わらず俺に対して何もできねぇって言うけど、んなこたねぇ。
側にいてくれるだけで 支えられてる。
お前が笑っててくれりゃ 俺だって幸せだ。
お前がいたから、人を愛するって意味が分かったし
愛されてるってのがどういうものかも感じられた。
…あのままセキュリティに勤めてりゃ、もっと早く言えたかもな。
いや、そうでもねーか。
俺のことだ。また言うに言えねーでぐだぐだやってたかもな。
これくらいの結果でも出さなきゃ、タイミングのひとつも掴めなかっただろうさ。
と、眩しいフラッシュが焚かれる中、数年前の自分を思い返して薄く笑った。
プロリーグでの チーム優勝。
この優勝は通過点だ、なんてよく聞く言葉を口にして
来期ソロリーグへの移籍とジャックへの挑発をひとつマイクに残す。
それに驚くチームメイトとざわつく記者を放っぽって
一番に祝われたいなまえの元へ、思いきり走っていって抱きしめる。
俺のあまりの勢いに驚くなまえを離して 思い切り笑ってみせたら
つられて笑うなまえの『おめでとう』の言葉より先に
優勝記念に贈られた花束をなまえの目の前へ差し出す。
「俺と結婚してくれ、なまえ」
今日だけは『おめでとう』よりも先に、この返事が聞きたくて聞きたくて仕方なかった。
「俺と、本当の家族になってほしい」
「、」
「ソロリーグに移籍する俺を支えてくれると助かる」
「…っ…私で、いいの…?」
「俺にはずっと、お前しかいねーよ」
お前は昔からよく泣くから、きっと今日も泣くだろうなと思ってた。
いつもお前が泣くたびに、苦しくてたまらなかったけど
今日は 違う。
「…うん。ずっと、一緒にいたい」
それは、予想通りの返事だった。
ふたりで過ごす中で、絶対に断られねぇって信じられるくらいに、なまえは俺を大切にしてくれた。
だから 応えてくれることは分かってた。
分かってた、はずだってのに…
どうしてなんだろうな、俺まで泣きそうになっちまうのは。
それを こらえるように またなまえを抱きしめて、「俺もだ」と返す。
ずっと一緒にいられる。
今度は、本当に。
本当の家族に
なれるんだからな、俺たちは。
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