本当の家族
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叶うわけねーか。
鬼柳がいるから
受け入れる余裕もねぇだろうから
まだ離れたくねぇから
そうやって、ごまかして
『ずっと一緒にいてやる』なんて言ったところで、その肝心の理由には触れなかったし
「俺は、お前を邪魔だと思ったことなんざ一度たりともねぇよ」
どうしてか、違う言葉ばっか選んでここまできちまった。
「…これ以上はきっと負担になっちゃうよ」
「ならねぇよ」
「それに、私はもう十分貰ったから」
「んなこと…!俺だってお前に何も…!」
「ううん、家族みたいに大切にしてもらったよ。ずっと一緒にいてくれるって言ってくれたことだって…嬉しかった」
「、だったら…!」
「⋯クロウには誰より幸せになってほしいって思うから」
首を横に振って、そんなことを口にするなまえに
そんなもん、俺だってお前には幸せになってほしいって 思ってるし
お前が俺に何もできなかったって言うなら、俺だってお前に何かしてやれたなんて思ってねぇのに
十分だなんて言葉で終わらせねぇでくれ、といくら思ったって
「だから、ごめんね」
頑なに俺から離れようとするなまえを
俺の気持ちで 引き止めていいのか、また苦しめるんじゃねーのかって
揺らぎが、消えねぇ。
それでも
鬼柳が生きてると分かっても、俺のそばに残ってくれた。
悩みながらでもシティについてきてくれた。
今も俺のためだって 譲らならいお前が
俺を想ってくれてることは、嘘じゃねぇと思うから。
俺は、お前を信じるぜ。
「だったら最後に、俺の頼みを聞いちゃくれねぇか?」
「……私にできることなら」
「俺のそばにいてくれ」
「、…あ、会えなくなるわけじゃないよ?カフェのお仕事は気に入ってるからこれからも続けるつもりだし…いつでも、会えるから」
一瞬だけこっちを見て、目が合うとすぐにそらして
ぎこちなく動揺を取り繕って、今までとそう変わらないでいられるのだと
わざと核心から遠ざかろうとするなまえの話を引き戻す。
「そうじゃねぇよ。そんな話じゃねぇ」
「…子どもたちに会いに行く時も、教えてくれたらお休みとって一緒に行くし…」
「なまえ、」
「……」
「俺が お前を好きだから、一緒にいたいって…そういう話だ」
俺のその言葉に、大きく揺らいだのが横顔からでも分かる。
もっと早くこう言うべきだったんだ、って思う頃にはなまえはぼろぼろと泣き始めて たまらなくなる。
どんなにお前の気持ちを汲んでやりたいと思っても
離れた方がお前にとっても幸せなのかもしれねぇと考えても
結局、これだけはどうにもならなかった。
「お前はもう、俺がいなくたって一人でもやってけるのかもしんねぇけど…俺が、お前といてーんだ」
「…」
「いくら絆があったって、ずっと今のままいられるわけじゃねぇ。大会が終わって、遊星もジャックも もう次の目標を探して動いてる。子供達だっていつかは自立する。そうなった時…誰が離れても、お前にだけは隣にいて欲しいと思った」
「っ」
「ずっと、お前が好きだったんだ」
心配で、大切で、笑っててほしくて
守りたくて、離したくなくて
とにかく そばにいたかった
ずっと、出会ったころからそうだった。
今さらかもしれねぇけど
頼むから 最後には頷いてくれ、と願いながら気を強く持つ。
「…だめ、だよ…」
「だめじゃねーって」
「だって、そんなの…」
「頼むから考え直してくれよ」
予想通り、否定から入った答えを覆させようと
ずっと涙を拭い続ける手を引いて視線を合わせれば、途端に言葉が弱くなる。
「、……できるなら、私だって、ずっと、一緒にいたかった…」
「!」
「迎えに来てくれたとき、喜んじゃいけないって思っても、うれしくて」
「なら、お前がどこに行ったって必ず俺が迎えに行ってやる」
「でも、私 何もできなくて…!京介の時だって、それでダメになっちゃった…!」
「んなことねーよ。お前が俺にしてくれて嬉しかったことなんか山程あるし、鬼柳の時みたいなことには絶対なんねぇ」
「……でも、」
「もう、いいだろ」
「私じゃ…、」
「俺のことが嫌いになったわけじゃねーなら、そばにいてくれ。頼むから」
「………すきだよ。嫌いになんて、なれるわけない…」
その言葉に「それだけ聞けりゃ十分だ」と長めの息をついて抱きしめる。
血は繋がってねぇくせに、頑固なとこが鬼柳そっくりで困ったもんだと
なかなか泣き止まないなまえの背中をさすりながら
眩しく輝く
橋を見上げる
この道がずっと続くように、と願いながら。