American lemonade
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「会いたいなぁ~、」
「っ!?」
不意に横から聞こえてきた声に驚いて、携帯を見つめていた顔をあげれば
そこにはニヤリとした顔で鈴音ちゃんが立っていた。
「って顔してる!」
「!! す、鈴音ちゃん…!」
「やー!おっつかれー!」
「あ、あ、えっと、おおお、おつかれさま…」
「メール、リクリクでしょ~?ラブラブですなぁ~~!次はいつデートなの?こっそり後つけちゃおうかな~なーんて!」
「こ、こっそり……?」
それは言っちゃったら こっそりにならないんじゃ…
と思って首を傾げる私を見た鈴音ちゃんが、手を後ろで組んでにっこりと笑う。
はっ、いや、そもそもラブラブでもなければデートでもなくって…!と否定する前に、
「前に『また今度会えるから』って言ってたもんね!」
と言われてしまえば私は頷くしかなくて
「う、うん。りっくんが、また今度って…言ってくれたから」
「で、いつなのいつなのー!」
「えっと…」
と話し始めたのに、次の言葉がどこからも出てこない私に
今度は鈴音ちゃんが首を傾げて、私が苦笑いを浮かべる。
「……分からない…」
「なんで!?それ日にち決まってないってこと!?」
「う、うん…」
「なんでーー!?」
「えっと……なんでだろう…?」
「もう!この前からそればっかりじゃーーん!!」
「ご、ごめんね…」
よく考えれば、いつも『またな』って言ってもらえるだけで嬉しくて…全然そこまで考えたことなかった…。
試合とか、体育祭とか、抽選会とか…色々あって結局1、2週間に1回くらいは会えてるし…メールもしてくれるし…お買いものとかも行ったし…
でもそっか、普通は約束っていつとか決めるよね…。
「それもう自分から誘っちゃえば??リクリクだって喜ぶよ、きっと!」
「喜んで…くれるかは分からないけど、でも、りっくん たくさん練習するから忙しいだろうし、邪魔したくないし…うちだって毎日練習あるし…誘う勇気もないし…、断られたら怖いし…っ」
「でた!ネガティブ!」
「それに、メールはしてくれるし…。いつも何て返せばいいか考えちゃって返すのに時間かかっちゃうから、あんまり…できないけど…」
「私ならすぐ送っちゃうけどなー。その方がいっぱい話せるし!」
「…ちょっとでも嬉しから…。りっくん、お家でも色々勉強とかしてるみたいで…邪魔になっちゃったら嫌だし、」
「リクリクはそういうのちゃんと分けてそうだけどなー。オンオフみたいなの!」
「…私もそう思う…」
鈴音ちゃんの言葉に
りっくんはしっかりしてるから、無理して返してくれるとかそういうのはないって思うけど…
つい、言い訳ばっかり口にしてしまう自分に頷いたまま俯いて
はー私ってだめだなぁ…なんて思う。
まもりお姉ちゃんみたいに何でもできて、
鈴音ちゃんみたいに積極的になれたらいいのに…
って思うだけで結局何もできてない。
「じゃあ誘うだけ誘っちゃえば??絶対大丈夫だーって!」
「…でも、」
でも、会えたらいいなって、思うだけの私に
りっくんはいつも約束してくれて
『嘘はつかない、絶対に』
私がどんなに何もできなくても、だめでも、
「りっくん いつも、約束守ってくれるから」
りっくんのことだけは
絶対信じてるから
「待ってる」
私がそういえば、鈴音ちゃんはため息とは違う感じに 「はーー」と息を吐いて、続けて一言呟いた。
「愛だねー」
「あ…!?い、や、そんな大げさなものじゃ…っ」
「でも好きなんでしょ?」
「…好き、っていうか…なんて言えばいいか分からないっていうか…」
「じれったいなぁもーー!!」
「いや、だってそんなの恐れ多いし…!…たまに会えるだけで嬉しいし、それでいいっていうか そこまで考えれてないっていうか…」
「6年の月日が何かを麻痺させてるよねそれ…」
本当に、
この気持ちは、
なんて言えばいいんだろう。
『好き』とは、なにか少し違う気がして
りっくんのことは特別だけど、
付き合うとか『彼氏』とか
そんな風に思ったことはなくって
ただ、ずっと、遠くにいるりっくんに
会えたらいいなぁ、って
そんな気持ちで
想ってるだけなの。
Charlie Chaplin-チャーリーチャップリン-
【信じる恋】