遊戯王
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遊我が宇宙で行方不明になっても
遊我ならそのうち帰ってくるでしょ、って 切り替えられるロミンや学人たちと違って 分かりやすく落ち込んだルークに
タイガーはいつも通り厳しかったし、
最初こそ励ましていた学人も諦め、ロミンには呆れられ
それでもなんだかんだ心配して、たまに様子を見に来る皆をルークに膝を貸したまま迎える。
「相変わらずのようですね、ルークくんは」
「毎日、女の膝でウジウジと!いつまでそうしているつもりだ!」
「放っといてくれ。俺がどこでウジウジしようとお姉ちゃんには関係ないだろ」
「あん?一度や二度勝ったくらいで生意気な口を聞くようになったな?」
毎回 巻き起こる姉弟喧嘩にもすっかり慣れて
腰にしがみついて拗ねているルークの頭を撫でていれば
ロミンがルークを指差して、心底呆れた顔をした。
「なまえ、よくコレに付き合えるわよね」
「…んー、なんか…可愛くて?」
「え、ウソ、正気?」
「正気とは思えん。いい医者を紹介してやるから診てもらえ」
「ははは…なまえくんは慈愛に満ち溢れていますね…」
苦笑する学人はまだしも、タイガーとロミンは変わらず辛辣で
そりゃあ、可愛いってそれだけが本音かと言えばそうじゃないけど…心配で心配でほっとけなくて、って言えるほどの素直さは持ってないから苦笑いで返していると
ルークが突然、皆の前に立ちふさがって私を庇うように大きく手を広げて何かと思う。
「やめろよ!あだなまで居なくなったらどーするんだ!!」
「居るのがおかしいっつってんだろ」
「おかしくない!!おかしくないぞ!!いや、もしおかしいならおかしいままでいい!正気になんかなるな!なるなったらなるな!」
「私はずっと正気だけど…?」
「お前はどこにもいかないだろ!?ずっと一緒にいるよな!?な!?そうだよな!?」
「うん、いるいる」
「絶対の絶対か!?」
「絶対の絶対」
「絶対の絶対の絶対の絶〜っ対か!?」
「絶対の絶対の絶対のぜーったい」
「絶対だからな!後で無効にはできないんだからな!!後で無効にはできないんだからな!!」
「分かった、分かったから」
落ち着いて、と私がルークをなだめている間に
「 甘えやがって殴り飛ばしてやろうか」とか不穏な言葉が聞こえてたけど、なんとかなだめてくれたみたいで
ルークの様子に呆れて帰っていくみんなの背中をチラッと横目で見たルークは、また私の膝に寝転がってぽつりと呟く。
「…お前は絶対、どこにもいくなよ」
「…そんなに心配?」
「別に心配なんかしてない。ちょっと気になるだけだ」
「じゃあ捕まえておけば?手でも繋ぐ?」
「…その手があったか!」
「本気にしちゃうんだ…」
冗談のつもりだったのに 真に受けて繋がれた手が 嬉しい、とは言えない。
こんな時間は 遊我が戻ってくるまでだろうし…それはそれでちょっと寂しいけど。それも言わない。
やっぱりらしくない時間が多かったから
遊我が戻ってきて、ルークの輝いた目を見て安心したんだよ。
これでもう、
学校行こうよって引っ張ってかなくても
お昼休み一緒にご飯を食べてあげなくても
放課後、膝枕をして頭を撫でてあげなくても
大丈夫なんだって。
「あだな!!どうして来ないんだ?!」
「え、」
そう思っていたし、実際 朝はご機嫌で登校してて
昼は遊我とラッシュデュエルだ!!って目を輝かせてたはずなのに
そのお昼休み、教室に入ってくるなり大声でそんなことを言われたら戸惑わずにはいられない。
「遊我が戻ってきたんだし、もう大丈夫でしょ?」
「遊我は関係ないだろ!」
「え、あるでしょ…」
「ない!!」
「えぇ…?」
「とにかく来い!早く来い!!」
「え、ちょっと待ってよ…!」
「待ってても来ないから迎えに来たんだろ?!絶対の絶対の絶対の絶〜っ対一緒にいるって言ったのは嘘だったのか!?」
「?!」
い、言ったよ?確かに言ったし嘘でもないんだけど…!と、ルークの望むままに適当な返事をした自分に後悔してももう遅いけど
教室中の視線が気になりすぎて思わず誰もいない方へ顔を反らした。
「ハッ!まさか正気に!?だめだだめだ!今すぐ戻ってこい!!今すぐ戻ってこい!!」
「や、やめ…」
「戻ってきたか!?」
「……うん…」
お昼休みが終わったらどんな顔をして教室に戻ってくればいいんだろう…?と半ば放心状態の私の肩を掴んで 容赦なく揺らしてくるルークに、言いたいことは色々あるけど諦めながら頷けば
パッと嬉しそうな顔をするから つい許してしまう。
「よし!なら行くぞ!お前がいないと遊我とのデュエルが始められないからな!!」
「、」
ルークの言葉に「…そうなの?」と小さく返せば、「当たり前だろ!」と大きな返事が返ってくる。
「今日は俺が勝つところ見せてやるからな!」なんて
どんなつもりで言ってるんだか全然分からないけど、なんだか無性に嬉しくて引かれる手に力を込めた。
あの時間は
ふたりじゃなくなっても、まだ続くのかもって期待しながら。
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