本当の家族
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変われるような、気がしてた。
京介にごめんねを伝えて、過去にけりをつけて。
クロウにありがとうを伝えて、ひとりでも大丈夫だって笑ってみせて。
お仕事を頑張って、もっと自立して、そうしたら
もしかしたら、いつかは
クロウと一緒にいることを許せるような自分にも なれるかもしれないって
少しだけ、そんな期待もしていたのに
「俺とガキ共の思い、まとめてお前に託すぜ!!」
予選を前に怪我をしたクロウの代わりに、アキちゃんがWRGPへ出場することになって
ふたりの練習を眺めながら私は
あぁ、やっぱり…私じゃないなぁって思う。
クロウのためにできることがあれば何でもするつもりでいたけど
子供たちに提案して作ってもらった応援のための旗は
出場できなくなったクロウを 苦しめただけのような気がして
それなのに、なんて言葉をかければいいのかも分からなくて
結局、私自身がクロウにしてあげられることなんか全然 何もなくて
ボルガーとのデュエルの時も、ピアスンが亡くなった時も
…京介の時だって、そうだった。
私は、昔の私と 何も変われてなんてない。
そばにいたって何ひとつ返せてない。
それでも、大会が終わるまでは頑張ってみようって
まだ何かできることがあるかもしれないってそう思ったけど
あっという間だった。
できたのは、怪我が悪化しませんように。
チームが、クロウが勝てますように。そう祈ることだけで
5D’sの優勝が決まった瞬間、涙が出た。
どうしてか、あぁ、これで終わりなんだって思ったから。
離れることをはっきりと決めていたわけじゃなかった。
ひとりで生きていくなんて うまく想像できなかったから。
それでも…終わりはきっとここなんだって思ったの。
だから、深影さんたちがコースに降りてジャックに駆け寄って行くのが見えても 私の足は動かないまま。
『おめでとう』すら うまく言える自信が なかったから。
何も言えなかった。
何も言えないまま、シティを離れてしまった。
試合直後、上空に現れたアーククレイドルのせいで避難指示が出て 子供達と一緒にバスへ乗り込んだから。
アーククレイドルのことは、遊星やみんなのおかげで大きな被害にならずに済んだ。
避難が途中だったことで交通は少し麻痺したけど
無事に子供たちと旧サテライトのハウスに戻ることができて
数日も経てば、色んなことが元通りになっていたのに
私はまだ、シティに戻れずにいる。
「帰るなら送っていくぞ」と才賀さんは言ってくれていたけど
子供たちにせがまれて、1日、また1日と過ぎていって。
マーサは「好きなだけいればいいさ。手伝いはしっかりしてもらうけどね」と笑ってくれて、子供たちもいて
でも、クロウはいなくて。
本当なら クロウがシティに行くって決めた時に離れるべきで
そうしていたら、ここでこんな風にクロウのいない生活を送るのが当たり前になっていたはずで
クロウの言葉に甘えてシティについて行った、そのたった1年がなかったら
きっとこんなに さみしくはなかったはずなのに。
ひとりはもっと さびしいんだろうな…と思うのは
きっと静まりかえった夜のせいだけじゃない。
子供たちが眠ったあと、そっと起きてきては一晩中考える。
クロウは今 なにしてるかな?
もし、このまま帰らなかったらどうなるんだろう?
私 ひとりでなんてやっていける?
おめでとうも言えないのに、さよならは言えるの?
もし、言えたとして
どんな言葉で伝えたら…クロウは納得してくれる?
それをどれだけ考えても、なかなか答えに辿りつけなくて。
きっと 心配して、反対して、面倒をみてくれようとするクロウを振り切ってまでやっていける自信が自分自身になくて困る。
でも、今 離れなきゃ、きっとどんどん つらくなる。
私だけじゃなくて、クロウも。
クロウは自分がつらくても、私の気持ちを優先しようとしてくれるから…
京介のことを話した時の顔、今でも覚えてる。
もうあんな つらそうな顔させたくない。
負担にだってなりたくない。
邪魔なんてしたくない。
クロウには
自由に生きてほしい。
幸せになってほしい。
笑っていてほしい。
心から
そう思うと、涙と一緒に また少しだけさよならをする気持ちがたまった気がした。