アイシールド21
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関東大会準決勝、泥門との試合の後
立ち尽くす俺の隣に来て「お疲れさま」と声をかけてくれたのはなまえさんだった。
「これで私も卒業だなぁ」
「なまえさん…。…すみません、俺、負けて…」
「桜庭、いい目してたね」
「え…?」
「試合中 高見に何か言いに行った辺りから」
そう言われて、マークが二人ついてたって絶対にいけますと高見さんにパスを求めたあの時のことだろうか…
と思い返していれば隣で真っ直ぐ前を見ていたなまえさんが俺の目を見て言葉を続ける。
「入部してきた時みたいな目してた」
「…それ、」
高見さんにも同じことを言われました、なんて言う暇もなく
「かっこよくなったじゃん」
「!」
なまえさんから言われた初めてのその言葉に
俺は言葉をなくした。
俺が中一で入部した時 既にアメフト部のマネージャーをしていた彼女は気さくで、優しくて、
レギュラーじゃない俺たちにもよく声をかけてくれて
ありきたりだけど、俺はそんな彼女に憧れてた。
入部した当初は、背の高さもあって期待されてたけど、俺は結局それだけの凡人で
進に合わせてどんどんキツくなる練習と、広がっていくだけの実力差が辛くて逃げ出して
モデルを始めて…どんなに人気が出て、ファンが沢山いても
『桜庭より進の方がよっぽど格好いいよ』
なまえさんは下ばかり向いていた俺にそう言った。
結局 俺が練習で進に勝てたのなんてつい最近で
勝てるところなんて何もないって、ずっとそう思ってたから
だから、そう言われても仕方ないって
諦めてたけど
でも今初めて、認めてもらえた気がして
「負けたなら、次勝てばいいんだよ。まだ1年残ってる」
「はい」
「桜庭はちゃんと勝てる力、つけたよ。だから次は絶対勝てる。大学から見てるからね」
「……」
なまえさんはこれで卒業だから、最後だから、マネージャーだから、
こうやって言ってくれてるのかもしれない。
ただの根拠のない励ましなのかもしれない。
それでも俺は、
逃げずに足掻くって 決めたんだ。
「桜庭?」
「…見てて下さい。俺を、」
「うん」
「俺は、まだまだやれるってとこ…絶対見せます!今よりもっと強くなって、勝って、」
それで、
『かっこよくなったじゃん』
先輩のかけてくれたその言葉に、恥じない試合をしてみせます
「大学でも活躍できる選手になってみせます!だから…、」
少しだけ
俺の方を振り向いてもらえますか?
なんて、流石にそんな都合のいいことを口にはできないけど、
「…分かった。大学で、待ってるからね」
「…はい!!」
どこまで伝わったのかも、分からないけど、
それでも、
諦めない
俺はまだ足掻き始めた、ばかりだから。
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