American lemonade
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神龍寺さんとの試合を本当にギリギリで勝って、準決勝へ
セナがずっと目標にしてきた進さんとまた戦える所まで来た。
まだアイシールド21だって秘密にしてたこと…アメリカでの合宿の時、
『まもりお姉ちゃんには、心配いらないくらい…進さんに勝てるくらい強くなって自分で言うよ』って言ってたセナを思い出して
本当に強くなったなぁ、なんて感慨に耽っているのも束の間だった。
どぶろく先生が、終わったら祝勝会をするからこっちに着替えろって皆それぞれに服をプレゼントしてくれて
私も、貰ったワンピースに袖を通したまでは良かったけど
その後観戦した第二試合の白秋ダイナソーズ対太陽スフィンクスの試合が
見ているだけでも怖いくらい、悲惨な試合で
32対0、太陽ラインの選手が皆 峨王くんに怪我をさせられて、結果は途中棄権。
そんな結果を、笑った人の声を耳にした峨王くんが
「今 番場を笑ったの誰だ。降りてこい」
ヘルメットを放り投げて、スタンドの前に立てば辺りが一瞬で静まりかえる。
「出てこねえなら話は早ぇ」
そんなスタンドへ、足を踏み出した彼は聞いたこともないような音を立てながら、
フィールドとスタンドを隔てていた手すりを引き抜くかのように曲げて
「このスタンドにいる奴…全員 背中の骨へし折ってやりゃ済む話だ」
そこをくぐるかのように、スタンドへ足を踏み入れる。
「っ…!」
「や…!!」
「なまえちゃん!鈴音ちゃん!!」
まもりお姉ちゃんが庇うように立ってくれたけど
体が震えて、
声もでなくて、
怖い…!
って、ただ それだけしか浮かばない状況で
「俺だよ」
そう聞こえてきた声に
スタンドの全員がそっちに視線を集めて。
聞き覚えのあるその声に視線を向けながら、
やめて、と心だけが思う。
「俺が言った」
願うなら、そこに居るのは別の人であって欲しかった。
至って冷静な表情をしたりっくんが、席から立ち上がって
手すりをふわりと飛び越えたのがスローモーションみたいに見える。
待って、りっくん、
りっくんはそんな事絶対に言わないのに、
どうしてそんな嘘つくの、
危ないよ、
だめだよ、
試合前なのに、怪我したらどうするの、
行かないで、
おねがい、
「どうしたよ、俺をへし折るんだろ?」
行かないで、
何一つ、声にならなくて
自分のままならなさに泣きそうになる。
追いかけて、止めたいのに怖さで足がうまく動かなくて
それでも、まもりお姉ちゃんが止めるのも聞かずにフィールドの方へ足を進める。
曲げられてしまった手すりに すがるのがやっとの無力さが悔しくても
りっくんに向かって伸びる腕に
待って、
と心が願うだけ。
「お前じゃない」
「!」
「目が腐ってない。そのくらいはわかる。さしずめ…」
会話の内容が全然耳に入ってこないながらも、
峨王くんの側に慌てて走ってきたマルコさんや、りっくんの後ろに現れたキッドさんの姿を見て
その場が何事もなく、収まったことと
りっくんが無事だってことに、
安心して
零れたのは、一粒の涙。
Silvia-シルビア-
【あなたを想って】