American lemonade
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写真立ての前にそっと置いてあるハンカチを手に取って、今日から高校生かぁ…なんて呟く。
少しくたびれたようにも見えるそのハンカチは
6年前、2週間だけ同じクラスだった男の子が貸してくれたもの。
いつか返せたらと思って、毎日お守りのように持ち歩いていたそれを 眺めながら呟く。
「…もう、忘れてるかもしれないけど…。そもそも、会えるかどうかも…分からないけど…、」
もう6年も経ってるんだし無理かなぁ…なんて諦めと
高校生になったんだしどこかで会えるかも、という期待が入り混じって
じっとハンカチを見つめる。
幼い、けど幼いままではいられなかったあの頃の私は
引っ越してしまうという彼に
次の約束なんて、とてもできなくて
『泣くなよ。ほら、ハンカチ』
『ごめんね、でも…』
『また会えるだろ?な、セナ…ってお前までそんな顔するなよ、男だろ』
『うん…』
なぐさめ、きやすめ、
そんな言葉もまだ知らなかったあの頃の私は
また会える
というその言葉が
どれくらい
難しいことなのか
分からない歳でもなくて
『りっくん、ちょっとしか一緒に居られなかったけど…忘れないでね…』
『忘れるわけないだろ』
『ぜったい、だよ…?』
『覚えてるよ』
2週間しか一緒に居られなかったけど、
そのまま一生会えないとしても、
せめて、
彼の記憶にくらい、って そう、お願いをした私に
『…ハンカチ、次会った時に返してもらうから、なまえこそ俺のこと忘れるなよ?』
『……ありがとう、忘れないよ』
『セナ、それまで このりのこと頼んだぞ』
『うん、陸…元気でね』
次をくれる
どこまでも優しい彼を
私はまだ、覚えてる。
恋と呼ぶようなものではなかったかもしれないけど…
それでも私には、王子様みたいなひとだった。
はじめて、すきになったひと
結局今日もハンカチは鞄に入れて、まもりお姉ちゃんとセナの待つ 待ち合わせ場所に向かった。
Gimlet-ギムレット-
【遠い人を想う/長いお別れ】
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